フェイクニュース本舗はどこ?

 Kristin Houser 記者による2018-7-23記事「U.S. Military Declares Mandate on AI: “We Want to Be the Threat”」。
    米軍がAIを最大課題と見据えたのは2016-10のことだった。
 2018-6-27には、ペンタゴンが統合AIセンターJAICを開設する意向を公表。
 議会にはペンタゴンは、AI関係のプロジェクトが四軍内に600件あると報告している。センターの予算は、6年間で17億ドルを見込む。
 音頭をとっているのはデビュティ・セクデフのパトリック・シャナハン。
 このセンターを創ることにより、国家として巨額予算を投入すべきAI系事業の優先順位が浮かび上がる。
 他国と協働でAIを開発した方がよい場合、それを推進できる。
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 Kyle Mizokami 記者による2018-7-24記事「The U.S. Army Is Learning to Take Out Warships Again」。
    リムパックのSINKEXで米陸軍がトラック上から1発だけ発射したノルウェー製「NSM」について。
 このミサイルは将来、海軍のLCSにも搭載されることになっている。
 また、F-35からも運用できる。
 今回のSINKEXでは、およそ55海里=101.8kmを飛んで廃艦『ラシン』に命中した。
 戦前、米陸軍は、主要な沿岸に海岸要塞砲を据えていた。サンフランシスコ湾、NY港(フォートハミルトンなど)、ボストン港、ハワイ、パナマ運河、そして比島。
 WWIIの直前には、そこに高射砲も加えられている。
 しかし米海軍による制海が不動になり、核時代にもなったことから、1950年に陸軍沿岸重砲兵は解隊された。
 NSM(Naval Strike Missile)は、陸上から発射しても100海里先の艦船を打撃できる。
 ※185.2km。宮古島からは届かないが石垣島からなら魚釣島まで届くわけだ。西表島からも届く。
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 Robert Hunter Ward 記者による2018-7-24記事「The Dawn of Anti-Personnel Directed-Energy Weapons」。
     国連総会は1972年に、焼夷兵器を戦闘員に対して用いることを禁ずる決議をしている。(国際赤十字委員会 ルール85)。
 ※もしそうなら、各国軍が装備している火炎放射器は、「野焼き」用装備だってか?
 1977年のジュネーヴ・コンヴェンションのアーティクル35は、不必要な傷や苦痛を与える兵器を禁じている。
 もし、エネルギー指向兵器からレーザーやマイクロ波を発射して敵兵を斃そうとするのなら、どちらかの見直しが必要だ。
 ※もしレーザーによる受傷が銃創よりも出血が少なく、しかも感染症を起こしにくいとエビデンスを以て証明されたらどうなる? 余計な苦痛はむしろ少ないと主張できる。
 専門家によれば、人が火傷するレーザー光のエネルギーは数メガワットだそうである。
 もし米軍が、国際法上合法のレーザー対人火器を装備したいなら、「即死」させる威力が求められる。敵兵をただ生焼きにするだけだと「不必要な苦痛を与える兵器」に該当してしまうからだ。
 米空軍は2017-11に、タンカーのKC-135が自衛するための武器としてレーザー銃を搭載できるか、試験したいと語った。
 2017-7には、レイセオン社が米陸軍のアパッチ・ヘリにレーザー銃を実装させ、それを空対空兵器として用いる試験を実施した。
 都市の大群集を盾に取ったゲリラを、上空から、レーザーの一閃で、コラテラルダメージを与えることなく、精密に次々と殺害することも、やがて可能になる。
  ※この記者は空軍の若手将校なので、航空機搭載型に関心の中心がある。
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 Beba Cibralic & Aaron Connelly 記者による2018-7-24記事「Russia’s Disinformation Game in Southeast Asia」。
    2017-12にロシアの戦略爆撃機T-95ベアー(複数)がインドネシアと合同演習。パプアのビアク空軍基地に飛来し、アラフラ海を横切った。ダーウィンの豪州空軍は非常に緊張。
 マレーシアの公式ニュース・エージェンシーである「ベルナマ」が2017-12に、クレムリンが運営させている通信社「スプートニク」と、相互にニュースを利用することについて合意した。
 当時のマレーシア政権は、『ウォールストリートジャーナル』の報道のせいで打撃を受けていた。「1MDB」というソヴレイン・ウェルス・ファンド絡みの腐敗を暴かれたからだ。
 マレーシア政府は、「フェイクニュース法」をつくって、そうした疑惑について議論することを禁じようとした。と同時に、西側のニュースは嘘ばかりだと宣伝し続けてきた「スプートニク」を賞揚したわけだ。
 スプートニクの姉妹機関で、テレビとデジタルを牛耳っているのが「RT」。どちらも〈俺たちはディスインフォメーションのエージェントじゃないよ〉と言っている。
 だが、彼らの社説、論説、分析、コメンタリーは、しつこく強調し続けている。いわく。西側は落ち目だ。西側は帝国主義だ。西側の資金には陰謀がある……。
 昨年、ロヒンギャ問題についてスプートニクはどんなコメンタリーを発信したか。いわく。ジョージ・ソロスがミャンマーの油田等を取得したいために同国を不安定化させているのだ、と。
 2017後半、メドベジェフ首相は比島のドゥテルテ大統領と、「国家情報の撒き散らし」に関して協定を結んだ。
 この協定にもとづき、フィリピンから通信系の役人たちがロシアに留学して、訓練を受けることになっている。
 政界ライバルが警告。これで比島にもロシア流の、偽ニュースによって愛国心をかきたてて国内を団結させる世論操作手法が導入されるだろうと。
 ロシア流の人民支配術では、情報空間を政府が完全に統制する必要などない。特定の権威メディアや、反政府勢力や、独立機関の信用を毀損してやるだけでいいのだ。
 豪州政府は、南アジア地域にまともな報道機関が育つよう、資金その他の援助を惜しまない。
 そしてこの事業では、日本との協働を模索するべきである。