声涙ともに下る。

 ストラテジーペイジの2018-12-23記事。
      ことしは3機のF-22が着陸時に事故を起こした。うち2件は滑走路に機体を擦った。
 2012年に1機が擦り事故を起こしたときは、その修理に6年、費用は3500万ドルかかった。
 2018-4の離陸失敗は次の如し。未熟なパイロットが、飛行場が高地にあることを忘れていた。パイロットは離陸時に低地のつもりで脚をすぐ引っ込めた。然るに高地だから空気が薄く、上昇ペースは悪い。それで尻を擦ってしまった。パイロットは離陸中止を決心し、延々と滑走路を胴体で滑ってしまった。
 10月のハリケーン襲来ではフロリダのティンダル空軍基地が焦った。55機のF-22のうち、17機は疎開のための離陸ができず、格納庫内に入れておくしかなかった。ハリケーンはその格納庫にかなりのダメージを与えた。さいわい、17機の傷はわずかで、数週間後には全機、飛べるようになった。
 F-22は増槽を吊るした状態で3000kmレンジあり。
 コンバット・ラディアスは760kmである。
 1時間飛ばすのに必要なメンテナンス費用は、7万ドルである。
 ちなみにF-16ならその三分の一のメンテナンス費用しかかからない。
 空軍は戦闘機の即応稼働率目標を最低でも70%と示達しているが、F-22は60%だ。
 F-22は、2017には一時、稼働率49%にまで低下したが、2018前半に、60%まで戻した。
 もし60%を維持し続けたとしても、F-22パイロットの全員が必要な訓練飛行時間は捻出ができない計算なので、これは危機的である。
 F-22の1個スコードロンは21機からなる。そこから数機を海外派遣するのだが、必要になる随伴整備員は、1個スコードロンが抱えている全力の半数にも及ぶ。これもイタい。
 派遣機が原隊基地に戻ってきてくれぬうちは、残留スコードロンの整備力が著しく減少したままなのだ。
 米空軍は納税者と下院の批判をかわすためにF-22が露軍機のインターセプトに出動する姿を示さねばならない。このためアラスカ基地に数機が分遣されるのだが、アラスカ基地には完全空調のハンガーがない。
 それは何を意味するかというと、F-15/16用ハンガーの中に置かれているだけで、F-22のレーダー波吸収塗料がどんどん劣化するのだ。
 F-22は、専用の空調ハンガーの中でないと、そのコーティングを10年もたせることができないのだ。
 そして、このコーティングの塗りなおし作業は、1機につき、1ヵ年を必要とする。
 米空軍は162機のF-22について10824個のアップグレードキットを2020年代前半まてにとりつける計画(RAMMP)。この総費用は20億ドルに近い。
 F-22の胴体を強化しようというアップグレードも計画されている。これは別に3億ドルがかかる。
 1機のF-16を1時間飛行させるための整備に必要なマン・アワーは、19である。それに対してF-22は、34マン・アワーが必要。
 ロックマートは、F-22を開発するときに、1時間飛行あたりの整備マンアワーを10未満にできるとうそぶいていたが、現実はこのとおりだ。
 B-2のオペレーティングコストがB-52の倍以上であるのも、電波吸収材コーティングが主因である。
 B-2のコーティング剤は、F-22のコーティング剤とは種類が違う。だが、F-35とは類似する。
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 Sam Blum 記者による2018-12-22記事「We Still Have No Idea How to Deal With Drones」。
      ガトウィック空港は36時間弱、運用できなくされた。
 ※一回だれかが、タキシング中の民航ジェットのエンジンに対するドローン+FAEテロを実行してしまえば、その日より以降、「ドローン目撃さる」の一報だけで、すべての在地上ジェット機は、エンジンを止めるほかなくなる。もちろん着陸機は他の飛行場へ回るしかない。これぞ真の経済テロだ。MANPADSなど、要らないのだ。
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 Sam Blum 記者による2018-12-14記事「Amazon Continues to Patent Facial Recognition Technologies?And Is Facing Pressure From All Sides」。
       ことしアマゾンが買収したリングという会社は、通行人の眼球を遠隔スキャンしてしまう技術を有している。
 すでにアマゾンが特許を取っている顔認識技術がAIドアベル(カメラ付きドアホン)に適用されるとどうなるか。
 家の前を通り過ぎた通行人の顔面をすべて識別し、もし犯罪容疑者の人別帳に一致するとAIが判断した場合は、自動的に警察に通報する。
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  Kyle Mizokami 記者による2018-12-20記事「Vietnamese Fisherman Drags a Chinese Torpedo Back to Shore」。
      ベトナムの漁民が、本土沖合い4マイルで、浮流していたシナ海軍の長魚雷を発見して、小島まで曳航してきた。オレンジ帯塗装からして、訓練用の魚雷だ。
 潜水艦から発射する、長さ22フィートもあるもの。
 2017年にはロシアの魚雷がリトアニアの寂しい海岸に打ち上げられたことがある。
 ベトナム漁民が拾った魚雷は、径54センチ。誘導ワイヤの繰り出し孔があり、漢字表記もある。
 ちなみに、対潜魚雷なら径は32センチである。そちらはいわゆる短魚雷。
 フジツボなどが付着していないので、最近発射されたものだろう。
 米軍のマーク48をロシアが模倣したものをさらに中共が2005に模倣した「YU-6」であろう。