これを撮影するためだけに、わたしは八雲分屯基地まで往復したのである。
次。
ROSALIND S. HELDERMAN, TOM HAMBURGER, SHANE HARRIS AND CAROL D. LEONNIG 記者による2018-7-18記事「How alleged Russian agent Maria Butina gained access to elite conservative circles」。
FBIにスパイとして検挙されたマリア・ブティナは、政治科学を専攻するロシア人学生であると名乗り、過去5年ちかく、「全米ライフル協会」と「保守政治行動会議」のイベント会場をおっかけていて、それらの指導者たちと親密であった。
彼女は、ロシア国内で銃所持の権利を推進したい、などと標榜していた。
じっさいに拳銃を携帯してNRAの会場にやってきたりしていたこの女は、最初は共和党の大統領候補のスコット・ウォーカー知事(ウィスコンシン州)に接近したのだが、ウォーカーの目がなくなったとみるや、ドナルド・トランプにターゲットを切り換えている。
この女が学生ビザで米国内に腰を据えて暮らすようになったのは2016-8からである。FBIはその前からスパイ容疑者としてマークし、泳がせて様子を探っていた。
この女はトランプ本人に、ロシアに対する見方を公然としつこく訊ねている。またトランプの長男とは、全米ライフル協会のコンヴェンション会場で面談している。
トランプの大統領就任日の宴会場にも乗り込み、トランプとロシア高官の面会を手配。
首都のアメリカン大学の院生になっていた2017年6月、この女は米政府を批判するサイドの人権団体にも「大学院の課題研究」と称して接触を試みた。サイバー脆弱性について詳しい人物から情報を取りたかったようだ。しかし団体のコンサルタントがこれは怪しすぎると直感してFBIに通報した。
※米国の治安環境の一大特徴は「タレコミ電話」がよく機能していること。ヨーロッパでは誰も「こいつテロリストじゃないかと思います」などとタレコんでくれぬのである。しかし米国ではタレコミ電話が機能しすぎているために、SWAT突入誤誘導の悪戯も起きてしまう。
2018-7-8にこの女(29歳)は、DCからサウスダコタへ引っ越す準備を始めた。FBIは、田舎では監視がしにくい。そこで、逮捕に踏み切った。
大陪審の罪状のひとつは、外国代理人登録法違反。
※この法律は1938年にできた。ナチスのエージェントをあぶり出す目的で。同じころ日本では、内務省幹部がドイツ大使館から賄賂を受け取り、内務省そのものがナチスの代理人に堕していた。GHQが内務省を取り潰したのも、あたりまえなのである。
2015年に保守系のラジオでこの女は自分について次のように語った。幼少からシベリアで育ち、父から狼狩りの手ほどきを受けた、と。
短期間、小規模な家具のチェーン店のオーナーだったが、その後モスクワへ移住して広告業界に転身。さらに「武装の権利」という団体を立ち上げ、ロシアの銃器取締り法令の緩和を訴えたのだ、と。
するとプーチンの率いる党から幹部のアレクサンダー・トルシン(後にロシア中央銀行副総裁になる)がやってきて、彼女の後援者になってくれた。トルシンは全米ライフル協会の終身会員であり、かつまた、モスクワで毎年1回開催されているキリスト教保守主義の朝の祈りの朝食会の幹事連でもあった。
このトルシンのアシスタント兼通訳を引き受けながら、ブティナ自身がNRAに食い込んだ。具体的には、2011年から13年までNRA会長だった、アメリカ保守組合の書記長デイヴィッド・キーン(故人)と親密になった。
2013年には、ブティナとトルシンが、キーンら米国銃器会の大物をモスクワに招待した。名目は、彼女の組織の会合。
この招待者の中にポール・エリクソンがいた。サウスダコタの共和党活動家で、1992年には大統領候補のパット・ブキャナンのための政治指南番であった。
このエリクソンとブティナは性的関係を結んだ。これは2018-4に非公開で開かれた連邦上院情報委員会でブティナが語っている。
エリクソンがあちこちの政界の名士に、ブティナを紹介してやったのである。
ブティナは2014年から、NRAの年次総会に顔を出すようになった。
NRAに100万ドル寄付しているなどのよほどのVIPしか呼ばれない特別ディナーにも、ブティナは、エリクソンのおかげで参席できるようになった。
上院情報委員会での彼女の証言によれば、ブティナもトルシンもNRAには、定額の年会費以外の寄付をしていない。
NRAの役員であるオレゴン州選出の民主党員、ロン・ワイデン上院議員いわく。トルシンは年会費しか払っていないから、以前は大口寄付者の会合には呼ばれていなかった、と。
NRA年次会合が2015にナッシュビルで開かれた。NRAのはからいで、ブティナは、将来の大統領候補株の政治家が多数招かれるVIPルームに列席することができた。
ブティナは、ウォーカー知事がロシア語を少し話したので驚いた、と自分のSNSで書いている。
2015後半のウォーカーの出馬声明後の初集会にブティナは参加。続いてラスベガスへ。そこではルビオ候補やトランプ候補も演説した。
ブティナは2017にWP紙にメールで弁解している。自分たちの団体はロシア内では人気があるとは言えず、また、ロシア政府からは1銭もカネは貰っていないと。
しかしトルシンは、2018-4に米政府から対米不正活動の咎で制裁指定を受けたロシア高官17人のうちの1人である。
ブティナは2018-3にアメリカン大学の修士課程を修了した。それでDCに住む必要もなくなったのでウィスコンシンへ転居の準備を始めた。それでFBIは逮捕に踏み切った。
