中共軍はなぜ「有人機のスウォーム」部隊を作れないのか。それは彼らの社会統制と矛盾してしまうから。

 敵の社会の限界、弱点は何か。味方は?
 これを察して利用できるのはいまのところ人間だけ。
 AIはそこに関しては必ず人に遅れをとる。
 なぜなら、政治的存在たる人間は、相互に、事実や真相や率直な思いを隠そうとするから。コンピュータにだけ、なにもかも打ち明けたりもできない。
 A国はB国に対して開戦するか?
 B国が強いうちはしない。しかし口では開戦を辞さないようなことを言う。
 A国のAIがB国の実力を判定して無害と認定すればA国の国防努力のガードが下がる。
 するとB国が開戦を決意するかもしれない。
 人間の勝敗期待が必ずしも合理的ではないから、AIが政治について予言することも合理的ではなくなる。
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 Ankit Panda 記者による2018-12-20記事「China Conducts First Test of New JL-3 Submarine-Launched Ballistic Missile」。
      11-24に中共海軍は「巨浪3」SLBMを初めて試射していた。場所は渤海。
 発射したプラットフォームは、通常型潜水艦を改造したもので、最新のSSBNの『096』型ではない。『096』はまだできていない。
 フルレンジで飛翔したのかどうか不明。
 どこに落ちたのかも報道されていない。
 しかしおそらくは、水中発射管から「コールド・エジェクション」できるかどうかの調子だけを見たのであろう。つまりレンジは0km。
 現在中共は、海南島にて、『094』型SSBNを4隻、運用可能に保っている。そこからは「巨浪2」を発射できる。巨浪2は、固体燃料の「東風31」をベースにしたものである。
 巨浪2の射程が7000kmではないかと想像されている。巨浪3は9000kmではないかと想像されている。※どちらも証明はされていない。
 ※2020年代に、シナ沿岸からSLBMが米東部まで届くようになる。それに間に合うようなペースで、日本の地ージスが建設されているのが分かるだろう。ABMには誰も何も期待していなくて、その新型レーダーに、米ミサイル防衛庁が期待しているのだ。こういう話も「ミリタリー・ワトソン」には入力ができない。そして、何も入力されなければ、AIには政治の判断などしようがない。
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 Joan Johnson-Freese 記者による2018-12-19記事「China launched more rockets into orbit in 2018 than any other country」。
       10月に酒泉から「Zhuque-1」という小型ロケットが打ち上げられた。これはランドスペース社という私企業が製作し、軌道にマイクロサテライト「ザ・フューチャー」を投入せんとした。
 ところが三段目が機能せず、軌道投入は失敗。
 まあ、よくあることだ。スペースXは最初の3回の打ち上げに失敗し、4回目が成功しなかったらイーロン・マスクの資金は尽きたところであった。
 シナでは別の私企業も宇宙ロケットを開発中だ。「ワンスペース」社といい、年内に衛星打ち上げを試みる。また「アイスペース」社は2019に衛星打ち上げビジネスに挑む。
 中共は、米国との宇宙戦争に勝つためには、こうした民間ロケット会社の躍進が必要である。
 ※一代にして富豪になることは難しい宇宙技術研究部門などにどうして若い理工系のシナ人エリートが敢えて参入するのか、私には謎であったが、これで納得した。ロケットや衛星ビジネスでカネを儲けられる道がすでに開放されていたのだ。
 2018-1~12月中旬時点で、米国は30回の宇宙ロケット打ち上げを成功させたが、シナは35回。
 中共政府は、民間商人が宇宙に参入することを、2014年に許可した。
 ランドスペース社は社員数十人で立ち上げられた。今は200人以上。
 同社はすでにデンマーク企業から、ナノサイズの地球観測衛星や通信衛星の打ち上げを受託している。
 アイスペース社は9月に、3機のナノサテライトを弾道軌道で飛ばし、最高到達点は大気圏外に達した。
 また、スペースXのコンセプトをマルパクするつもりのリンクスペース社は、2020年に最初の試射を計画している。
 ただしこれらの会社は資本も経営も実質的には中共の支配下にある。名前だけがスタートアップ風になっていて、市場から資金を集めやすくされているのだ。
 中共最大の航空宇宙企業CASCは、従業員が14万人以上おり、だいたいボーイング社に匹敵する。
 長征ロケットの製造企業はCALTである。
 「長征5」は、極低温の燃料を送り込むターボポンプが未成熟。2017-6の打ち上げはそれで失敗した。
 2022年までにはISSの向こうを張ったシナ人専用宇宙ステーションを完成したい。ただしサイズはISSの五分の一だが。
 シナ版ISSのすぐ近くには、シナ版ハッブルも周回させる。これは利口だ。ハップルの初期不具合の修繕に、NASAは3年以上もかかってしまった。だが宇宙ステーションのすぐ隣なら、随意随時に修理できる。
 長征5の5倍の軌道投入力のある「長征9」は、CALTにより2028に計画されている。140トンを一挙に投入できるという。
 この「長征9」ができないと、人間を月まで往復させられない。
 NASAの新型巨大ロケットSLSも2028打ち上げを期している。火星狙い。
 2011年の連邦法により、NASAは中共科学者と接触することが禁じられている。そのためISSからはシナ人が排斥されている次第。
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 Charlotte Jee 記者による2018-12-20記事「Drones have forced London’s Gatwick airport to close, leaving thousands of passengers stranded」。
   ロンドンのガトウィック空港は、滑走路近くで2機のドローンが目撃されたために、閉鎖されている。
 このためすくなくも1万人の客が予定の飛行機で飛べなくなった。
 この飛行場、1日で11万人(760便)が離発着の予定であった。
 インド政府は、民間人がドローンを離陸させる前には必ず当局の許可を受けさせるという厳しい政策をとっている。
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 ストラテジーペイジの2018-12-20記事。
   12-8に、フィリピンはロシア製ヘリコプターの調達方針を捨てた。制裁に抵触するので。
 今年前半、カナダ政府は、ドゥテルテの麻薬犯罪対策が過酷すぎるというので、輸送ヘリをフィリピンに売ってはならぬと国内メーカーに通達していた。
 ※てことはカナダ製P&Wエンジンを積んだスーパーツカノもフィリピンには売れなくなるじゃないか。
 けっきょくUH-60を16機、米国から。また、T129ガンシップを10機、トルコから買うことになった。
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 ANNE GEARAN AND JOSH DAWSEY 記者による2018-12-20記事「Mattis, once one of ‘my generals,’ loses clout with Trump」。
    ダンフォード統幕議長の退任は来年の秋。その交替人事(陸軍参謀総長マーク・ミレイ)をトランプが早々と発表したことでマティスはヤル気をなくしたかも。というのはその人事にはマティスは反対なのだ。
 マティス長官は、空軍参謀総長のゴルドフィンを推していた。
 マティスはしばしば、地図とグラフを手にトランプの政策を諌めようとしたが、無駄だった。