Gaupillat【ゴピヤー】という名の武器メーカーがあったのねんのねんのねん!

 いや杉浦久也さんにはすっかりご面倒をおかけしてしまった。「Gaupillat」という名のフランスのメーカーがあることを直接にご示教くだすった。
 学匠の手によりそこまで調べがついているのに愚老が余計な憶見妄譚、いまさら慙愧いたすほかなし。まっ平ご容赦を賜ります。
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 Neil Fotre 記者による記事「F-35B Lightning IIs need protection from … lightning」。
      岩国基地の海兵隊は、LBAテクノロジー社から、14本の避雷針を調達する。
 この避雷針は移動式。ハンガーの外に駐機しているF-35Bを落雷の被害から守る。
 特に電撃に弱いのが、F-35のウリであるALIS=自動ロジスティクス情報システムだ。
 地上で機体に被雷した場合、燃料タンクの中にある気化ガスに火が着く恐れもあるという。
 移動式避雷針は、天気予報で雷雲が接近しそうなときにだけ、引っ張り出す。
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 Avery Thompson 記者による2018-8-23記事「Clever New Tech Could Let Subs and Planes Talk Directly」。
     MITが、潜水艦から上空の味方飛行機に、無線ブイを使わずに、信号を送り届ける方法を考えた。
 強力なスピーカーで潜水艦の直上の海面(表面の1ミリの厚さ)を震動させる。
 使用する音波を2種類に決めておき、それを「1」と「0」の代用にする。
 その振動波形を、味方飛行機が、レーダーによって読み取る。バイナリー信号を解読すると、メッセージになるのだ。
 ※室内の会話が窓を震動させるので、外からスパイしている者が窓の震動を可視化できれば会話音声も再現できる――という話と同じなのかと思ったら、違いました。
 ※じつは似たような「軍艦のデコイ」を想像したことがある。一般に、何もない海面は、上空からのレーダー電波を反射しないので、SAR画面ならば黒く映る。しからば、敵のアクティヴ・ホーミング式対艦ミサイルの発するレーダーを強烈に反射できる波形の「さざなみ」を人工的に付近の海面に発生させてやれば、その海面だけ「まっ白」になって際立ち、エグゾセ・タイプの敵の旧式な対艦ミサイルは、ぜんぶその海面へ吸引されるのではないか? 水面のマイクロ波散乱強度を大きくする薬剤は開発できないだろうか?
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 David Hambling 記者による2018-8-30記事「The Science of Russia’s New Silent Sniper Rifle」。
     ことしのロシア陸軍エクスポには狙撃銃「MTs-116M」の消音バージョンが出展された。
 MTs-116Mは20年前からあるボルトアクションで、7.62ミリ弾を使い、700mまで狙えたもの。
 ところがメーカーは今回それを12.7mmに増径し、なおかつ無音化したという。
 7月に公表されたところでは、中東ではISも、クルド部隊のYPGも、消音小火器を使っているのだという。大流行のブームだ。
 ライフルの弾が飛びすぎるときにシーツを引き裂くような音が聞こえる。これが、超音速銃弾が作るソニックブーム。
 そこでタマの初速を亜音速に設定しておけば飛翔中にノイズが出ることはなくなる。問題は、弾速が減少すればタマの貫通力もなくなってしまうこと。
 そこで、5倍も重い12.7ミリ弾を選んだ。これなら亜音速で飛ばしても300m先での対人殺傷威力は維持される。
 メーカーは、ボディアーマーも貫徹する、と主張している。
 ※いっぱんに銃弾の命中時のエネルギーは弾速の2乗に比例するけれども、弾重には1乗でしか効いて行かぬ。さいわい、ライフル弾を亜音速に減速するためには、初速を半分にする必要はない。それに対して12.7ミリ弾の弾重は7.62ミリ弾の5倍あるという。4倍以上あればエネルギー減の補償が可能ではないかと単純に思う。あとは、12.7ミリ弾の素材と形状の工夫か……。
 次の問題は、銃口部からの発射音。ふつうにライフルの筒先に消音機を付け足そうとしたら30cm以上もの長さが加わっちまう。
 だがロシア人は1970年代に、「キャプティヴ・ピストン」というおそろしい発明を、暗殺拳銃用になしとげていたのだ。
 これは、発射薬の燃焼ガスの膨脹が、薬室から前方(すなわち銃身の方向)へは、少しも漏れ出さぬようにしたものだ。だから銃身内にはガスは入らない。
 とすれば、そのガスが銃口において急に大気中に拡散して「パン」という大きな音を立てることもない。したがってサイレンサー自体が不要なのだ。
 拳銃名を「PSS」といった。
 想像するとよい。太く短い薬莢だけを前後さかさまにして、長い薬室に装填する。その薬莢のケツには小さな弾頭部が接着されている。
 薬莢内の発射薬が点火されると、薬莢は後ろ向きに前進するが、薬室の先端部(銃身の尾端部)で、前進は阻止される。片道運動のピストンのようなものだ。しかしその急激な運動エネルギーは、薬莢のケツに接着された弾頭がひきとり、小さな弾頭だけが銃身内を前進・通過し、ターゲットの人体に向けて飛翔する。
 現場に空薬莢が転がることもないし、ポケット内からでも発射ができるし、スパイの暗殺用拳銃としては、メリット大であった。
 このPSS拳銃を試射して発射音を計測したところ、9ミリのグロックの1/6であり、また、0.22インチ口径拳銃の1/8であったと。
 「PSS」拳銃は2011年に改善されて復活し「PSS-2」と称されている。その実包は非常な高額だそうである。「MTs-116M」は、その特殊実包を12.7ミリに応用した。