Admiral James Winnefeld Jr. (退役) と Captain Syed Ahmad (退役) 記者による2018-7記事「The Other Mine Warfare Will Work」。
現在米海軍は、たった2つのタイプの機雷しか実装していない。
ひとつは「クイックストライク」。これはありきたりの投下爆弾に、後付けのアタッチメントを取り付けることで、簡易沈底機雷にできるものだ。
もうひとつは、SLMM=潜水艦発射式自走沈底機雷。
どちらも浅海面でしか使えない。そしてどちらも真上を通過する艦船だけを攻撃することができる。
以下、冷戦期以降、米艦が機雷にやられた事例。
まず『サミュエル・B・ロバーツ(FFG-58)』が1988にイランの機雷にかかって半没。
次に、『トリポリ(LHH-10)』と『プリンストン(CG-59)』が、1991の同じ日に、イラクの機雷にかかった。デザートストーム作戦中のことだ。どちらの艦も任務を中断するしかなくなっている。
しかしもセントラルコマンドは、これで海からクウェートへ逆襲部隊を上陸させようというオプションを完全に放棄する気になった。けっきょく、上陸作戦するぞ、という陽動の宣伝だけがなされることになった。
米軍はWWII中に1万2000個以上の機雷を撒いて日本の船舶650隻を沈めた。
1972にはハイフォン港に機雷を撒くことによって、北ベトナム政府を和平協議に引っ張り出した。
米海軍が現在この攻撃用機雷を等閑視している理由は、最新の機雷の整備を強く当路へ要求してくれる有力な〈パトロン〉が、米国内のどこにも存在しないためである。
米海軍の将校たちは「機雷戦なんて弱小国が苦し紛れにやることさ」と馬鹿にする価値観に支配されている。
さらに大問題。少なからぬ者が、米国による機雷敷設は国際法違反になる、と錯覚しているのである。
明示的に、海洋での機雷の使用を規制している国際条約は、たったひとつだけである。
すなわち、1907年の自発海中機雷の敷設に関するコンヴェンション。略称「ヘーグVIII」。
※これは、本格的且つ劇的な現代機雷戦となった日露戦争の生々しい心象の中で協議されている。
同条約は、平時には適用されない。戦時および戦後に関して規則が定められている。かつまた、問題にされる機雷は、「触接発火式機雷」だけである。
※沈底していても艦船が近くを通過する時の磁場変化に感応して発火するような機雷はまだ存在していなかった。
「ヘーグVIII」に言及されていない機雷の用法は、他の間接的に関係がありそうな国際法や慣習国際法から類推を及ぼして諸国が適宜に判定する。
たとえば、ターゲットは商船なのか軍艦なのか。仕掛ける場所は領海なのか公海なのか。仕掛ける時期は平時なのか戦時なのか。仕掛ける理由は自衛のためなのか侵略のためなのか。これらの組み合わせ次第で、最新機雷の運用は、合法にもなり非合法にもなると考えられる。
機雷はブロケイドのためにも用いられるであろう。
ただしその場合、「従軍艦船」と「無辜船舶」を機雷の側から弁別できる能力が、求められるだろう。
無辜の民間船の航路を遮断するためだけに機雷を仕掛けることは、「ヘーグVIII」も禁止しているのだ。
また、平時に他国の領海内や公海中に機雷を敷設することは、禁じられている――と、おおむね、解釈されている。
しかし米国の政策では、視発式など、活性化管制機雷に関しては、これを公海中に敷設しても合法だとする。
ただし、無辜利用者による海洋利用がそれによって不当に妨害されてはならない。また、集団自衛や自衛の要件も満たされていなくてはならない。
米空軍は、クイックストライクをスタンドオフ空域から投射して精密な機雷堰パターンで撒布できるような、有翼滑空型(GPS誘導)アタッチメントも開発している。
われわれ米海軍は、中共との機雷戦に備えて、法律問題をクリアできる新しい「装置」を必要としている。これはセンサーを中核とし、それに爆発物をくくりつけたものになる。従来のクイックストライクのような、爆発物を中核として、そこに後からセンサーをくくりつけた簡易品とは、発想の次元が変わる。
このセンサーは、通信ができなくてはならない。
時々アンテナブイを浮上させて、双方向でデータをやりとりする。
※「単純化による対抗不能性追求」の発想が無いのか? この両名の想像力の限界。
今の機雷よりも水深の大な海底にもしかけられること。
高度センサー付き機雷が用意できれば、米海軍は友好ホスト国にいちいち断らずに、どしどし攻撃的に機雷を撒ける。
また米本土に接続されている海底ケーブルを敵の破壊から防御するためにもこれらの機雷を使えるだろう。