F-35Bは後ろ向きに――艦尾方向へ――飛び出して発艦しちゃ、いけねえのか?

 さすがに今回の本には書かなかったが、これはできるのではないかと思っている。
 すなわち『はるな/しらね』型の格納庫内からエンジンを全開にし、艦尾に向けて Short Take Off。そのとき艦は、普通の空母とは逆に、風下へ向かって微速で走らせておくわけである。
 この逆転の発想によって、『はるな/しらね』型の艦型で、排水量と乾舷高をチョイと大きくしたぐらいのフネが、すべて「F-35B運用艦」に早変わりするんじゃないか。
 『最上』のように、旧型艦の後甲板だけ大改装したっていいのだ。
 ふつうの護衛艦の建造予算で、毎年1隻の好ペースで「空母」が量産できてしまう。
 F-35Bを調達できないシナ軍にはもはや対抗は不能だろう。
 発艦作業を微速ですればいいのなら、これまでのように重い軍艦が風上へ向けてガスタービン全開の全速前進を何十分間も持続する必要がないから、遠洋作戦中のフネの燃料補給計画はずいぶん楽になるだろう。
 それと、発艦作業中の自艦のノイズによってASWに隙ができてしまうという、これまでならばまぬがれ得なかった軽空母通有の不利が、この方式ならば、きっと緩和される。
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 ストラテジーペイジの2018-5-26記事。
   1990年にはGDPの2.7%を国防費に使っていた西ドイツ。それが2000年には1.5%となり、2014年には1.3%に落ち、今は1.2%である。トランプが文句を言うので「ヘイヘイ、2024年までには2%にしますったら」と返答してはいるが……。
 ソ連崩壊以後、2014まではドイツには「脅威」などなかった。だが2014からロシアは堂々たる侵略国家に復帰した。そこでそれまでは政府に忖度して内情を暴露してこなかった独軍人たちが、「じつはブンデスヴェーはこんなにも惨憺たるコンディションに落ちているんだ」と国民に向けてリークするようになった。
 最新のリーク。ルフトヴァッフェ装備の「タイフーン」戦闘機のわずか4%しか、実戦に動員することはできない。
 皮肉にも、冷戦時代の旧型機「トーネイド」対地攻撃機の方は31%の稼働率を維持できている。
 輸送ヘリの「NH90」の稼働率は13%である。
 「タイガー」戦闘ヘリは16%の稼働率。
 ちなみに独軍の装備総数は、タイフーン114機、トーネイド93機、NH90が40機、タイガーが43機也。
 NATOの主要国軍中、ドイツ軍の即応態勢が最低なのであるという、汚名が轟きわたっているところなのである。
 米国はGDPの4%を軍事費に回しており、NATO全体の軍事支出の7割を1国で負担している。文句を言う権利はあるのである。
 ソ連崩壊以前のNATOと今のNATOの大きな違い。かつてはノルウェーとトルコしかソ連領には接壌していなかった。今は東欧諸国がNATOに加盟しているので、接壌国が多い。
 なかでもバルト三国は地勢的にすぐに露軍に占領されるおそれがある。だからVJTFが必要なのだ。
 NATOの予測では、露軍の対西欧侵略は、第一波が30個師団以上によってなされるだろう。その後詰めには、2倍もしくは3倍の師団が充当されるはずだ。ただし、第二波以降は現役師団ではあり得ず、予備・後備の動員が必要である。
 そこでNATOは対露即応部隊を組み立てなおそうとしている。3万人規模。そのうち1万人は、48時間内に露軍と交戦できるようにする。2019年までに。のこりの三分の二は7日以内に完全動員状態にする。
 ※バルト三国は攻撃されれば2日で占領されると言われているので、48時間以内に本格反撃する必要があるのだ。さもないと占領が既製事実化する。
 その対露即応軍の司令官と尖兵部隊VJTFはドイツが出す。その中核が1個装甲旅団なのだが……。主力戦車と主力装甲車が、ほとんど要メンテナンス状態なのだ。装甲旅団の「レオパルト2」戦車と「マルダー」歩兵戦闘車は20%だけが最前線に投入できるコンディション。