米国はICBMを全廃し、ロシアはSLBMを全廃する。それが、現実的で合理的な次の核軍縮ステップ。詳しくは『白書2016』で。

 Jennings Brown記者による2016-8-9記事「Meet The Army’s New Darling, The Pocket-Sized Drone」。
   ハワイで半月間、第25歩兵師団の演習にロボットを多用してみた。パックマン演習と称する。
 飛ぶものや走るもの、大小いろいろと軍用ロボットを試し、どれが好評かをユーザー目線であきらかにするのが目的。
 陸軍長官のエリック・ファニングも大乗り気で臨場。
 昨年、国防総省が3200万ドル出して開発させていたボストン・ダイナミクス社製の四脚歩行式分隊支援システム(ロボ騾馬)が、海兵隊によってダメ出しされている。苦情は、エンジン音がうるさすぎること。
 ※今月末発売の『白書2016』に理由を考察しておいたが、米陸軍も海兵隊も、近い将来のメカニカルミュールは諦めた節がある。代りに浮上しつつあるのが、7月にダラス市警が使ったような「突入特攻ロボット」。これなら電池式で可いし、しかも長時間駆動の必要もない。ビッグドッグ系への投資がぜんぶサンクコストとなりそうなボストンダイナミクス社(今は買収されて社名は違うはず)は、これから正念場だろう。出発点を間違えた「進化」はたちまちに行き詰った。
 今回のパックマン演習には、大手のジェネラルダイナミクス社が開発した、ロボ騾馬と似たようなサイズで音の静かなMUTT〔のらいぬという意味があり、わざとこれになるように無理やり長い名称をこじつけている〕という無人ミニチュア戦車が試供された。
 しかしけっきょく兵隊からは不評におわった。重い荷物を運んでくれるといっても、悪路を歩兵に追随して来ることができないんだから。
 今回、兵隊たちから大好評だったのは、ベンチャーのプロクスダイナミクス社が開発したPD-100「黒スズメ蜂」という掌サイズのヘリコプターだ。
 1回充電すれば25分間、飛び回ってくれる。
 1.5マイル先の敵情を、ごく静かに、画像偵察してくれる。
 充電装置はパックパックで担ぐ。機体は掌サイズなので2機以上を運ぶことなど容易。1機の充電中に、別の1機を飛ばすのだ。
 軍曹いわく。この黒スズメ蜂が飛んでいる姿は、遠くからだと小鳥と見分けがつかない。革命的だ。完成されていて使いやすいし、すぐにも戦場へ持って行きたい。
 ※CSで「エジソンの卵」という番組があったのだが第一回の優勝者は酷かった。ワイパーに電熱器を仕込むことが合理的かどうかは、カーメカニックにではなくて、熱力学者にまず訊いてみるべき問題だという勘が働かないようでは……。だって大手がどこも試してないじゃない。その理由を詮索せよ。むしろ、運転室内のダッシュボード上面からフロントガラス越しに超音波のパルスをスウィープさせて氷を割るか、ワイパーのゴムもしくはフロントガラスそのものを収縮振動させるように高機能化するか……。超音波法が実用化されれば、LEDヘッドライトの低温結氷問題も解決できるし、夜間に動物を跳ねるケースも減るはずだ。予告笛になるから。
 次。
 Rebecca Beitsch記者による2016-8-9記事「Should killing a police officer be a hate crime?」
  いくつかの州では、ヘイトクライム法の範囲を人種や民族に限定しないで、警察官に対する致死的攻撃にも適用しようと動いている。
 米国の50州はヘイトクライム法規を制定している。加害者の動機が、人種、宗教、性別その他個人的キャラクターへの憎悪であった場合、加害者の量刑が、加算されるとするもの。
 ルイジアナ州はこのたび、警察官に対する襲撃もヘイトクライムであるとする改正を最初に成立させた。そして目下、ケンタッキー、ニュージャージー、マサチューセッツ、ミシシッピ、テキサスの5州が、同様のヘイトクライム法改正を検討中である。
 オバマ大統領は、警察署が軍隊式の装備をそろえることを禁じていた命令を撤回しようかと検討中ともいう。※ボルチモア警察の流儀を知ればこの措置は難しいぞ。
 批判者は言う。すでに法規によって警察官に対する襲撃者は量刑を重くされることになっているではないか。しかもその法規は加害者の動機を検察官が証明する必要がない。つまり改正には法益が無い。
 米国の諸州法にヘイトクライムが加わったのは1980年代であった。
 当初は人種、宗教、民族のみ。
  ※この宗教というのは、シナゴーグに対する落書きのようなものを含んだ。
 近年、それに、性的志向、性別主張、各種障害が加えられた。
  ※すなわちゲイへの攻撃。
 ※思うにすべての故意犯罪の背後には憎悪があると第三者は推定することができるだろう。そして他人の心の中を誰がどうやって証明できるのか? 人の行為ではなく心の中をも問題視しようとするヘイトクライム法規そのものが、反近代的であり、むしろ儒教圏人やイスラム教徒の発想であり、合衆国憲法に対する違反にあたるだろう。しかし米国ではそれを言うと「レイシスト」よばわりされるらしい。ポリティカリーにコレクトではないようなのだ。だから「宗教地政学」すら白眼視され、中東政策は失敗の連続である。この世界で、真の自由の旗手は、じつは日本国なんじゃね?