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Scott Stewart 記者による2018-7-18記事「When Drones Attack: The Threat Remains Limited」。
ドローンは、大打撃をじっさいに与えるためよりも、パニックを誘導する道具として重宝なはずだ。
グリーンピースがスーパーマンのドローンを仏Bugey原発の建屋上層壁にブチ当てたのが2018-7-3のこと。その裏には使用済み燃料棒貯蔵プールがあった。つまり福島第一原発と同じ沸騰水型。
グリーンピースは2機を放ったのだが、うち1機は警察が迎撃したという。
7-10には、メキシコのバハ・カリフォルニア州の公安局長宅に、韓国製の手榴弾×2発をくくりつけたドローンが墜落。
メキシコの麻薬カルテルのあいだでは、韓国製破片手榴弾はポピュラーである。
しかるにこの6軸のマルチコプター(国境越しに麻薬を密輸するためによく使われる大型ドローン)の写真を見る限りでは、起爆(着発)させる機構がついていない。
イスラムジハーディストはネット上に、どうやって市販ドローンを爆装させるかという手ほどきのビデオをUPしている。イタリアのポテンザ郡では、それに影響されたマケドニアのローンウルフが警察にとっつかまった。さいわい、こやつは、肝心の爆発物を仕入れることには失敗していた。
7-11には、ウエストポイントにある対テロ戦闘センターの Don Rassler が、イスラムテロリストがどうやって市販ドローンを入手し、改造して攻撃に用いるかを、公表している。
ある事例。英国在住のバングラデシュ人たちが、英国やスペインでドローン部品を調達して、トルコ経由で、ISまで届けていた。
世界で最も多売されているDJI社製の「ファントム4」は、せいぜい1ポンド強の爆薬しか運搬できない。
民間で手に入る重輸送用マルチコプター型ドローンは、20ポンド以上の物を持ち上げられるけれども、高額であり、どうしても足が付くだろう。
しかしドローンのペイロードは年々、増強されているし、反面、ドローンの価格は、年々、下がっている。この趨勢、ヤバし。
意外なところではスウェーデンが、軍用手榴弾を組織犯罪者が多用することで悪名高い。
ドローンにくくりつけた手榴弾が爆発しても、ターゲットの警察長官が死ぬとは限らない。しかし、カルテルからの警告という機能は確実に果たすだろう。
大群衆に対して小型の爆装ドローンが用いられた場合も、「爆死」者よりは「圧死」者が多くなるはずだ。
※最初に1機がスポーツスタジアムのスタンドに突っ込んで小爆発。その次に1~2機が現れてぐるぐると飛び回り続けたら、観客全員、逃げ惑わずにいられるだろうか? これが、いちばん怖い用法だ。
次。ストラテジーペイジの2018-7-17記事。
海兵隊のAAV7の後継の車両について。
BAEがブラジル陸軍に売った6×6の装甲車がベースになっている。
それを8×8にした。全重31.5トン。
お客13人を操縦者3名で運搬する。
1両は590万ドルになるだろう。
AAV7の余裕浮力は30%である。沖合い36kmから海岸に達することができる。第五段階の荒れた海でも時速12km出せる。
ACVの余裕浮力は21%しかない。第三段階の荒れた海で11kmまで出せる。沖合い36kmから着達できるのは同じ。
陸上では、装輪のACVは時速105kmを出せる。AAV7は72kmだ。
AAV7も29トンあった。乗員4+お客25人。
不整地では32km/時で走れる。
失敗したEFV(モーターボート並のスピードで洋上を疾走できる上陸用戦闘装甲車)のために海兵隊は30億ドルもドブに捨てている。
海兵隊は、「コネクター」と称する新型高速LCUを海軍が開発してくれることを望んだ。敵海岸からは見えない40km以遠のはるか沖合いで、輸送艦からACVを「コネクター」に移し変え、その「コネクター」が荒海を優速で敵岸近くまで機動してACVを放出。
最後の数百m~数十mだけACVに自航させて上陸させればよい、というアイディアだ。しかし海軍は、そんな限られた用途にしか使えない高額な舟艇のための支出を渋っている。
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ELIZABETH DINAN 記者による2018-7-17記事「This Air Force veteran was paid just $20 for a life-saving idea that’s still used today」。
米空軍の兵隊だった22歳のロバート・カーペンターは、いまから60年前、トラクター&トレーラーの前車と後車のエアブレーキホースを結合するときに取り違えないように、ホースを色分けすることを空軍に提案し、採用された。空軍はその業務改善提案に対してカーペンターに金20ドル也を与えて報償した。
今日、この「2ストライパー」方式は、米本国の道路運送法で法定されている。
カーペンターの父親はマサチューセッツのトラックドライバー。14歳のときに、その親父から、ブレーキホースを違うコネクターにとりつけてしまったトレーラーがジャックナイフ事故を起こして少年が死んだという事故について聞かされた。
カーペンターは1958年に日本に勤務しているときにその話を思い出したのである。
2本のブレーキコネクターを取り違えると、ブレーキロックが起きてしまうのだ。
そこで彼は、コネクターを赤か青かで塗り分けておいたなら、誰も間違うはずがないと考えた。
20ドルで表彰されたのは1959のことである。