新刊『「地政学」は殺傷力のある武器である。』は2月25日配本です。

 版元は徳間書店さんです。
 誰もさからうことのできない盛衰の宿命をあきらかにし、儒教圏に勝てる地政学を提示します。
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 ストラテジーペイジの2016-2-17記事「Europe Invaded By Refugee Scams」。
 西欧に押し寄せる「難民」の正体については、海外に派遣されたことのある将兵と文民エイドワーカーたちが、よく知っている。
 まず、彼らのほとんどは政治難民ではない。また貧困ですらない。密入国ブローカーに大金を払って、そのブローカーから、どうやれば国境での西欧官憲の訊問にうまく答えて難民資格を得られるかという入れ知恵もされている、ふざけた連中なのである。
 テレビの無責任なリポーターは、あたかも「難民」のほとんどがシリア人であるかのように報道する。間違いである。総体のたった2割が、シリアから来ているに過ぎぬ。
 残り8割は、ただ「稼ぎ」のチャンスを求め、別に迫害などされてもいないのに、難民面をして押し寄せているのだ。だから彼らの態度は非常に悪い。難民らしくない。見ればすぐに分かることなのに、リポーターはそれは報じない。
 真の難民ならば、女の比率は男と同じくらいあり、さらにもっと多数の子供や老人が混じるはずである。ところがじっさいにやってくるのは働き盛りの元気な男ばかり。7割もが「若い男」だなんてあり得るか? こんなことも一目瞭然なのに、テレビ・カメラはごく少数の女・子供を撮影して、偽難民の犯罪を幇助するのだ。
 中東、アフリカ、欧州では、「人間密輸」のビジネスは、2015年時点で10億ドル産業となっているのである。それはとにかく儲かるのである。
 儲かるから市場競争原理が働いて、ブローカーが用意する手口も高度化し洗練される。精巧な偽書類などあたりまえ。訊問への答弁も矛盾がない。
 どこの国が「難民」受け入れに渋くなったかという情報も素早く伝わる。目下、英国とドイツは、目的地としての人気が下落している。
 オーストラリアのやり方は参考になる。難民船は、絶対に本土には接岸させない。難民だと主張する者たちの身柄は、必ずインド洋上の離れ小島の収容施設にすべて送り込み、そこでたっぷりと時間をかけて、本当に難民なのかどうかを調べる。それがハッキリするまで、絶対に彼らには「臨時労働」などさせない。もちろん絶対に本土へは上陸させない。
 この対処法が知れ渡ったので、今ではバングラデシュからオーストラリアに働きに出ようとたくらむイスラム教徒の「偽ミャンマー難民」は、ほとんどいなくなった。
 一回はじかれた偽難民は、また何度でもトライしようとする傾向がある。西欧では、「難民」からは必ず指紋と虹彩の画像を取って、そのデータを諸国の入管と警察とで共有している。これによって、「リピーター」が根絶されつつある。
 2014年に英国政府は、イラク人たちによる、「英国兵に拷問され、殺されたので補償して欲しい」という訴えの真否を調査するため4000万ドルを費やし、糾明した。結果、57件のクレームは嘘であった。イラク人は、英国政府から補償金をふんだくろうとして、誣告を平気でするのである。
 これへの対処法は、駐留部隊が住民票をつくり、指紋や虹彩データを集めることしかない。
 アフガン人の欧州への「難民」は、タリバンやISから脅されている証拠だという「脅迫状」を持参する。じつはアフガンではテロリストは2012年以降はそんな脅しの手を使わなくなったのだが、「難民」は2015年になってもそうした手紙を偽造して持ってくるのである。
 当局がこの「脅迫状」をスキャンして筆跡を比較すると、多数の手紙が同一人の手によって書かれていることが判明し、「難民」の嘘も明らかになる。だから先進国ではこういうスキャンと比較ができるシステムも用意していなければならない。
 アフガンでは、どこか過疎地に西洋軍のスマート爆弾が着弾すると、すぐに、近くの村人が、それとはなんの関係も無い「最近怪我した奴」を探してきて、それを「おたくらの爆弾で負傷した者」に仕立てて訴え出、西洋諸国から補償金をせしめようとする。
 死体も利用される。夜中に着弾点の近くに埋め直しておいて、あとで米軍に「この男はおたくの爆弾で死んだ」と訴えて、村長が補償金をせしめるのだ。
 人間だけでなく、病死したヤギも役に立つ。それを着弾点近くに埋葬して、土饅頭を盛っておく。確かに異臭がする。掘り返せば動物だとわかるのだけれども、「墓の掘り返しはイスラム法に背く」と村長が主張すれば、米軍は手が出せず、確かめる方法はない。こうして、爆弾で村人が死んだこととなって、アフガン人は補償金にありつく。
 だいたい、1人の死者について1000ドルから5000ドルが相場である。
 戸籍謄本や住民票というものがあれば、こんなトリックも不可能なのだが、アフガンにはそれがないのである。
 2008年にアフガンのある村長は爆撃で村民90人が死んだと主張した。手間をかけて確認したところ、じっさいは村民の死者は15人で、プラス、タリバン1名であった。
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 Bill Sweetman記者による2016-2-17記事「New World Ordnance At Singapore Airshow」。
 シンガポール・エア・ショーにF-15SGが出展された。
 ロックマートは、F-35は非ステルス世代の戦闘機に対して空戦では「6対1」の優位である、と公言している。米空軍がそれを信じているかどうかは私〔スイートマン先生〕は知らない。しかしもし信じているのなら、30年以上使っているF-15Cのアップデートに何十億ドルも予算を割いたりしないはずだよね?
 すでに2012-10の話だが、空母『GW』がマレーシアを訪問したときに、マレーシア空軍のスホイ30MKMがスパホといっしょに上空を飛んで写真を撮らせてくれている。そのスホイにはロシア製のKNIRTI SAP-518というアクティヴ・ジャミング・ポッドが吊下されていた。デジタル無線周波数メモリーを内臓しており、アムラーム(AIM-120C)のシーカーをこれで無効化できるというのが、ロシアの宣伝文句である。
 米空軍は敵AAMに対する味方戦闘機用ジャマー・ポッドの開発を、1980年代から怠っている。米海軍はステルスを追求しないかわりに、スパホ用にALQ-214を開発させたが。
 イスラエルのエルビット社は、F-16Dの自機防御用ジャマーや、F-15SG用の自機防御用ジャマーを、すでにシンガポール等に売り込んでいる。
 アムラームは、敵機が最新型スホイのように俊敏に回避機動できる機体だと、撃墜率は悪くなる。だから、新AAMのメテオールが新開発されたわけだ。
 グリペンは今年からメテオールを装備できる。
 アムラームもサイドワインダーも、F-16の翼端にフィットするように、胴径が決められていた。これはモーターの能力を制限していた。
 しかし新開発のドッグファイト用AAMは、胴径が7割増しになる。