西暦600年から800年にかけてのイスラムの膨脹は、軍事テクノロジーによっては説明できない。

 だから、宗教的情熱の成果だったとされる。
 その節は、ガックリと寒冷化した200年であった。南北勢力交替の理由の過半はそれで説明できる。
 次。
 「Was Napoleon Defeated By The Weather In 1815?」。
    英国インペリアルカレジのGenge博士による新著は主張する。
 いわく。1815のタンボラ火山(インドネシア)の大噴火が、ワーテルローにおけるナポレオンの敗因だったんだ、と。
 ちなみに1816は「夏の無い年」と欧州では呼ばれたものだが、1815にはどんな影響があったというのか?
 いちばん細かな火山灰が電離層にまで達してそこで帯電した。それが電気的短絡を誘発し、西欧の雲を増加させ、ベルギーに大雨を降らせた。ナポレオンが得意とした機動は、泥田の中では遂行が不可能だった。
 タンボラの大噴火は1815-4月10日。小噴火はそれから半年続いた。
 ワーテルロー会戦は1815-6月18日に決着している。
 ※参考までに。1815-6-28に尾張~美濃南部で大洪水。7-9にも美濃大洪水。これは旧暦かもわからんけど……。
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 Sandra Erwin 記者による2018-8-22記事「Trident Space’s challenge: Standing out from the crowd of SAR satellite startups
   かつて、レーダー偵察衛星で得られる画像といえば、1950年代の白黒テレビのように粗く不鮮明だった。雲に妨げられず、夜間にも撮影できることだけがメリットだった。
 ところがSAR(合成開口レーダー)の技術が発達し、また画像信号処理ソフトにAIが活用されるようになったので、いまや画像の質は光学衛星に近づき、しかもまた光学衛星では得られぬ情報も集まる。
 従来よりは遥かに小型軽量なレーダー偵察衛星を低軌道に多数周回させるという流儀によってそれが実現ができるのだ。
 その流儀を早く採用した民間会社は、全地球的なレーダー画像サービスを、世界の政府や企業向けに適価で有料提供できる大ビジネスを展開できるだろう。
 それをやろうとしているのが、米国ヴァジニア州にあるトライデント・スペース社だ。
 同社は2021年から、SAR小型衛星の打ち上げをスタートし、2027年には計48機をLEOに周回させると吹かしている。
 6機のコンステレーションなら、地球上の中緯度地方の任意の一地点を、連日、20回、レーダー衛星で撮像し得る。(これをリヴィジット回数と呼ぶ。)
 48機のコンステレーションが完成すれば、中緯度地方の地上の任意点に対するリヴィジットの間隔は10分未満となる。
 ※これはすごい。敵偵察衛星を韜晦することにかけてはプロである露軍、北鮮軍、中共軍が、平時においてはもはや欺騙行動が不可能になる。10分間では何もできるものではない。
 トライデントスペース社の衛星は、太陽同期軌道は採用しない。南北両極を通らぬ傾斜軌道で回す。その方が、リヴィジット・レートを高くできるし、光学衛星ではないのだから太陽光線に拘る必要などないのだ。
 小型SARの撮像解像度は、1mから30cmになるだろう。
 1m解像度の撮像イメージを、同社は、1平方キロメートルあたり、10ドルで売り出すであろう。
 SARの性能は、アンテナのサイズに依存する。
 電波はXバンドである。
 同社は結論として、衛星は300kgにまとめることにした。
 300kgサイズとなると、軌道上での寿命は4年である。その寿命が尽きるまでに、1m解像度の地表画像を、4400万平方キロメートル分、撮像できるだろう。
 ※低軌道となるほど小型機でも鮮明な反射画像が得られる。周回頻度も増大する。そのかわりに大気抵抗があるから寿命が短い。ギリギリの選択だね。
 1平米の写真を10ドルで売るのだから、1機が生涯に稼げる収入はMaxで4億4400万ドルだ。それに対して1機を打ち上げるコストは4200万ドル。
 搭載するレーダーは現在、小型セスナ機に搭載してメリーランド州南部でテスト中。
 そのデータ(インフォメーション)から、有益情報(インテリジェンス)を抽出するAIが商売の決め手だ。客に生データを渡して客に写真解析をさせるわけにはいかない。写真を根拠にした有益情報を、顧客に売るのだ。マシンラーニングが決め手である。
 SAR写真のAI分析は、産業として、まだ発展途上。というのは、ラーニングさせるための生データがまだまだ足りないのである。
 ※日本のカメラ付きドローンメーカーがDJI社製品群を凌駕するにはどうしたらよいのか? 陸自が無人機分野の遅れを取り戻すにはどうしたらよいのか? やっと成案が得られた。一発逆転勝利は可能である。どこかで語るチャンスもあるだろう。それにしても技本は不甲斐ない。原始時代のマネージングをやってんのか?