さいきんくだらないことを発見した。
うちのトイレには小学校三年で習う漢字200字が方眼シートに配列されたものが貼ってあるのだが、この方眼をてきとうに斜めにたどると、ランダムに「漢詩」や「対聯」ができてしまうのだ。
もちろん平仄無視だから詩でも対句でもない。だが、ひとつひとつの字がわれわれにとって少しも難読ではないために、ランダム文字列なのにすらすらと読めてしまって、自動的に味わいのある意味が取れてしまったり、情趣ある「イメージ」が生成・喚起されて行くというところが、まことに可笑しく、そして興味深いのである。
1989年に米国でTV放映された「新刑事コロンボ」(トータルでシーズン8)の中にある「GRAND DECEPTIONS」というエピソード(全69作中の49番目)に、加州の軍事系シンクタンクがその一セクションにて「易」をおおまじめに研究しており、それによってシナ人のディシジョン・メイキングの癖を知ろうと努めている、という場面が出てくる。
中共の発表する公式統計値は、すべて易者が筮竹を見てそれをもっともらしく解説する、卦である。彼らはごく自然に、数字を聯句のように飾ってしまう。それが誰彼に喚起させるイメージを、ものすごく気にするがゆえに。そもそも、そのような行政情報加工が、太古から彼らにはずっと当然なビヘイビアであったがゆえに。
だからトマ・ピケティ先生も、シナ人の資産や担税のデータを得られる日が来るとだけは、期待せぬ方がよろしかろう。これからもそれは無い。
易学のこじつけの馬鹿らしさ、恣意性、非科学性をよく知っているはずのわれわれが、それを世界に対して指摘できないで、三十年前の米国のシナリオライターの方が、よくわかっていた。