ほどほどに単純なAIを選び取る眼識が必要なのだ。

  Bradley Peniston 記者による2018-6-26記事「Google’s Withdrawal from Pentagon AI Project Risks US Lives, Says Work」。
  空軍の野心的プロジェクト、「メイヴン」とは、厖大すぎる偵察動画をAIにまず整理してもらおうというものである。これに2018-4にグーグル社員3100人が反対表明した。
 それでこの5月になり会社も、手を引くことを声明。軍との契約は2019で切れるので、それ以降はやらないと。
 これに対するロバート・ワークの反論。中共国内にグーグル社がAI研究センターをつくるという2017の話に社員はぜんぜん反対しなかったじゃないか。中共は民生技術と軍事技術を融合させると公言しているのに。
 ワークがDoDのナンバー2を辞したのは2017-7であった。現在は、ビッグデータ会社のゴヴィニ社の重役である。
 偵察機が送ってくるビデオ画像。動画分析チームは3~7人からなるが、それでもせいぜい溜まったテープ総量の15%しか視通せるもんじゃない。マシンの助けが必要なのだ。
 ※猟犬は人語によって情報を人に知らせる手段など持たないもかかわらず、人類の狩猟能力を数十倍に高めてきた実績がある。その秘訣は、単純このうえなしのインタラクション/インターフェースにあったと思う。ポインターやセッターは、水鳥の気配がする方向を、静かに、ただシューターの前で示すだけだ。熊猟犬ならば遠くの現場から吠え声によって伝えるだけ。しかしそうしたシンプルきわまる「方位限定」アシストのおかげで、ハンターの猟果は無から有に転ずる。ここのところ、ナショナルジオグラフィックTVの数年前のアフガン実録を録画で視聴して、討匪ミッションの最前線部隊に何が足りないのかがよく分かった。人感センサーを有するミニ・ドローンが、敵ゲリラの頭上でブラウン運動(不規則であることにより地上から銃撃されてもまず当たらない)のロイタリングを続けながらストロボ光を点滅させてくれるだけでいい。これで分隊長は、敵ゲリラが深い叢中に潜んでいようと、岩山の稜線に伏せていようと、そのアジマス(方位)だけは的確に承知することができる。部下全員にハンドサインで示さなくとも、射撃し続けるべきアジマスは全員に「見える」。銃口ガスのせいで土埃が濛々としても、空中のストロボ光なら依然としてよく見えるだろう。最前線の小銃分隊には、それ以上の情報など必要ないのだ。ゲリラから銃撃されたパトロール部隊が、人感センサーを有するこのハウンドドッグのようなミニ・ドローンを概ねの方角へ放出すれば、あとはスウォームのミニ・ドローンが全自動で敵ゲリラを探索し、「フラッシュ報告」を返してくれる。そのような単純なインターフェイスの「使える」システムの開発を急ごう。
 次。ストラテジーペイジの2018-6-27記事。
   スウェーデン軍が、古いホークの更新としてペトリオットSAMを調達する。さいしょは、約10億ドル分。
 ロシアからの脅威は、弾道ミサイルが半分、航空機や巡航ミサイルが半分なので、ペトリが頼りにできる。
 ホークをいくら改善してもロシアの新型ミサイルには対処できないとスウェーデンは観念した。
 2013-3の演習で露軍は露骨にスウェーデンを攻撃対象に仮定した。
 2020からスウェーデンが受領するペトリは、対航空機用がGEM-T、対弾道弾用兼近距離航空機用がPAC-3 MSE である。
 PAC-3は射程が短いのに1発の単価は2倍する。約400万ドル。
 ランチャー4基等からなるペトリオット発射大隊。100人の兵員が必要。
 PAC-2は重さ1トン。PAC-3はその三分の一。