耐弾と耐爆は70トン戦車でしか両立しない。そして日本ではAFVの「耐NBC」が杜撰そのもの。

 35トンもあるブラドリー装軌装甲車でも、真下でIEDが炸裂すると乗員は上下動により背骨を損傷する。IEDの真下爆発に耐えさせようと思ったらM1かチャレンジャー並に重くするしかないのだ。
 それ以下の重量でなんとかしようとするなら、どこかで妥協の線を引かなくてはならない。
 日本国内でIEDテロが大流行するバッドな未来がやってくるかといえば、やってこない方に賭けて可い。ならば耐IED車両はごく少数でいい。古くなった90式戦車を改造して50トンオーバーの「重APC」にすれば、完全な耐IED車両ができる。それで日本の需要は間に合うのだ。
 外地のゲリラ蟠踞地域で長駆パトロールをさせる装輪装甲車に必要な「性能」とは、IEDで1~2輪が吹っ飛んでも、その場から僚車の牽引によって退却撤収することが容易であることだ。
 小破しただけのAFVをゲリラ出没地区に遺棄して部隊が立ち去ることは、敵に情報を取られることになるので、西側軍隊には、ゆるされない。したがって、もし1両が動けなくなると、そこで全部隊が作戦を中断して基地に戻る算段を工夫しなければならなくなる。1両の問題では済まなくなるのだ。このような大迷惑(全体作戦破綻)を回避し予防するためには、スタックしたAFVの、僚車による「回収」が容易でなくてはならない。前後重連式の装輪AFVは、この「被牽引性」にすぐれたものにし得る。
 装備優良な敵国軍との正規戦争では、トップアタックATMが大々的に使われるから、AFVのなまはんかな「防弾」にはもはや意味はない。それよりもIEDによる乗員の死だけは防ぐ最低限の「防爆」車体構造と、NBC環境下で住民を救出してくることができる「放射線遮蔽内張り」を重視するのが、国民の負託に応える所以であろう。
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 ストラテジーペイジの2018-6-5記事。
  元CIAケースオフィサーのJ・C・リーが、CIAの中共内でのオペレーションについてカネとひきかえに中共に通牒した廉で起訴された。
 こやつは1994から2007までCIAに所属し、中共内で手先をリクルートする役目を果たしていた。
 もともとZ・リーとして香港で育ったが80年代に米陸軍に志願入隊したおかげで米国に帰化できた。南支での諜報ネットワークはこいつが築いた。
 リーはCIA内ではこれ以上出世できないと判断し、香港で民間セキュリティ会社を始めた。
 ところがこの事業はうまくいかず、そこに中共公安が資金面での助け舟を出したのが2010である。
 CIAは元職員の口座勘定をモニターしている。とつぜんに赤字基調が黒字に転じて金回りがよくなった場合、そいつは十中八九、敵国のスパイに転落したのである。
 ※解説しよう。2001年の米国愛国者法の施行以後、FBIは、裁判所命令がなくとも金融機関に特定個人の口座の動きをすべて開示させ閲覧することができるのだ。
 リーはじぶんが2007以前に一本釣りしたシナ人インフォーマントたちを、CIA退職後もじぶんの人的資産として商売に役立てていた。CIAは2012にこれを把握した。
 リーが、誰がCIAのインフォーマントであるのかを中共公安に洩らしたことにより、約20人のインフォーマントが殺害され、あるいは投獄され、または「蒸発」した。
 リーは2018-1に香港から米国に入ったところで逮捕された。
 彼は有罪証拠となる文書を所持していた。
 スパイ罪で有罪となれば、いま53歳のこやつは終身刑に処される可能性がある。
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 Brian G. Chow 記者による2018-6-4記事「The Trump self-defense doctrine for the new space era」。
   中共のスペース・ストーカーが大問題になりつつある。米国はこれを先制破壊できるよう、「自衛」を新定義すべきだ。
 ストーカー・サテライトを米軍の死活的に重要な諸衛星資産の近傍に平時からにじり寄せておいて、開戦劈頭でいっせいに衝突破壊をしかける「宇宙のパールハーバー」が、現実味を帯びている。
 できれば、米支が相互に合意した数以上のサテライト・ストーキングは侵略行為だと看做すことにし、自衛反撃の正当な理由としたい。
 サテライト・ストーキングを受けている国家は、その脅威を無効化する権利を有する。攻撃が始まる前に自衛できる。そのように明示する、新しい自衛ドクトリンが必要なのだ。
 しかし、そのような合意に相手が乗ってこないなら、米国が単独で実行するしかない。
  ※この提言は相手にされないと思う。平時の米海軍艦艇や航空機をストーキングしている他国の艦艇や船舶、航空機に対する扱いとの整合性をどう取るのか? 戦略核抑止にその「新自衛権」とやらが応用されたらどうなる? そして、宇宙での「自衛」手段など何も持っていない大多数の国はどうするのか? 「新自衛権」を理由に、それらの諸国が宇宙にあらためて兵器を持ち込む未来を誘導するだけではないか。米空軍(もしくはトランプが創設させる宇宙軍)としては、敵国のストーカーサテライトを密着監視するボディガード衛星を打ち上げて、逆ストーキングでもさせるほかにないだろう。