ストラテジーペイジの2017-8-15記事。
ロシアが、NATO軍の「リンク16」のデジタル通信を妨害できる「イリューシン22PP」電子妨害機の存在を公表した。
この機は、みずからは「AGM-88 ハーム」の的にはならない、とも主張している。
「イリューシン22PPは、これまでシリアやウクライナにも投入されていない。
ウクライナ企業幹部が、かつて北鮮にICBMエンジンを輸出したり、北鮮のためにそれを製造してやろうと計画したことはない、と声明。
同国のユジマシュ社がRD-250エンジンを製造していた。それは1980年代のソ連重ICBM SS-18(R-36M)のエンジンであった。
SS-18は199に設計され、1972に初試射。実戦展開は1975からである。
ソ連のICBMとして最重で、全重210トン、弾頭重量8トンだった。
長期貯蔵可能な液燃を用いた。
SS-18には型が6つあり、最後の型は1990に実戦配備。
冷戦後はリファービッシュの予算が無く、2016年時点で50基ほどが生きているだけである。2018には30基に減り、2020年にはゼロになるという。
1991にソ連邦が分解し、ウクライナが独立すると、ユジマシュ工場は閉鎖されたが、その後、人工衛星打ち上げロケットのメーカーとして再建されて今に至る。
2014以前はロシアが顧客だった。それ以後は、ロシア以外の顧客が重視されている。
ユジマシュ経営陣による、米国内報道への反論。
われわれは過去20年以上、RD-250を製造してない。
RD-250を維持しているのはロシアである。
RD-250の最新の製造方法を知っているのもロシア人たちである。
SS-18の維持のためRD-250のスペアを多数保管しているのも、ロシアである。
そしてロシアはウクライナ以上にしばしば、兵器技術を不法に海外移転している、と。
冷戦後、ウクライナは中共にいろいろな兵器技術を売ったが、それらは合法である(ただしロシアはその主張には同意していない)。
ウクライナ政府いわく、これはロシアが仕掛けている情報戦争である。露軍によるウクライナ侵略の事実から世界の関心を逸らすために偽情報を流布させているのだ。
モラルとモラールの低下は全般にウクライナがロシアより酷い。しかしロシアの場合、宇宙ロケット産業界の堕落が、隠そうとしても隠せない。ICBMや宇宙ロケットの失敗が増えている。
露軍はシリア内へのテロリスト流入を阻止するために、ヨルダン国境やイスラエル国境にMPを多数、投入し始めた。
ロシア国内では15歳から64歳までの労働適齢人口が2010年からこのかた減り続けてたいへんなことになっている。これから2050年まで、毎年、50万人の労働適齢人口が消えて行くのだ。
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2017-8-10記事「Why Russia is foolish not to invite NATO observers to its war games」。
9月にロシアは、冷戦終了いらい最大級となる演習ザーパドを欧州戦区で実施するが、合意に反してNATOからオブザーバーを招待しないので、欧米人は怒っている。
四年ごとに実施されるザーパド演習。ザーパドとは「西」。
2009のザーパドでは、最終段階で「ワルシャワに核攻撃」した。
2013のザーパド演習は煙幕で、その準備に隠れてウクライナ侵略が準備され、半年後に「抜き打ち演習」が号令されて実行された。
プーチンは2008のグルジア侵略のときも、「抜き打ち演習」を号令してから実行させている。
NATOとロシアとの間のウィーン合意文書により、9000人以上を動員する演習は事前通告が必要。1万3000人以上を動員する演習は、敵陣営のオブザーバーを招く義務がある。こんどのザーパドは10万人動員だ。
ロシアは常に自方の演習規模を小さいものだと偽ってNATOオブザーバーを拒否してきた。