のけものフレンズ

 コンピュータのシンギュラリティを最初に予言した(ついでに、長崎型原爆の爆縮起爆の方式も案出した)超天才のフォン・ノイマンは、ソ連が核開発のごく初期にあった頃に、〈なんでアメリカはとっととソ連を攻撃して滅ぼさないのか〉と知人に語った。
 秩序を凌駕する「特異点」が超えられてしまってから、何をやろうとしても、手遅れなのだ。
 地政学は、ユーラシアステップ地帯とアジア大陸の政体は近代西洋型自由主義と相性が悪い、と考える。地理が、政体の許容できる政治的「特異点」を決めている。ユーラシアでは、治安コストが高くつき、国防の失敗はとりかえしがつかない(英国が海から裏手に回りこんで劣勢を立て直してくれない)がゆえに、国内で許容できる無秩序(=思想的党派的自由)の敷居は低く設定される。だからロシア政府やシナ政府や朝鮮政府に、近代西洋型の外交アプローチを試みても最初から無駄で無効である。結果はしばしば有害だ。
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 Rod Lyon 記者による2017-9-5記事「North Korea: Slouching Towards Bethlehem?」
  9-3実験は、地震波から見て、イールドが70キロトンから500キロトンではないか。
 しかしテラー=ウラム式水爆なのかどうかは、数週間くらいして放射線同位体が大気中に漏れ出したのを採集して分析できない限り、外国人には分からない。依然として、正体は不明なのだ。
 ※北鮮はこれが水爆だというなら坑道内の残渣ガスサンプルを米外交官に手渡すべきである。それをしても北鮮にとって何の不都合もないはずで、逆にそれができないというのならば、まだ「中性子ブースター強化原爆」のレベルなのであろう。強化原爆でも250ktくらいまでは行ける。坑道内で組み建てる「装置型」なんだから寸法も重さも無制限で可いのだ。誰も見ていないんだから分かりはしない。
 この時点でハッキリしたこと。北鮮の核実験は、1945年の米軍の核爆弾の出力は超えた。
 いままでは「ノミナル=20kt」原爆すら実現はできていない疑いが濃かったのだが。
 ※この時点で未だハッキリしてないこと。9-3実験は、ソ連や米国の最初の水爆のような「装置型」ではあっても、弾頭型ではない疑いは強い。テラー=ウラム型のコンパクト模型をわざわざ写真宣伝しているのが却って怪しいのである。そしてまた、その「水爆」の前の「原爆」を弾道弾RVに収まるサイズにしたという証明ができていない。これもやっぱり「装置型」かもしれないのだ。爆縮ボールの宣伝模型があるきりで、誰も実験の現場なんか見てはいないんだから。そのRVが2700km水平に飛んだあとで大気圏へ再突入すると熱衝撃に耐えられずに上空で自壊することだけが、疑いもなく証明されている。
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  Ankit Panda and Vipin Narang 記者による2017-9-5記事「Welcome to the H-Bomb Club, North Korea」。
   インドとパキスタンは1998から20年経っても、テラー=ウラム型水爆を実現できない。それを北鮮が実現できたのか?
 フランスは原爆から水爆をつくるまでに8年以上を要した(1968達成)。
 ※中共は最初から水爆をつくるつもりでまず濃縮ウランの爆縮式起爆で原爆を完成した。そこからならテラー=ウラム型はすぐできる。しかし北鮮はプルトニウムの爆縮型からスタートしている。核先進国ならプルトニウムを主剤にしてプライマーとして、セカンダリーの核融合にもって行けるかもしれないが、北鮮にそんな芸当はできるわけがないと考えるのが「技術の相場値」であろう。パキスタンは有利な濃縮ウラン原料原爆からスタートしながら、いまだに水爆を造れていないのだ。