陣川温泉が復活していた!

 正確には、「白伏[しろふし]稲荷温泉」と改名している。8月に蝦夷松山に登山したとき、すぐ脇を通ったのに、まったく気が付かなかった。どうもその直後に竣工したらしい。
 あわててネットで検索すると、浴場に時計がないだとか、口コミはあまり良いことが書いてない。
 ところがじっさいに行ってみたら、時計はついていたし、高温度の浴槽も完備している等、わたし的には満足が得られたのである。
 陣川温泉は泉源の温度がじゅうぶんに高くないために、重油ボイラーを使って再加熱する必要がある。だからどうしたって料金は500円より下げられまい。それでも油価が変動するので並の経営者では心労に押し潰される(古タイヤを燃料化する新式ボイラーを導入して復活した「あじさい温泉」はレアケース)。それで陣川温泉の旧オーナーは自殺を遂げたと聞いている。だからこの山裾の場所を引き継いで建物をまったく新しく建て直し、館内に多数の高齢者従業員を配することのできている新事業主が、五稜郭公園の近くで不思議な喫茶店を経営している神道系の宗教団体だと聞いて、それは地元には朗報じゃないかと素直に思った。
 この温泉内部の面白さだが、現経営者が資金と「マンパワー」にはそれほど不自由していないが温泉経営は素人なのだと考えるといろいろ納得できた。露天風呂は無い。これは燃料代の節約を考えてだろう。その代わりに2階に展望風呂というのがある。ところが、その2階の浴場へ行くには、いったん脱衣所まで戻り、そこからすっ裸でエレベーターに搭乗するか、やはり全裸のままでエレベーター脇のオフィスビルっぽい階段を登って行くしかない。ヌーディスト村かここは? もしエレベーターの扉が開いたとき、そこが予期に反して大宴会場だったりしたらどうなるのか? コントだろう。また、もし階段の上から下りてきた人がスーツ姿の男女の一団だったら? 逮捕されちゃうじゃないかよ。さすがにエレベーター前には従業員が立ち番をしており、トラブルが起きないように気をつけている風だったが、それすら罠かもしれん。わたしにはとても試す勇気は無かった。が、蛮勇を以って鳴らすわが家族の報告によれば、2階浴場の方が照明を落としてあって落ち着けたと。ただし函館港方向の展望がそれほど佳いわけではなく、向かいの民家から覗かれぬように設けられた目隠し板が邪魔であったと。
 館内の暖房は十分であり、待合スペースで湯冷めすることもなし。これは高く評価されてよい。
 また往々、こうした施設の待合室ではTVの音量が大きいのが迷惑なのだが、ここは音量が控え目で、好感できた。
 女湯の脱衣所に置かれたヘアードライヤーは「100円玉で10分」だそうで、「時間は3分でいい」「100円は高すぎる」との声を聞いた。
 ガチャガチャ引き換えサービスは、オープン当初だけの短期企画ではなく、継続するらしい。ということは、ここに1回やってくるごとに、予備のタオルが1枚増えてしまう可能性があるのか……。
 講評。いまさら設計変更など無理だろうからこれは愚痴なのだが、1階を男湯、2階が女湯、と、上下で分割するレイアウトにするべきだった。週替わりで上下階を入れ替えさせるようにしたなら、地元客も飽きないに違いない。
 上下階ですっぽんぽんの客に自由交通させるなんて、管理要員の人件費を考えただけでもおそろしい話だ。
 しかし、できるだけ多数の従業員を抱えるというオーナーのポリシーでもあるのならば、以上の講評は撤回する。願うところは、この温泉が長く持続してくれることだ。
 次。
 記事「Russia’s controversial 9M729 missile system: A not-so-secret secret」。
    ロシアのINF違反品目、9M729は「ノヴァトール」とも言い、NATO識別称は「SSC-8」である。
 ロシアのINF違反を米国庶民が知ったたのは、2014-7の『NYT』報道が最初だった。オバマがプーチンに、違反を咎める書簡を送ったというすっぱぬき。
 なんと違反実験は2008年前半から続いていたのだという。
 NYT報によればオバマ政権はロシアがINFに戻るよう期待して公然たる非難を控えたという。
 2018-12-4の国務省発表によれば2014から今日まで秘密裡に5回、米露の核兵器担当者同士でこの件が話し合われたものの、ロシアは嘘と韜晦を続け、開発と生産を続行した。
 11-29にトランプ政権のNSCメンバーであるクリストファー・フォードが、DCのウィルソンセンターにて、ロシアのNovator社が「9M729」という違反品目を開発したと公表した。
 ノヴァトール局は、ロシア国営兵器廠アルマス・アンテイの一部門で、これまで、海上発射型のカリブル巡航ミサイルをてがけている。
 国家情報局のダン・コーツによれば、9M729は2000年代なかばから開発がスタートした。諸元は謎である。
 路上機動式のイスカンダル戦術弾道ミサイル(核/非核両用)と、カリブルの技術が応用されているのではないかという。
 開発のための試射は2015年まで熱心に反復された。
 INF条約では、海上発射式または空中発射式であった中距離ミサイルを陸上から発射するテストを行うことも禁じている。が、ロシアは条約を蹂躙し続けた。
 「9M729」の射程については、部外者は誰一人知らない。ブルッキングス研究所の軍縮専門家スティーヴン・パイファーは、過去に2000kmだと見積もったことがある。が、最近は「500km強かも」と自信なさげである。
 ※試射を衛星でモニターできている政権内の情報系高官は、とうぜん飛距離は把握している。だがそれがちっとも漏れて来ない。これは偉い。
 トランプ政権は、9M729は間もなく実戦配備される、そういう段階に来たと信じている。
 2017-2のNYT報道では、ヴォルゴグラード市近郊、カプスティン・ヤールにあるロケット発射場と、別の某所で、ロシアの複数の部隊が新型ミサイルを装備していると。
 コーツによれば、既に装備している部隊がセベラル個あると。その一部はアジア向けかもしれないと。外見は既存のミサイルに似ており、コンパクトで、発射車両による機動が敏捷で、したがって衛星ではリアルタイム追跡をし難い。
 2017-12にロシア外務省は、9M729の存在を認めた。しかしそれはINFに違反していないのだと言い張った。
 次。
  Ben Werner 記者による2018-12-5記事「U.S. Destroyer Conducts FONOP Near Russian Pacific Fleet Headquarters」。
         米駆逐艦『マッキャンベル』(DDG-85)は、ウラジオストックの目の前、ピョートル大帝湾で、FONOPを実施した。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-12-6記事。
   シナ人の信条「水に落ちた犬は叩け」を英訳すれば「Attack while the enemy is weak」である。
 10月後半、民間衛星が、『094』型SSBN×2隻が浸水してドックで艤装中であることを探知した。
 げんざい『094』型は4隻就役しているが、かんじんのSLBMが未完成である。