世を憤らんよりは、進みてこれを救済すべし。

 Kyle Mizokami 記者による2018-8-24記事「Russian Vehicle Demonstrates New ‘Double Tap’ Anti-Tank Technique」。
       モスクワ郊外で毎年開かれる陸軍エクスポ。2018年度には、8×8の「ブメラン」装甲車が走行しながら2発を同時に発射して誘導できる「コルネット EM」対戦車ミサイルがデモンストレートされた。
 古いT-62が標的に供された。
 ※記者はこれはリアクティヴアーマーを無効化するためだと解説しているが、実戦状況下で敵戦車表皮の狭い一点に2発が続けて当たることを期待するほどロシア人も阿呆じゃない。これは《APSをAIによっていくら進歩させても、同時弾着飽和攻撃のコンセプトで無力化できるぞ》という虚勢なのだ。コルネットはとても重いシステムなので車載でなければなかなか運用もし難い。だとすればその車両は米軍の近傍で探知されずに済むのか?
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 Avery Thompson 記者による2018-8-24記事「NASA’s New Spacecraft Will Fire High-Powered Lasers at Ice」。
   7月に軌道投入された「GRACE」衛星は、複数衛星によって微妙な重力変動を検出する。写真撮影だけではつきとめられない、南極等の深層部の融氷を探知せんとす。
 そしてNASAが9月に打ち上げ予定の「アイスサット2」は、レーザーで南極の氷の表面の高さを精密に測り直す。
 これまでの測地衛星より進歩しているのは、1秒間に発射できるレーザーパルスの回数。だいたい1万発/秒に達する。おかげで、これまでより50倍細密な標高地図が得られる。
 ※この二つの技術を組み合わせて平時に経時的にデータをストックしておくと、イランや北鮮の地下建築工事を見破ることが、宇宙から、できるようになるのだろう。NASAは遊び本位の研究機関じゃないのだ。ところでトランプ氏による「宇宙軍」の創設に反対したい米空軍の起用する御用論客にパッとしたのが1人も見られないのが、最近の驚き……というか「やっぱりね」の慨嘆だ。大きな趨勢は、有人+遊びにこだわる空軍が、「グレイイーグル」などの無人機で無血勝利を探る陸軍と、無人衛星を使う宇宙軍に、挟撃されて地歩を侵蝕されるという流れ。この「無人」性で括るなら、宇宙軍とICBMは統合されてもいいだろう。空軍にICBMを任せておいたら、士気の点でも良いことはないと思う。
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 Jack Baruth 記者による2018-8-22記事「This War-Proven Radar Tech Lets Self-Driving Cars See the Road When You Can’t」。
    地面の下、1~3mがどうなっているか。ボーリングするとはっきりするが、対地中レーダーを使っても、ある程度の層を明らかにできる。
 これをあらかじめメッシュ状にデータ化しておき、そのマップと、車載レーダーから得られる刻々の直近の地下層の変化を照合して行けば、ロボット自動車も、確実にルートを見つけられる。
 すなわち、巡航ミサイルの地表高度マップ照合飛翔術と同じように、陸上車両も、GPSやレーザービジョンに頼ることなしに、正確なルートを辿ることができるのだ。たとえば雪や火山灰によって地表がすっかり覆われてしまって道路の境界がまるで分からぬようなときに、この方法だけが頼りになる。
 ただしこれは万能ではない。たとえば、アスファルトで覆われていない、むき出しの鋼鉄の橋梁上だったら、対地レーダーは盲目同然だから。
 ※ぜんぜん関係ないが、もし滑腔砲身とSABOT付き翼安定弾の組み合わせで加農砲の射程を2倍以上にできることがWWI前に発見されていたら、20世紀の戦争はガラリと変わっていたはずだ。ドイツは長さ150mのムカデ砲を地下に設置しなくとも、トンネル引きこみ式の列車砲でロンドンを砲撃できた。艦砲射撃は超水平線距離から実施される反面、低速大型艦船が幅80km未満の敵性海峡を通過する試みは、要塞砲のために、悪天候時以外は至って危険になっただろう。また、イスラエルの武力建国は最初から不可能になっただろう。