放置道標考

 いや~こっちは早くも夏が終わりかけているので、思い余って山登りをしてきました。
 「蝦夷松山」という、函館市街地からは誰もが望むことのできるスカイラインなのですが、誰もそんな山名など意識したこともあるまいと思われる、無名に近いピーク。667m。
 2002年改訂の『北海道夏山ガイド』を片手に、なんとか登頂できました。このガイドブックがなかったら、もうどうしようもなかったです。
 途中に数ヶ所ある分岐点の指導標識が、もののみごとに全滅状態でしたので……。
 陣川温泉の少し上、真言宗神山教会の霊場(そこには硫黄臭のする鉱泉が湧出している)を通り過ぎたすぐ上に、まず最初の重要なY字分岐があるのですが、ここの、右側が登山路であるという標識(10年くらい前にはあった見覚えあり)が、なくなっていました。たぶん、よそから来た人はここでアウトでしょう。
 途中、大きなゴルフ場まで通じているらしい車用林道と十字クロスするところにも、何の案内板もありません。右手へ行けばゴルフ場までエスケープできるという案内があってもいいんじゃないか?
 そのクロスを過ぎた先に1箇所だけ「蝦夷松山登山道→」と書かれた木製の標識看板が丸太の柱頭に固定されて路傍に立っていたのが、唯一、健全な状態の案内標識でした。その先が谷渡りのために下り坂になっているので、疑問を生じてしまうであろう登山者を慮ったのかもしれません。でもこれは分岐点に植立した方が親切ですよ。
 標高510mの最後のY字分岐には、道標の柱だけが残っており、標識看板は地面に落下して草に埋もれた状態でした。そこから頂上までは、ここ半年かそれ以上、刈り払われてないだろうと思われる藪状態。そこを30分前後も縫って行く。岩場のロープ下端まで辿り着かないうちに「おかしい。引き返そう」と、信念が揺らぐ人も多いのではなかろうかと思いました。
 イタリアのRC高架橋崩落事故の映像を見てつくづく思います。上からの荷重(道標の場合、積雪と、春に徐々に融雪するさいのおそるべき引っ張り力)や、横からの強風に、何年も曝され続ける人工構造物は、そこに立っているだけでも常に壊れつつあるんだという認識が必要です。
 「横に長い看板」はさいしょからダメでしょう。「柱と分離する可能性のある板」もダメでしょう。それらは必ず雪圧で脱落するか、風で吹き飛ばされる。
 理想的なのは、担いで登り易いアルミの中空柱で、頂端部の少し下の上下50cmほどが僅かにリセスになっていて、そのリセスが長方形の平面であるものです。その平面上に文字や矢印をレーザーで彫り付けて、1本柱の案内標識とする。
 これならば、風雪や倒木、落下枝の破壊力にも耐えて、何十年も役目を果たしてくれるだろうと愚考します。
 次。
 LOUISA LOVELUCK 記者による2018-8-18記事「The secret app that gives Syrian civilians minutes to escape airstrikes」。
   シリア政府軍の航空基地を見張る一人の男。空軍機が離陸すると、スマホから「空襲警報アプリ」のホストコンピュータに一報を入れる。
 ホストコンピュータは、その予想爆撃目標を推測し、SNSを通じて一斉に警報を発する。
 反政府ゲリラも、民間人エイドワーカーも、ただちに退避壕へ。
 このシステム構築のために、複数の西側政府が資金を出している。
 見張り役は8時間交代。飛行機を視認したら、その位置、飛行方向、そして、為し得れば機種を、ただちに通報する。
 この情報は、複数のリモートセンサーのデータによって補完される。
 センサーは音響を拾うマイクである。樹上やビルの屋上に匿して設置され、航空機の速度や、機種まで判別ができる。
 その上で過去の空襲パターンのデータを参照して、予見される空爆地区と、空爆開始時刻が算定される。
 SNSを通じ警報を受けた区域では、サイレンを鳴らして人々を避難させる。
 当該地区の病院施設では、警告灯が明滅する。
 航空無線を傍受することにより、化学兵器による攻撃の兆候を察知できることもある。
 ※地方の書店でまだ『日本転覆テロの怖すぎる手口』が入荷していないところはあるかな? 神社の御神木に除草剤を注入するといった「隠微なテロ」が日本ではこれから主流になるのです。山の中の道標を意図的に破壊する手合いも現れないとは限らない。日本社会が「社会破壊工作員」たちの後手に廻ってしまわぬように、早く本書によって意識を一新するのだ!