猛暑の五輪中に大停電が起きれば わが国の信用は終わる。原発よりも送電線路が狙われるだろう。

  Jon Askonas 記者による2018-7-23記事「Bolshevik Hybrid Warfare」。
   新刊紹介である。著者はLaura Engelstein氏。タイトルは『Russia in Flames: War, Revolution, Civil War, 1914 – 1921』。版元はNYのOxford University Press。
 ロシア特有の政治侵略のやり口を、歴史的に時系列的に学べる本。
 ロシア共産党の機動戦略。ただしこの機動(マヌーバ)とは三次元の動きのことではない。敵(モスクワ政府)の反応を不可能にしてやる工作イニシアチブのこと也。勝てると見込める狭い分野に先に集中すること。敵(政府)を出し抜く奇襲をし続ける事。
 ボルシェビキはまず活動拠点をつくる工作に数年をかけた。ペトログラードの工場労働者、同市内の陸海軍の兵士、電報局員、鉄道員、郵便屋を組織しようとした。
 かくして通信基幹をおさえたことが生存につながった。当局がボルシェビキを摘発しようとしても、決して後手にまわらずに済んだ。当局の指揮・連絡・通信を随意に妨害してやることができた。
 いたるところで、ストと暴動。
 鎮定のための増援軍は、兵士を満載した列車があらぬ方向へ向かってしまうことにより、ペトログラードへの集中ができなかった。
 現地兵営内でも、反政府アジテーション。
 ボルシォビキは、政治次元での機動戦(速度戦)に長けていたのである。それは三次元での機動戦より重要なことであった。
 ※イニシアチーフのことね。マヌーバではなくて。
 1917年に政権をとった社会主義革命は、農村に支持基盤があった。それに対してボルシェビキは、都市と軍隊が勢力基盤だった。
 ボルシェビキは内戦を恐れる理由がなかった。政敵たちは、皆、内戦を極度に嫌った。
 ドイツとブレストリトヴスク条約を結んでWWIから脱し得たのもボルシェビキの手柄である。他の社会主義者には、こんな大胆な決定は下し兼ねたのだ。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-7-23記事。
   米兵死傷の最新統計。
 こうした統計を見るときに、注意すべきこと。
 テロ攻撃を避けるために兵隊が車両を猛スピードで走らせる。その結果として交通事故死(自損事故)が増える。この死者をどう評価すべきか?
 長い間、国防総省は、朝鮮戦争での米兵の戦死者数を、じっさいより1万人以上多いとしていた。
 これは、統計をつくった粗忽者が、1950から53に全世界で事故死した米兵の数を、朝鮮での戦死者数にくっつけてしまったからだった。
 ようやく1980年代にこの誤統計が確認された。
 味方の誤射により死亡した将兵の実数は、伝統的に、常に、最小限に報告される。また、逃亡して行方知れずになった将兵も、しばしば、戦死者に括り入れて処理される。そうしないと部隊も銃後も動揺するからだ。
 ※最も堂々と誤統計が作られていたのが、戦闘攻撃機パイロットの誤認による味方攻撃の隠蔽だと思う。WWII中の米軍「エース」の多くが、相当数の味方のパイロットや地上兵、海上水兵を殺しているはずである。これこそ統計的に、そうでなくてはおかしいのである。しかしそれは物の見事に、決して、永久に、表沙汰にはされない。理由は想像がつく。なぜなら、味方を殺したと公認されてしまうと、もはやそのパイロットは、精神的にまったく使い物にはならなくなり、トータルで、味方軍の大損になってしまうからだ。