ロシアと北鮮の五十歩百歩感。

 Mark B. Schneider 記者による2017-12-18記事「Additional Russian Violations of Arms Control Agreements」。
        露軍の退役空軍将校のヴィクトル・ボンダレフが明かした。 ロシアはSLBMのSS-N-23を海底に設置し「スキッフ」と称しているという。
 海底に設置するものなので、国際禁止条約違反。大量破壊兵器を海底やその土中に置いてはならない。領海たる12海里内なら別だが。
 巡航ミサイルのカリブルに核弾頭をつけたものは「3M14」という。米空軍の分析ではその射程は2500km以上。潜水艦からでも陸上からでも発射できる。
 別に「9M729」という戦略巡航ミサイルがあって、ゲラシモフ参謀総長が4000km以上飛ぶと吹かしたのはこいつのことかもしれない。いずれにせよ露軍はもはや違反だらけ。
 「イスカンダルM」の発射機から、「9M729」も発射できるのである。※これでスッキリした。いままではBMの二段目にCMをくっつけたのかと思っていた。なんのことはない。
 ただしINF条約のとりきめによれば、一度でもイスカンダルMのランチャーから長射程巡航ミサイルを発射したのであれば、そのランチャーは、ただちに全廃されねばならない。ロシアはどうするつもりなのか?
 イスカンダルのランチャーからは、やや射程の短い「R-500」という巡航ミサイルと、「バスチオン」という巡航ミサイルも発射できる。そしてこの2種は射程が500kmを超えているから、やはり、INF条約違反である。
 バスチオンは、超音速巡航ミサイルで、地上から発射し、「オニックス」対艦ミサイルを運ぶ。※まぎらわしい文章だ。オニックスを対地用にしたのがバスチオンなのか? ハッキリしろ。
 シリアではこれを対地攻撃に使っている。
 ロシアの非公式報道機関によると、バスチオンは沿岸防備ミサイルで、射程は600km以上。
 ロシア側のこうした違反はオバマ政権時代からわかっていたことだ。然るにオバマはこれに対して何もしなかった。
 タス通信によると2016末に新ICBMとして「RS-26 ルベズ」が配備されたという。ところがこれは「ニュー・スタート」条約違反。同条約では、新戦略ミサイルの配備前には、ミサイルおよびその発射機について、米側による視察、寸法計測、撮影が許可されねばならない。それをぜんぜんしてない。
 SS-26はあきらかに、SS-27の一段目と二段目を使っている。
 2017-11の国営『ロシア・ビヨンド』によると、イスカンダルMは8つの異なるロケットであり、そのいずれも、最大で出力500キロトンの水爆弾頭を搭載できるし、射程は600kmであると。
 次。
 Samantha Bradshaw and Philip N. Howard 記者による2017-12-18「Making social media safe for democracy」。
   ロシアがジャンク・ニュースの中から特定世論形成目的に沿う素材を寄せ集めて他国のSNSに集中投下し、以て有権者の投票行動に影響を及ぼさんとする策動は、民主と共和が拮抗していたミシガン州とペンシルベニア州、2017春のフランスにおけるふたつの選挙、6月の英国総選挙、9月のドイツ連邦の選挙において観測された。
 2017ブラジル選挙でも「ボット」が織り出すミスインフォメーションが若年有権者の意見構成を決定的に誘導した。
 今日、どの政府も、ボットによる偽情報キャンペーンへの対抗を大真面目にやらないならば致命傷を負わされる。
 ※繰り返すが、日本ではボットの前に大手テレビ局と新聞が堂々たるフェイクファクトリー。
 フェイスブック社は、2017春の仏大統領選挙の前にボット拠点として蔟生した3万ものフェイクアカウントを抹消した。6月の英国の国政選挙でも数千を抹消。ドイツ選挙では数万を抹消。
 ※訂正。『北朝鮮の核攻撃がよくわかる本』(宝島)の監修者の紹介文のところに「博士」と書いてあるのはもちろん「修士」の誤りです。あまりに字が細かいので著者校で見逃した。老眼鏡は常に持ち歩くとは限らぬところが面倒でござる。最近は「モノクル」は売ってないんだろうか?