「意図」だけ較べると、損得度外視で東京に核を落としたい国は韓国だけ。北鮮も中共も損得ずくだからその選択は今ありません。

 Emanuele Scimia 記者による2017-4-9記事「Mixed signals for China, India from Russia’s S-400 in Syria」。
   シリア政府軍は、S-400を布陣展開済みだとされていた。
 ロシア製の地対空ミサイルのS-400は、最大射程が400kmで、その警戒レーダーは、飛来する敵ミサイルを最大600kmから探知できると吹かされてきた。
 しかしシリア政府軍はこのたび、沖合い数百kmの2隻のアーレイバーク級駆逐艦から発射された59発の低速巡航ミサイルに対して、ただの1発のSAM発射もできずに、シャイラット空軍基地はその全弾を喰らった。
 この陸地攻撃型トマークは射程1600kmである。
 米軍はEA-18Gグラウラーという強力な電子妨害専用機を有しているが、それでもS-400に対して万能ではないだろうと懸念をして、ホワイトハウスはトマホークを選択したのだ。
 つまり見方によってはS-400はその価値を大いに立証した。もしS-400がシリアに持ち込まれていなかったなら、米国は最初から有人機による空爆を加えたに違いないからだ。
 これは、S-400をロシアから買っている中共とインドの将軍たちにとっては、良いニュースだろう。
 ※日本のマスコミはもうじき戦争だ戦争だと盛り上がっているみたいですけど、正直、わたしはガッカリしています。というのは、B-1を飛ばしてみせたり、空母群を集中したりというデモンストレーションは、こと「対北鮮」に関しては、「アメリカはもう何もしないことに決めた」ということとまったく同義だからです。本気の場合には、1994年に実行されかかったように、西日本の飛行場に夜間にステルス機がこっそりと運び込まれるでしょう。今回ヒラリーがトランプを褒めたと伝えられました。それにも歴史的経緯があります。「ブラックホークダウン」事件のあと、時のクリントン大統領は、爾後はもう生身の米兵は紛争地へは送り込まず、対イスラムではひたすら海から巡航ミサイルだけを撃つだけ、対北鮮では実質何もしない(日本政府にBMDを次々と押し売りする傍ら、北鮮問題の解決責任は北京にあると口先で言い募るのみ)という「CMトリガーイッチ」路線に転換し、一部の人々はこれを臆病者の責任放棄政策だと非難しました。新聞見出しとTVフッテージは派手にできるが、トマホークで吹っ飛ばされるようなマヌケな敵要人は、いないのです(ビンラディンも軽症だった)。そのクリントンと同じ臆病路線をけっきょくトランプだって選んだわけです。ヒラリーは「お前さんもこれでわかったろ?」と言いたいのです。
 次。
 ストラテジーペイジの2017-4-11記事。
   3月21日、イランがロシアを非難している。それによると、ロシアはイスラエルに対して、シリアに布陣しているロシア製防空ミサイルのIFF(敵味方識別無線コード)をこっそり教えているという。
 なぜこれに気付いたか。シリア兵が、ロシア人には黙って、IFFコードを変更したところ、急にイスラエル機をよく探知できるようになったのだという。
 イスラエル空軍は22日までに断続的に4度の空襲を加えた。
  ※イランに支援されたアサド政府がイラン製のSSMをヒズボラに供給しているので、イスラエルは空爆でそれを片端から破壊しているのである。ちなみにイスラエルとロシアの間にもこうした空爆に関する通知&不干渉協定がある。
 3月25日、シリア政府はロシア外務省を経由してイスラエルに対し、対シリア空襲を続けるならば弾道ミサイル数百発をイスラエル領土に撃ち込むと文書で警告した。
  ※警告もなにも、ヒズボラはイランから手渡されたSSMをシリア領内からイスラエルへ発射する気満々なんですから。