季節しょうひんリポート

 北海道で古い貸家に住んでいると、リビング以外では石油ストーブを使えず、しかたなく、他の部屋では電気ストーブに頼るのが通例だ。
 近年は「カーボン・ヒーター」という、スイッチをいれるとすぐ赤熱してくれる電気ストーブが量販店で手頃価格で調達できるようになった。わたしは3年くらい前から使い始めたが、当時、こいつは電気ストーブの革命じゃないかと思ったものだ。
 しかし困った問題もある。「首振り」をさせずにつけっぱなしにしていると、輻射熱の当たったところがどんどん昇熱し、寝ているあいだに布団の端が焦げていたりするのだ。寝たきり老人や嬰児だったらまちがいなく火傷である。
 つまり、「防火・防災意識」が十分に高いユーザーが、その場につきっきりで監視しながら使用するというシチュエーションでないと、「カーボン・ヒーター」は油断ができないものなのだ。じつに手軽に移動をさせられる器具であるだけに、おっかないわけである。うっかり者で始末がおろそかな家族などに運用をまかせっきりにしていると考えると、留守中など、とても心配になってしまうのだ。
 そこで、火事のおそれはごく小さいという噂の「遠赤外線ヒーター」をこのたび試してみることにした。
 1万円前後で売っていた150ワット・タイプと、1万9000円前後で売っていた500ワット・タイプの2台である。
 1200ワットのカーボン・ヒーターが数千円で買えるのに比べたら、どちらもえらい高額商品だといえようが、これで一家の就寝中やわたしの留守中の事故の危険が払拭されると思えばまったく安いものではないか。
 ちなみに、3万円強の価格で1000ワット・タイプの遠赤外線ヒーターも売っていたのだが、こいつはサイズが大きすぎて、重さも軽機関銃とカールグスタフの中間くらいもあり、家具ゴチャゴチャのきゅうくつな我が家の室内では往生だろうと思って買わなかった。
 500ワット型は重さは歩兵銃並、150ワット型は手榴弾4個分というところである。
 さてパフォーマンスだが、スイッチを入れてもすぐ暖かくなってくれないというところは、やはり厳冬期には困ったディスアドバンテージだなと思った。
 しかし、いったん室温が17度くらいになってしまえば、500W型で十分である。
 150W型は、真冬の深夜の寝室にこれ1基ではいかにも威力不足だと感じられた。2基を布団の両サイドに置けば、おひとりさま限定で、安眠できるだろう。
 とはいえ、「火事をおこしにくく、火傷事故もおこしにくい」というメリットは絶大である。特に、子供部屋用と考えたなら、この選択しかないだろう。昔の電気ストーブも、スイッチ投入後の「火力」は至って寒々しいものであった。それを思えば……。
 そこで考えた。スイッチを入れるとまずカーボン発熱体が器材の高いところ(床から遠く離れた位置)で400ワットくらいで赤熱し、同時に遠赤外線ヒーターが200Wくらいで予熱を開始。5分くらいの間に徐々にそのカーボンへの通電は漸減し、遠赤外線ヒーターへの通電は漸増し、5分経つと、完全に遠赤外線のみに切り替わるという、最大出力600ワットの製品をつくっては如何かと。
 かなりな高額商品になってしまうだろう。だが、掛け捨ての火災保険だと考えれば、ユーザーは納得すると思うよ。1部屋に2台設置でも、1200Wまでにしかならぬというところが、ミソ。
 おまけ。
 『コールドケース』の海賊版DVD44枚組(Cold Case Seasons 1-7 DVD Collection)を買おうかな……とか思っちゃっている研究熱心なシナリオライター志望の方々へ、ある情報をお知らせしたい。ただしこれはあくまで伝聞であり、真偽は保証できないものと承知を致されたい。
 たしかにボックスには44枚入っているのだが、第五シーズンの第14話から最終第18話まで、および第六シーズンの第17話から最終第23話まで、いずれもあるべきディスクが見当たらない。したがって、コンプリート商品ではないようだ。
 しかも、字幕は漢文(Chinese)のみである(英語字幕が出ない。ネットの海賊広告には騙されるな)。音声は、もちろん英語だけだ。
 画質は、米国内のケーブルTV放送を録画したもののように思われる。
 ……とのことだ。