なぜ日本の大学には「狩猟学科/学部」がないのか?

 DAVID E. SANGER and WILLIAM J. BROAD 記者による2017-3-4記事「Trump Inherits a Secret Cyberwar Against North Korean Missiles」。
   3年前にオバマ大統領が対北鮮のサイバー工作を強化するように命じたおかげでその後しばらく北鮮のミサイル発射は失敗が続いたのだという新説。
 検証取材したところ、やっぱりそんなサイバー工作能力はアメリカには無いとわれわれは判断する。
 つまり、トランプ政権は北鮮の核とミサイルを早急になんとかしなければならんということ。他の問題を後回しにしても。
 過去二回、トランプ政権の国家安全保障関係のデピュティ(中堅高官)たちが、対北鮮の外科手術的先制攻撃や、韓国への核兵器再度持ち込みなどの全オプションを、シチュエーションルームで討議した。その二回目は2月28日だった。
 討議内容はすぐに大統領本人および安全保障関係の上位高官らに報告されるはずだ。
 オバマ政権が、ABMによる本土防衛をあきらめ、対北鮮はサイバー攻撃と電子攻撃でなんとかしろよという方針に傾いたのは、2014年の前半であった。オバマは、アイゼンハワー政権いらい3000億ドルもがABMに費やされてきたが、ABMでは北米の大都市を防禦できないことはハッキリしたのだとの結論に想到した。
 北鮮から飛来するICBMを迎撃するという名目でアラスカと加州に展開されているGBI(最新のABM)の過去の迎撃実験成績は、十分に予告されている試験であるにもかかわらず、トータルで56%の失敗率である。実戦ではこれよりもよくなることはあるまい、と関係者は私的に漏らしている。
 ペンタゴンは長年、「発射させぬ術」を研究してきた。すなわち敵の弾道ミサイル運搬車が発射地点に位置する前に、もしくは最初から発射態勢にあるミサイルが発射される前に、それを無力化してやるうまい方法。バッターがバッターボックスに入る前にアウトにしてやるのだ。
 オバマ政権も、それに期待することにした。
 マスコミ的にあまり注目されることはなかったが、その方法についての議論は公開裡に何年も積み重ねられて来ている。
 NYTでは、昨年春に北鮮のミサイル試射失敗が急増した頃から、調査を開始した。2009以降のムスダンの失敗率は88%である。これが証拠? ソ連時代にはムスダンの原型ミサイルは13%しか発射に失敗していない。
 しかし取材を通じて聞いた前の政権と今の政権の高官たちからの要望にかんがみ、NYTではこのテーマの報道は差し控えることにした。北鮮がそれに対する対策をとってしまってはよくないからだ。
 2016秋に三代目はこの米国の妨害プロットに気付いた。そして先週、複数の北鮮高官が処刑された。
 それより前、米国はイスラエルと組んでイランのウラン濃縮用の遠心分離機の回転数を微妙に狂わせてやる巧妙な邪魔ソフト「ステュクスネット」を工作員のUSB経由で地下工場のライン管理コンピュータに感染させ、イランの原爆計画を気付かれずに何年にもわたって阻害してやった。しかしイランは最終的にこれに気付き、対策を取っている。
 イランはまだ原爆を手にしていないからこれは成功だったと言えるけれども、北鮮は遠心分離機などは必要とはしないプルトニウム原料を使ってもう原爆をこしらえてしまっている。だから米国はいまさら北鮮の核工場をサイバー攻撃してもしようがなく、ロケットの方をなんとかするしかないのである。
 2002にブッシュ(子)政権は、ABMをアラスカと加州に配備したと発表した。と同時に、北鮮ミサイルのサプライチェーンを仔細に究明して、各部の欠陥を助長してやる作戦も始まった。
 オバマ政権1年目の2009に、北鮮版の「R-27」が注目された。これはロシア設計のエンジンで、洞窟陣地にふだんは隠しておき、発射のときだけ車両が洞窟の外に出てくればいいという弾道ミサイルである。米国としては、発見も破壊も難しい。
 ただしそれはまだICBMではない。
 2013-2に北鮮はまた「核実験」した。数日後、ペンタゴンは、加州とアラスカのGBIを拡大すると声明した。
 と同時に、「発射前に壊す」「発射させぬ術」への公的言及が始まった。デンプシー統合参謀本部議長は具体的に、マルウェア、指向性エネルギー兵器、電気信号妨害を例示した。
 レイセオン社も「発射させぬ術」の技術的可能性について語るようになった。発射直前にサイバー攻撃もしくは電子攻撃すればいいのだという。
 先月、国防科学評議会(オバマ時代にできた諮問機関)がサイバー脆弱度に関するリポートを出した。北鮮は米国の電力グリッドをサイバー攻撃によって機能させなくするかもしれぬという。
 2016-4に三代目が「R-27」エンジン×2の地上試験に成功したという施設に臨場した写真が公表された。そのメッセージは、「R-27」ブースターを2本バンドルした1段目をもとにしてこれから北米に届くICBMをこしらえるぞというに他ならない。
 側近によれば、オバマは北鮮が核ミサイル取得に近づくのをものすごく気にするようになっていた。
 そして任期の最後の3ヶ月くらいに、部下に命じてもっとなんとかしろと発破をかけた。
 ある会議では、オバマは、もしそれがうまくいくのなら、三代目や発射場を先制攻撃すると言った。
 だがこれは難しい。三代目の現在位置や、移動式ICBMの正確な射点を、刻々と、リアルタイムに把握することができないから。
 こちらの先制攻撃で北鮮のミサイルを全滅させられなければ、米国の都市上空で原爆が炸裂する。あるいは第二次朝鮮戦争が始まる。
 トランプは、これからサイバー戦力への投資を増やすべきか減らすべきか、決めなくてはならない。
 米国が、他国の弾道弾発射システムにサイバー攻撃を実行したとすると、ロシアや中共が同じことを米国に対してしかけてもいいだろうという論拠を与えるだろう。
 核兵器システムに対するサイバー攻撃はご法度にすべきだという論者も居る。
 核システムに対する米国発のサイバー攻撃が有効なのだと証明されれば、「だったら米国からサイバー攻撃されるまえにICBMを全弾発射してしまおう」とロシアは考えるかもしれない。
 米国は三代目一家の海外資産を凍結できないか考えている。その資産の一部は中共の銀行に預金されている。
 ※この記事はNYTの紙版では2017-3-5に掲載された。その同じ5日、2017-2-28にヴァンデンバーグでカメラマンが撮影を許された、ロックマートが90年代から開発中の「RQ-170 センチネル」の最新飛行姿が公開された。メッセージは明瞭だ。ペンタゴンは、リーパーの代りにステルスのセンチネルを北鮮上空に飛ばし、三代目が地上に出てきたならすぐに爆殺させるぞというのだ。今もトランプ政権はオバマ政権以上のペースでリーパー爆殺作戦を推進させている(たとえばイエメン)。やる気は満々だ。そしてもうひとつ。北鮮のBMは車輛機動式で、発射プロトコルのチェイン・オブ・コマンドは高度に無線に依存している。だったら高度460kmで水爆を炸裂させてやれば北鮮領内の無線はEMPにより途絶し、地下指令所の三代目からTELに対して発射指令を出すことなどできなくなる理屈ではないか。「発射前に止める」方法は、とっくに存在するのである。NYTはなにがなんでも政府に強硬措置を選ばせたくないように見える。ほとんど中共発の「工作記事」に類するものではないか?