まあ破談におわるのは眼に見えているが、唯一、妥結案もあり得る。
それは以下のようなものだ。
北鮮は「核地雷」だけは保有してもよい。
しかし「弾道弾」を保有することは一切認められない。通常弾頭でも。
北鮮は弾道ミサイルと長射程ロケット弾(射程150km以上)をすべて廃棄する。韓国も弾道ミサイルと長射程ロケット弾をすべて廃棄する。米軍も同地域に弾道ミサイルと長射程ロケット弾を持ち込まないと約する。
その後、南北朝鮮がもし弾道弾を試射しようとしたら、それがいかなる口実であっても米国が容赦なく空爆する。
この合意がトランプ老人にとって魅力的なのは、「在韓米軍の撤収」が可能になるからだ。
そして核地雷を持っている北鮮体制は外国の地上侵攻によって一方的に亡ぼされることはなくなるから、三代目はとりあえず安心だ。
中共も満足するだろう。
日本も諸手を挙げて賛成できる。半島方面に関しては弾道弾軍縮が実現するからだ。
文左衛門はとりあえず米軍の撤収に結びつくから大歓喜であろう。
ところでトランプ老人は、側近から説得されるとその都度、一時的には正気の理性を示せるのだけれども、一晩寝れば、ボケ老人の如く1980年代の歪んだ信念が蘇る偏執狂患者である。
その信念のセットとは、韓国については米軍の撤収と残留米軍の費用全額を韓国政府に負担させること。
日本については貿易赤字分相当の経済制裁と、やはり駐留米軍の費用全額を負担させることだ。
これらの政策は、トランプ老人が大統領であり続ける限り、幾度でも執拗に追求され続ける。ヒトラーが青年時代に決意していたバルバロッサ作戦と同じで、やるかやらないかではなく、いつやるかの問題にすぎないのだ。
老人の硬直頭にはいまさら「地政学101」は入らない。そんな説得を試みても無駄なのである。
むしろ精神の病人を悦ばせてやれる特殊なプランを提言するのが上策というものだろう。