サウジが支配する中東よりもトルコが支配する中東の方が千倍マシに決まっているだろうが。

 アラブ人は「帝国」を建設したことがない。トルコ人とペルシャ人だけが、幾度も中東に「帝国」を建設し、数百年も運営してきた。多彩なバックグラウンドの多様な人民をマネージする能力において番付の最下位に位置する、無教養な沙漠の乞食風情が、英国から埋蔵石油を与えられたおかげで、金満国家となり、メッカの主人を気取り、調子に乗っているのを見る都度、現代トルコ人は憤懣やる方なかった。その隠忍自重が漸く報われるときがきた。
 世界人口に占めるイスラム教徒の比率は長期的にこれからどんどん増える。日本の中にもどんどん増える(移民とともに)。そのイスラム教徒の精神的なリーダー役をサウジ系にさせておいたら、世界も日本もテロだらけになってしまう。トルコだけがこの流れを止められる。大局的に正当化できるじゃないか。米国の決断は。
 これに賛成できなかったというマティス氏は所詮「海兵隊大将」レベルの器でござる。
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 JIJI の2018-12-20記事「Japan plans to install radar system in Yamaguchi Prefecture to monitor foreign ‘killer’ satellites」。
      山口県の山陽小野田市にある、海自の山陽受信所跡地(埴生IC南側)に、JAXAと空自合同の宇宙監視レーダーが建設される。
 FY2022に竣工させ、2023年度から運開予定。
 ※この受信所はP-3Cが集めたデータを首都圏のセンターへ中継する基地だったが、近年、衛星通信経由にその伝送経路が変わったので遊休化していたという。建設されるのは複数のパラボラアンテナ群だという。
 主に静止軌道帯(3万6000km上空)を監視する。
 既に空自からはJAXAに人が派遣され、宇宙監視についての研修が始められている。
 JAXAが岡山に持つ監視施設のデータも空自に渡す。それらを府中基地内で空自が解析する。
 中共は2010年に、ひとつの衛星によって別の衛星に接近させる実験をしている。
 ※その意味について知りたい人は拙著『米中「AI大戦」』の第4章を読むとよい。
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 ストラテジーペイジの2018-12-22記事。
    カモペディア( camopedia.org )というサイトがあるという。過去100年ほどの、世界中のカモフラージュ・パターン数千種類を集めているという。
 WWII中に米海兵隊が迷彩服を採用しているのだが、終戦までに止めてしまった。何十回も洗濯しているうちプリントが脱色して柄も乱れ、迷彩とは逆の目立ち効果が生じてしまうため。捺染技術が未熟であったのだ。
 もっとさかのぼるとWWI中にも迷彩はあった。斥候や挺進襲撃隊が使った。
 何百回洗っても脱色しなくなったのは1970年代以降である。
 「デジタル迷彩」を着想したのは、ウェストポイントで技術心理学を教えていたティモシー・オニール中佐であった。
 それはまず軍服にではなく、在独の米陸軍第二装甲騎兵連隊のAFV塗装として1978に初採用され、80年代前半まで試された。
 四角い小さいドットだけで迷彩を構成するシステムを軍服に適用するのは、古い頭の将軍たちに、直感的に受け入れられなかった。実験すると、他の迷彩よりも5割も、敵の眼を惹かないことが確かめられるのだが。
 デジタル迷彩は人間の眼をごまかすのではなく、人間の脳をごまかすのである。ヒトの脳が「兵士」「車両」「植物」等を認識しているプロセスを逆手に取っているのだ。デジタル迷彩のドットは、ヒトの脳にそれは「植物」であるという早とちりをさせる。
 ※これはAIのディープラーニングを考えるヒントにもなる。
 そしてまたデジタル迷彩は、暗視スコープを用いる敵兵の眼も、よくごまかすことができる。夜戦向きなのである。
 これを中国軍も認めた。2007年に彼らは、2003年に米軍が採用したのと類似したデジタルパターンを大規模に採用している。
 中共のデジタル迷彩は4種類である。市街地、森林、沙漠、海上用。
 米海軍は2010から青色のデジタル迷彩作業服を採用したが、激しく後悔させられた。なぜなら海軍将兵が迷彩が必要になるのは陸に上がったときである。陸上の他の友軍の中にブルーの兵隊が混じっていたら目だってしょうがない。友軍からつまはじきされてしまった。それで2016に、緑色となめし皮色の2色パターンへの変更を決めた。
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 Thomas Gibbons-Neff and Eric Schmitt 記者による2018-12-21記事「Pentagon Considers Using Special Operations Forces to Continue Mission in Syria」。
  ISは砂嵐に乗じて米軍部隊に反撃するようにしている。
 セントコムの考え。シリア国境のすぐ外側のイラク領内に、いつでも越境攻撃できる特殊部隊を配置しておけば、シリア国内からは撤退できるだろう。
 英軍と仏軍の特殊部隊は、米軍撤収後も、シリア内に残り続ける。
 ※あたりまえだ。そもそもシリアとイラクの紛擾の種を20世紀初めに撒いたのはこの2ヵ国だったのだからな。怒って当然なのにいままでテロもけしかけず我慢し続けてきたトルコに米国が肩入れする。これでいちばん弱るのはロシアと中共。ファイブアイズに次に加わるのもトルコじゃなかろうか。