日本はロシアのウクライナ侵略を不問に付すのか? だったら中共から侵略されても誰も救ってくれないだろう。

 ストラテジーペイジの2016-11-7記事「。
  ロシアの軍事予算がこっそりと10月後半に公表された。2017年度は3割減となる。
 今、ロシアは45億ドルを国防に投じている。それは露国のGDPの3.3%である。
 国際油価は低いままと予想される。それを前提とすると、2017年にはGDP比3%となり、2018年にはGDP比2.8%にまでロシアの国防費は減ってしまう。しかも分母のGDPが、ずっと右肩下がりである。
 ウクライナ侵略前の2013年にロシアGDPは2兆2000億円だった。しかし侵略戦争の咎で経済制裁を受けた後の2016年のGDPは1兆5000億円に激下がりしている。
 一方で虚勢を張るための見せ掛けの軍拡をしている。これは何を意味するか? 見えないところで削っているのだ。たとえば、定期修繕や増改築が必要なインフラを、損耗腐朽したままに放置することである。
 政府が自国内のインフラを維持しなくなれば、いよいよ経済は縮む。不便を蒙る民衆は政府を恨むようになる。その鉾先を逸らすべく、ますますモスクワは「西側諸国がロシアを弱めている」との国内宣伝を打つ。
 いま、プーチンが必要としている「勝利」は3つ。シリアとウクライナでロシアの思い通りの政情が固定化すること。西側が対露制裁を撤回すること。そしてバルト三国と東欧諸国がNATOメンバーではなくなること。このどれかが実現すれば、国民に耐乏を納得させることができるから。
 西側からの経済制裁は、ロシア軍需産業に部品や部材の入手難を強いている。代用品が手当てできないうちは、兵器生産は止まる。代用品をみつくろうのには時間がかかり、しかも必ず割高である。ルーブルが他の通貨に対して高くなる要因もないので。
 ロシアは世界第三位の国防費大国の座から転落するだろう。ちなみに第二位の中共は、公称でGDPの2%しか軍事費に使っていない。しかし金額では、それはロシアの軍事費の三倍なのだ。なにしろGDPがロシアの七倍あるからである。
 第二次大戦中、米国はGDPの33%強を国防費に投じた。ソ連はGDPの50%以上だった。
 WWII後、ロシアはGDPの20%を越える軍事費を維持した。それがなんと1991まで続いたのだ。
 米国はベトナム戦争中、GDPの10.7%を国防費に使っていたが、1970年代には5.9%に低下。レーガン政権が一時的に著増させたもののレーガンが去るやすぐまた5.8%に戻っている。
 ロシア崩壊直後の米国国防費はGDPの4.1%に落ち、さらに2001年には4%も切った。
 シリアで判ってしまったこと。ロシア軍戦闘機は精密誘導爆弾を運用する能力があるが、その精密誘導爆弾のストックがロシア本国にはぜんぜんないらしくて、ちびちび投下することしかできない。
 いまや飛行機の数よりも誘導兵器の数がモノを言う時代なのに、ロシアにはそうしたハイテク消耗戦を遂行できる財力は無い。
 シリアのアレッポ市域では、アサド軍機と露軍機が、反乱軍と、域内の住民30万人の上に、爆弾を落とし続けている。アサド大統領は、この30万人が、シリア国外へ去るか、それともアサド政府の管理下の地域に住むのならば、安全に退去させてやると告げている。しかし住民たちは、反乱軍と運命を共にする道を選び、とどまっている。
 この爆撃について、米国と西欧諸国は、「戦争犯罪だ」と叫んでいるが、米欧にロシアを罰する意志力など無いことは見透かされている。
 2011のアラブの春開始いらい、アサド軍は反政府派住民を砲爆撃し続けてきた。爆撃して殺すのが目的ではなく、爆撃によって、反政府ゲリラを支援できない場所、すなわち戦闘区域外へ、もっと理想的にはシリア国外へ、反政府派住民が出て行くことを促したい、と欲しているのだ。
 これまでのシリア国内での死者の三分の二は、住民である。そのうちの8割が、アサド軍の攻撃の結果である。
 2015年にロシア空軍がシリア入りしてから、爆撃で殺される住民は増えた。ロシア機は、エイドのキャンプや、国連が開設した施設でも、そこに武装した人間の存在が認められれば、容赦なく爆撃する。これは国際法上、正当化される。「中立施設」がその中立性を尊重されるためには、武装兵が存在してはならないのだ。じっさい、反政府ゲリラたちはそれらの施設を都合よく利用しているのだ。
 露軍は2015-9からの爆撃で反政府派住民1万人を殺した。そしてそれを今後も止めるつもりはない。米軍が邪魔するなら、実力で対抗する。核の行使の準備もできているとモスクワは認めている。
 アレッポ近くでスホイ35がE-3に500m未満に猛接近。10-17のこと。
 空母『クズネツォフ』は、スホイ33とミグ29Kを載せ、駆逐艦3隻と補給艦4隻に囲まれて、ジブラルタルから地中海に入った。10-15にシリア沖着。英仏海峡を南下するときに、遠目にも錆びだらけであった。
 露軍のヘリコプターは、これまでシリアで4機、墜落している。
 アサドとトルコは不仲である。しかしトルコはロシアに工作して、ロシア製のSAMでトルコ機が攻撃されないように、手を打った。
 イランはS-300を配備しおえた。イスラエルは、GCC諸国が見返りの政策を約束するなら、GCC空軍に、有効なECMの方法を教えてやることができると言っている。
 ウクライナ戦線では、停戦にもかかわらず互いに銃砲撃はある。ただし、最初に警告射撃をして、全員が壕に退避する時間を与えている。
 10-16には、エレベーターにしかけられた爆弾で、ロシア派の民兵首領が暗殺された。
 これは、ロシアの統制にしたがわなくなった有力者をロシアが始末して見せしめにしたのだともいう。
 10-14、日本海のロシア沖で操業していた48人乗りの北鮮漁船をロシアの警備艇が臨検したとき、抵抗があったので、北鮮人1人を射殺し、6人を負傷せしめ、拿捕した。
 エアバスのC295は、最低200km/時で飛べる輸送機。そしてパレット方式でつみこめるプローブ・アンド・ドローグ方式の給油装置がこのたびできたので、時速200km以上で飛べるヘリコプターにも、空中給油がしてやれることになった。
 C295は最高時速570km/時。スペインに組み立て工場がある。
 ※日本がロシアには1銭も与えないで、しかもプーチンから感謝される方法がある。それは安倍総理がプーチンの面前で「日本はロシアがINFから脱退することを希望する」と言い切ることだ。INF条約はその当時は西欧の役に立ったものだが、極東の核バランスはそのご却って悪化させた。そしてNATO圏がポーランドまで前進した結果、ヨーロッパでも何の意味もなくなっている。今、これの破棄を提言しても米国の面子を潰さないでいられる大国は、日本しかない。なぜなら中共の核ミサイルで直接に脅威されている非核国だからだ。タイミングは、次の大統領が教書を出す前の、2016年内しかない。きっと、ロシアからも東欧からも西欧からも感謝されるだろう。