正男こそが「ダミー」だったりしたりしたりして……

 ストラテジーペイジの2017-3-8記事。
  イスラエルが海外に売っている無人機はMTCR違反ではないかという米国務省からのしつこい批判をかわすため、このたび「ヘロンTP-XP」という「遵法型」無人機がつくられた。
 MTCRは、ペイロードが500kg以上ある無人機を、その国産能力のない国に対して売ってはならないとしている(そのまま大量破壊兵器になってしまうとして)。
 そこで「XP」型は、ペイロードを450kgに自粛した。
 ※この宣伝記事は面白い。同時にMTCRが求める「航続距離300km未満」を実現したとは一言も書いてない。もともとペイロード1トンの軍用型で滞空30時間が可能な機体である以上、燃料タンクをちょっと細工すれば(いや、おそらく何もしなくとも)300kmなんて簡単に超えてしまうだろう。
 2016-6以降、インドもMTCR署名国である。インドは、急いで2015-9にイスラエルから「ヘロンTP」を10機調達し、そののちに署名した。
 インドはパキスタンが支那製のキラードローンを運用開始したというニュースに刺激されてイスラエルから1機4000万ドルでヘロンを買った次第だ。
 ヘロンは1200馬力のターボプロップエンジンで高度1万4500mを巡航できるので、民航機と高度がかぶることもない。
 次。
 Richard Tomkins 記者による2017-3-7記事「Space surveillance radar system fully operational」。
   Cバンド波で地上からスペースデブリを見張る米豪共同運営のレーダーが豪州西部で運開した。このレーダーはもともとカリブ海のアンティグァの米空軍基地にあったのだが、2014年から徐々に豪州への機能移設が進められていた。このたび、それが完了した。
 場所は、西オーストラリアのエクスマス市に近い、ハロルド・E・ホルト海軍通信基地である。低周回軌道の人工衛星を見張る南半球初の拠点となる。
 アンティグァでは、ケープカナヴェラルから打ち上げられるロケットのテレメトリーも傍受していた。たぶんこんどの基地にもその傍受能力はある。
 ※『兵頭二十八の防衛白書2016』の391~395ページで提言しておいた北鮮潰しの妙策をここで再度まとめておく。北鮮平民の主食はトウモロコシだが、特権階層はコメが主食。この2作物の「農繁期」は、3月末の水稲育苗開始から7月初旬の水稲最終成苗植(手植)までの間で複雑に重なっている。米韓が大演習するとかならず無駄に対抗大動員する平壌政府の悪癖を利用し、北鮮農村部でのクリティカルな農作業をうまく阻害してやれば、同年秋の北鮮農村の収穫はコメ・トウロモコシともにゼロとなって、体制は内側から崩壊するだろう。それには3月末から7月初旬まで、米韓が交替で間断なく大演習を連続させるだけでいい。たとえば例年「ウルチ・フリーダム」を8月に開始しているのは、まったくの演習費のムダ遣いである。北鮮農民の田畑管理には少しも悪影響が無いからだ。これを5月5日から6月10日まで前倒しで実施するようにすれば、その年の北鮮のトウモロコシの収穫は全滅し、コメも半滅する(その機序の仔細は拙著を買って読め)。さらに6月11日から7月初旬までも別な海軍演習や空軍演習を次々に接続させれば、北鮮内のコメの収穫までもゼロにしてやることができるのである。