ロシアは超長期的には地球温暖化で農業が好転するのに、短期的には乞食国家化が目前に迫る。

 ストラテジーペイジの2015-10-27 記事「Syria: Russian Backed Advance Stalled」。
   シリア人は反政府ゲリラといえども同じシリア人(アサド兵)とはガチで戦いたがらない。しかし相手がロシア人ならばやってやろうという者は多い。
 反政府ゲリラは、住民の楯が無効と知ったので、露軍機が爆撃しはじめたらいったん避退して、露軍機が去って地上からアサド兵が前進してきたらすぐにまた旧陣地に復帰して防戦するという戦法に変えた。これでアサド軍の前進はできなくなった。
 ゲリラが旧陣地にもどるのは、決まって夜である。昼は爆撃があるから。
 アメリカは2014年前半から「TOW」対戦車ミサイルを、信用のおける反政府ゲリラの一部に少量づつ供与しはじめた。
 米軍からTOWが供給されているのはFSAであり、露軍機が爆撃しているのもFSAである。
 ※ということはいかなるゲリラにもスティンガーは供与しないという方針をオバマ政権は自主決定しているわけだ。
 露軍が地上戦闘に参入したのに対抗して米政府はこのTOWの供給数を増やし、いまではランチャー数100基を越えたようである。その成果としてアサド政府軍のAFVが連日、10両弱、撃破されている。
 TOWの弾薬は空中投下によってもゲリラに補給されている。
 米露のとりきめによって、露軍はこの米軍輸送機を、空中からも地上からも攻撃しないことになっている。
 シリア政府軍と露軍は、イドリブ県近傍、およびアレッポ市周辺で、非ISの反政府ゲリラを、集中的に攻撃している。
 国連報告によれば露軍のおかげでこの地域からあらたに12万人の難民が発生した。その中にはイスラムテロリストがますます多く混在し、難民キャンプにトラブルを持ち込んでいる。
 ※日本がイスラム系難民を受け入れるとしたら、それはまず東京都内としなければならないだろう。人口が減りつつある地方に押し付ければ、地方自治体の有権者バックグラウンド比例が短期間で激変してしまうからだ。異教徒難民は、人口がふだんでも増えているようなメガロポリスの中心部で受け入れるしかないのだ。東京はもうすでに特亜人だらけなんだから苦しゅうないだろ。
 イスラエルとロシアも、シリア上空における紛争回避のための合意を取り決めているが、露軍とイラン軍の飛ばしているUAVに関しては、その合意の範囲外である。トルコであれイスラエルであれ、それらのUAVが領空侵犯すればどんどん撃墜するつもりである。
 イランとしては、イスラエル国境近くに飛ばすイランのUAVを露軍が保護してくれることを強く望んでいる。
 トルコ軍は、シリア領内のクルド族が国境に近付いたら、銃撃して追い返している。
 トルコ政府は、シリア北部にクルドの国ができることを拒否したい。
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 Matthew Bodner記者による2015-10-26記事「Russian Military Spending to Increase by Less Than 1% Next Year」。
   ロシアの2016年度の軍事費は、計画の時点でも0.8%しか増やせないことが判明した。
 プーチンは2011から露軍の予算を著増させることで保守派の支持を買おうとしてきた。2020年までに露軍は完全に近代化されるはずだった。しかし2014からロシア政府の金庫が空になった。計画は頓挫したのだ。
 プーチン政府は2015年度軍事予算として3兆3000億ルーブル(=520億米ドル)を計上し、じっさいには5%減じて3兆1000億ルーブルをはたいた。これは2014年度に比べるとそれでも26%増しである。
 しかし2011から毎年狂ったように無理を重ねてきた軍拡は、2016には停止する。
 TASS通信が10-24に報じたところでは、2016年度の軍事予算の概算要求は3兆1450億ルーブル(=500億米ドル)。それはロシアGDPの4%くらいを意味する。
 軍事費の内訳だが、増えたのは軍人への俸給分で、軍事インフラへの投資分は減ってしまっている。
 ※人件費分が拡大されなければ専制国家の軍隊が政府を熱烈に支持することなどあり得ないので、これは政治的に当然である。
 露軍は9-30からシリアで空爆を開始したが、これまでにその作戦に要した費用は、9500万ドルから1億4000万ドルと見積もられている。
 新装備に回るカネは非公表だが、軍事予算総額の三分の二ではないか。
 2015年の場合、すでに2兆ルーブルは装備品調達に使われた。
 ロシア政府はこれから間違いなく、文教予算、ヘルスケア予算、社会保障全般を、減額して行く。※おなじことは中共にもあてはまる。
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 Loren Thompson記者による2015-10-26 記事「Next-Gen GPS: Success Hinges On Sticking With Troubled Ground Control Program」。
  現在GPS衛星は40機が軌道上にある。
 北米の中緯度地方の住民は、常時、そのうちの9機からの信号を受信できる。
 GPSの精度は、電離層のその日の具合によっても悪化させられる。信号到達が微妙に遅らされるのだ。
 2000年に連邦議会が予算を付けたGPSの高性能化。32機の第三世代GPS衛星を打ち上げ、地上にはOCXという制御局を1箇所設ける。
 ロックマート社製のその衛星は2017に初号機が上がる。レイセオン社製の地上基地はもっか建設中。
 GPSのこれまでの地上局(加州とコロラドの米空軍基地内にあり)は、そのソフトウェアの言語が、古めかしいフォートランやJovialであるため、セキュリティが無いも同然と思われている。これらの言語は、サイバー戦争をまったく予期しなかった時代の産物だから。じっさい、ハッカーの攻撃は頻繁にある。
 地上局は何をするのかというと、GPS衛星の軌道位置がズレた場合にそれを修正したりするのである。※のみならず、対支戦争が起きたときに西太平洋域だけGPSを狂わせたり、「北斗」の信号をジャムしたりするのだ。すでに米海軍では、兵曹でも六分儀を使って天測航法できるよう、帆船時代の訓練を再開した。海自はおそらく、何もやっていない。
 しかし地上局のシステムが安全かどうかの確認テストにはものすごい手間がかかる。テスト項目は126あり、その最大のものは1万ステップの信号のやりとりを要する。
 ということは、この第三世代のGPSは、納期には間に合わないし、必ず予算オーバーもするだろう。※F-35と同じバターン死の行進……ってか?
 米国内では、野心的すぎるOCXはこのさい放棄して、フォートラン依存の旧ソフトウェアで新世代GPSをコントロールしようじゃないかというオプションが真剣に検討されている。※生物は漸進的に進化してきた。ところがこの頃の米軍は、いきなり飛躍的にシステムを「理想化」しようとする。納期に間に合わぬ理想システムは、国家国民を滅ぼすだけだ。
 しかし旧ソフトでは、最新のハッキングに耐性ある「M-Code」は使えないし、民間用の精度向上技法も実施不可能になる。
 ※各国それぞれにオリジナルな航法衛星と航法システムと航法言語を持てということだね。生物が多様化してサバイバルしているように、航法方式も多様にしとかないと、ひとつのハッキング技術だけで全滅しちまう。だからわたしは言ったのだ。ロランとオメガを廃止してはならぬ、と。NHK地上局を同時に航法基地にしなさいよ、と。