近代の迂儒にはいちど曲学を勧める。

 仮にテキサス州とメキシコの間で軍事的な緊張が高まったときに、もしテキサス州知事が「国家(ネイション/ステイト)の自衛権」と発言すれば、ニューイングランド諸州や連邦政府は怒るだろう。しかしテキサス住民は怒るだろうか?
 日本政府代表が1928パリ不戦条約に調印するときに日米覚書を交わし、「人民の名に於て」という言葉は「人民の代理者として」といった意味ではないと確認させた。また批准にさいしても、「人民の名に於て」という言葉は、「帝国憲法の条章より観て、日本国に限り適用なきものと了解することを宣言す」と述べた。条約幹事の米国はそれを受け入れているのではなかったか。
 日本国の実態はテキサス州以上に、概ね「ピープル=ネイション」である。これが英帝国や合衆国連邦の実態と差異がある歴史的な事実は、日本人民の功でもなければ罪でもない。
 「ピープル=ネイション」であったことにより、日本人は古代には大陸勢力に支配されず、近代には西洋列強に自由を奪われずに済んできた。特殊な国体は偶然にも「近代的自由」に親近であり、自由主義革命であった維新の前後には絶大な功利が認められた。この国体を軽んずれば日本人はすぐに自由を失うに至る。わが国周辺の反近代集団の本能的対日憎悪を舐めていてはいけない。儒教圏人は「序列」に命を懸けている。他者を下位序列にハメ込んで自由を奪い取る手練手管の前に、団結の中心をなくした日本人(パーソン)は対抗不能である。
 人民(ピープル)を国際法空間の主人公に据えるのはイデアではあり得るかもしれないが、闇雲にスタンダード化しようとしても百年河清を虚しく待つに似て非現実的である。英政府も米政府もそんなことは疾うから承知して内外を経営している。
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 COREY DICKSTEIN 記者による2018-9-21記事「Army misses 2018 recruiting goal, which hasn’t happened since 2005」。
    もうじき9月30日に「FY2018」が終わる。にもかかわらず米陸軍は、新兵募集目標を6500人も下回る見通し。これはFY2005いらいの、久々の不調である。
 陸軍の2018会計年度の目標値は、7万6500人である。当初は8万人としていたが、4月時点で予期したよりも現役兵の除隊意向者が少なく、それだけ新兵募集はしなくてすむことになった。
 人があつまらない主因は、米国の景気が良いので他にたくさん職があるから。特に大都市で、人気がない。
 ただし、空軍、海兵隊、海軍は、それぞれ今年の募集目標を達成している(いずれも陸軍よりは小所帯で募集人数も少ない)。
 ペンタゴンによれば、米国居住者の13%は、米軍に勤務してもいいかな、と思っている。
 他方、米国では17歳から24歳が徴兵適齢なのだが、そのうちの7割は、教官から見て「こんなのは徴兵したくねえ。軍隊に来るんじゃねえぞ」と申し渡したくなるレベル(体力的、頭脳的、情緒的、犯歴的、社会思想的、国籍的に)だそうだ。
 米陸軍は、現勢だと47万6000人だが、これを2024年までに50万人に増やそうとしているので、募集に負荷がかかっているのである。
 2018-10-1〔この日からFY2019がスタートする〕までに陸軍は、できれば48万3500人にしたかった。
 米陸軍は、ソーシャルメディアを通じた募集広報活動の他、双方向オンライン・ゲームを通じた募集もしているところだ。
 ※とつぜんひらめいた。高齢で退職しなければならない陸自下士官のうち、体力検定を問題なくクリアしている者については、定年の撤廃と「募集出張サービス部隊」への所属を認め、全国に派遣して、田舎の少年たちのサバイバルゲームの相手チームになってやるというのはどうだ。「中隊の主」「中隊の神」レベルの先任古参下士官が原隊に居残られては若い者がやりにくくてたまらないだろうが、古巣からサクッと追い出して他所の派遣専用の部隊に単身赴任させるのならば特に問題ないはずだ。あらゆる「雑用」が考えられる。たとえば「雪祭り」の手伝い業務などはこういう老人部隊にさせるのが筋だろう。
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 TARA BAHRAMPOUR 記者による2018-9-21記事「In 1960, about half a million teens took a test. Now it could predict whether they get Alzheimer’s」。
    ソ連からスプートニク・ショックを喰らわされた米政府は1960年に大規模な才能調査を試みた。全国の44万人の高校生(15歳)に、2日半もかかる総合的な知能テストを受けさせたのだ。
 後に有名ミュージシャンとなる、ジャニス・ジョプリン(テキサス州の高校生)やジム・モリソン(ヴァジニア州の高校生)も偶然、被験者だった。
 当時の15歳の若者たちのうち、生存者は今、73歳くらいになっている。60歳を過ぎれば、人はいつ、アルツハイマーを発症してもおかしくない。
 それについて追跡調査をしたところ、「やっぱり」な結果が出た。
 15歳で頭がシャープだった者は、老齢となってもアルツハイマーにはなりにくいようである。
 これら被験者の追跡はインターネット以前の時代には至難であった。インターネットのおかげで、追跡可能になったのだ。
 かれらは2009年には高校卒業50周年のリユニオン(同窓会)の年を迎えた。その時点でだいたい四分の一が死んでいることが判明している。