中共は11月の中間選挙でトランプ派をボロ負けさせるには、交渉しない方が良いと判断したのか。

 Loren Thompson 記者による2018-9-21記事「’Mad Dog’ Defanged: How A Missing Missile Defense Report Explains Mattis’ Impending Departure」。
         マティスは、トランプの意向とは反対に、駐アフガニスタン米兵を増強した。NATOの国防費にはうるさいことを言わず、イランとの核合意は守るべきだとする。
 1年目のトランプは素人自覚ゆえマティスの言うことをきいてきたが、しだいにマティスは自分と同じ安全保障観を持っていないと疑うようになった。そして、ハードライナーである、ポンペオとボルトンをトランプは引き立てた。
 ついに9-15に『NYT』は、マティスが政権を去るだろうと報じた。
 ペンタゴン内から見るとただの思いつきでしかない大統領の意向を白紙に還す仕事に、マティスは疲労しつつあるという。
 だが真相はどうかな? 報道とは逆に、じつはトランプの方が、マティスを含めたペンタゴンの高官たちよりも、アメリカの問題と為すべきことを把握できているのではないかな?
 たとえば将来、正気かどうか定かではない独裁者が米国を攻撃できる核ミサイルを持っていることについて、強度に心配して早い措置を命ずるのは、大統領として至当なのではないか。
 それに、ロシアや中共が米国の民主主義そのものを破壊しようとかかってきているのに、アフガニスタンなんぞに底なしに軍事費を注ぎ込んでいる場合なのか?
 北鮮のGDPは、ロサンゼルス市の財政規模よりも小さい。トランプが在韓米軍の費用負担を問題視するのも、自然なことだ。
 アフガンからは撤収し、カネを本土防空網にまわせというのがトランプの結論だ。
 ところが安全保障専門家たちは、米軍の基地が世界の最前線にたくさんあれば抑止になるので、本土防空は必要ないと主張している。
 マティスは現状維持にしか関心はない。本土防空強化には反対である。こんな国防長官は、追い出されてもよいのだ。
 ※マティスがトランプに言ったとされる、在韓米軍は第三次世界大戦を防ぐためにあるというレトリック。マティスからの敷衍説明を聞いた記憶がないが、想像するとこういうことか。北鮮が南侵して半島で大兵乱が起きると米軍の戦争資源がアジアに釘付けになってしまい、そこを衝いてロシアがバルト海を侵略すると。もしもこのレベルの発想をしているのなら、マティスは戦略家ではない。
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 Jude Clemente 記者による2018-9-21記事「The US Natural Gas Pipeline System Needs to Be Expanded and Upgraded
     マサチューセッツで、老朽化していた都市ガス(天然ガス)の埋設管が破裂し炎上した。
 じつは米国の都市ガス管は1930年代とか40年代に敷設されたものが多い。そろそろ、これらの総とっかえが必要になっている。
 米エネルギー省は、2050年時点でも、米国は石油と天然ガスにエネルギーの55%を依存しているはずだと予言している。
 ある専門家いわく、2018年において遂に米国人が消費する最大のエネルギー資源は石油ではなくて天然ガスとなる。そして1985年いらい、米国からの二酸化炭素排出は最も少なくなる、と。
 ニューイングランド地方ではガスパイプラインの拡大や工事に反対する勢力(風車とソーラーを推す)があり、これが今後の悩みである。
 ニューイングランドでは、発電所の熱源も、天然ガスが大宗となりつつあるのに……。
 エネルギー省の予測では2050年にニューイングランド人は天然ガスにエネルギーの36%を依存しているはず。
 米国ガス協会の統計。全米には210のガス供給管網がある。ガス輸送管の総延長は30万マイル。パイプラインの途中に設けるコンプレッサーステーションは1400箇所以上。ガスを気化させて消費者に配給する工場は1万1000箇所。ガスを外部から受け入れる基地は5000箇所。州間のパイプライン結節点は1400箇所。
 問題はトランプの新関税。
 500マイルのパイプラインには、6万4375トンの鋼鉄が必要だ。
 その特殊鋼管はほとんどが輸入である。よってガスの消費者は鋼鉄の関税を将来、余計に負担せねばならない。
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 Alex Howard 記者による2018-8-22記事「US election campaign technology from 2008 to 2018, and beyond」。
   オバマが当選した2008大統領選挙。この都市はアイホンがデビューして1年目だった。
 オバマが二期目を決めた2012選挙。この時点ではもう政党のテレビCMよりもフェイスブックの方が、有権者にアピールするようになっていた。
 民主党はテクノロジーをうまく使い、共和党はぜんぜんダメだった。ロムニー候補は「オルカ」というシステムでボランティアを投票に行かせるつもりだったが、このシステムはもののみごとに故障してくれた。
 2016大統領選挙では、トランプのツイッター書き込みが、ヒラリー陣営の新設計アプリケーションを圧倒した。
 トランプが雇った分析会社が、有権者の心理プロファイルをしていた。フェイスブックから盗取されたデータが使われたと非難する者もいるが。
 2016選挙でトランプとヒラリーがフェイスブックにつぎ込んだ宣伝工作費用は総額数千万ドルだったろう。それにロシアが10万ドルかけた不法工作で介入した。ある機関の推定によれば、2016選挙そのものの総コストは65億ドルだったと。
 ヒラリー陣営はフェイスブックに埋め込む広告のために数千万ドル使ったが、そのフェイスブックを見ている者のプロファイリング分析がおおまかで、相手の視聴者のカテゴリーに細かく対応した宣伝内容を考えておらず、結果、有効ではなかった。
 2016-6~11月に展開されたフェイスブック広告数。ヒラリー陣営は6万6000。トランプ陣営は590万。
 トランプ陣営は毎日6万種類の異なった広告をフェイスブックに打ち続けたことになるという。
 選挙に使える資金集めツールというのが複数ある。そのひとつの「コールタイム」はAIを駆使して寄付者の気を惹くという。