ラクダを着た悪魔

 LEON COOK 記者による2018-5-31記事「Army updates automatic rifle procedures after soldier films misfiring M4A1」。
    米軍のM4カービンは、安全と単発と三発バーストの切換えはできるが、フルオートにはできない仕様だった。それを、フルオートもできるように改造したのがM4A1だ。
 が、このM4A1で、ある操作をやらかすと、不意に弾が飛び出す危険があることが、兵士の投稿動画のおかげでこの3月に知れ渡った。
 すなわち、まずセレクターを「セミ(単発)」と「オート(全連射)」の中間で止めて、引き金を曳き絞る。こうしても、発火は起きない。
 しかしすぐに続けてセレクターを「オート」に定位させるや、ただちに銃は暴発するのだ。
 もともとM4A1は特殊部隊だけの装備品だった。しかし今では普通の歩兵の標準小銃である。
 この指摘を承けて米陸軍の小銃の訓練手順は変更された。まずセレクターが「セミ」に確実に極まっているかどうかを射手に確認させる。その確認をさせないうちに次の手順へ進めてはならぬ。
 兵士諸君に告ぐ。キミの銃がだいじょうぶかどうかは次のように機能点検せよ。
 まず銃口を安全な方に向けておきつつ、薬室、ボルト先端、弾倉槽内に異物がないことを目視で点検。
 ついで、ボルトを開閉し(撃針をコックし)、セレクターレバーを「セイフ(安全)」に定位し、引き金を引いてみる。もちろん撃針は落ちないよな?
 ついで、セレクターレバーを「セミ」に定位し、さらにそこからセレクターを、「セミ」と「オート」の中間までずらし、そこで引き金を引いてみる。
 このとき、撃針が落ちるのが正常である。
 撃針が落ちなかった場合、キミの銃には問題がある。記録し、報告せよ。
 以下は、実弾射撃のときの手順。
 まず、セレクターが「セミ」「オート」「バースト」のいずれかに極まっていることを確認。
 弾倉を下からポンと叩いて、しっかりマガジンキャッチに固定されていることを確認。
 装填ハンドルを後方へ一杯、引いて保持する。
 実包(カートリッヂ)または空薬莢(ケース)が排出されることを確認。
 薬室が空虚であることを確認。
 装填ハンドルから指を離し、ボルトを前進せしめ、次弾を薬室に装填する。
 ボルト前進補助ボタン(フレーム側面に斜めに出っ張っている)を軽く押して、ボルトを間違いなく閉鎖せしむ。
 引き金を引き絞れ。タマが出る筈である。
 次。
 B.J. Armstrong 記者 による2018-5-31の書評記事『Islamic Seapower During the Age of Fighting Sail』。
  この新刊ハードカバーの著者は Philip MacDougall である。英国で出版された。
 トルコの造船所に注目。
 2017年にトルコ海軍のための軍艦が1隻進水した。それは、過去15年間のうちに納入された14番目の国産軍艦である。
 かつては37箇所しかなかった造船所を、トルコ政府は80箇所にまで増強させている。
 純国産のフリゲート艦を量産する計画もあるし、スペインの『フアン・カルロス』型の設計図を借りて強襲揚陸艦も造る。これはトルコ軍の「空母」第一号艦となるだろう。
 サウジは米国に『フリーダム』級のLCSを発注してイランと対決する。
 エジプトは現在、軍港を拡張中。
 UAEも、ソマリランドに海軍基地を建設中である。
 著者マクドゥーガルの史眼。イスラム海軍を評価したくば、あくまで「政策リーダー」たちを見よ。ハードウェアや戦術ではなくて。
 オスマン・トルコは19世紀はじめにガレオン船を導入してそれまでのガレー船に代え、1827のナワリン海戦に臨んだ。
 オスマン帝国は、軍艦などはヨーロッパから買えばいいし、プロの海軍将校団も無理して自前に育成する必要はないと考えていた。この態度がけっきょく、彼らを海の弱者にしたのである。
 マクドゥーガルまたいわく。バーバリー海賊は単なるカネ目当てではなく、宗教的な使命感にも燃えていたのだと。ただしそう断言する論拠は十分ではない。