Steven A. Cook 記者による2018-12-28記事「Turkey Is Lying About Fighting ISIS」。
エルドアンは来年、訪米することになった。あっという間に米土関係は親密化した。
米軍がシリアから去るということは、YPG(クルドの一派)と米国の縁が切れるということ。
だからトルコは米国と復縁できるのだ。
米軍は、これまでのシリア内作戦(対アサド)で、歩兵役をYPGに任せ、みずからはCASとCS(砲撃)を提供してきた。
ところがトルコ政府の眼からみると、YPGはPKKと一体の存在なのだ。極左クルドのPKKは〔ソ連から支援されて〕1980年代から反アンカラ・テロを続けており、米国もPKKはテロ団体だと認定している。
トルコは、米国がトルコ国境のすぐ向こう側に、反トルコのテロ国家(クルド自治区)を創ろうとしていると考えて、反米路線に行かざるを得なかった。この大問題が、トランプの英断により、解消された。
米国にとっては、トルコを味方につけておくことは、対イランの経済制裁を強化する上で、好都合。
トルコはオバマ政権時代から、イラン原油の買い手だから。
トルコはイランが脅威だなんてちっとも思っちゃいない。
トルコはイランが対米政治の上で利用価値を有すると考えている。だからエルドアン以下、堂々と、イランと仲良くしてきた。
トルコはアサド政権を気に入らない。だから2014にオバマに対して、ISをなくしたければシリアをレジーム・チェンジしろとそそのかしている。
トルコは国内ではISを厳しく取り締まった。しかし国外で対ISの戦闘に積極参加することはなかった。シリア領内の地上戦では、YPGが対ISの主力だった。
今後、トルコは、対YPG壊滅作戦を急ぎ、それが完了したあとで、《抱えの民兵》を使って、シリア領内での対IS掃討を行なわせるだろう。ペンタゴンはしかし、そのトルコ抱え民兵の実力を、甚だ、疑っている。
※シリア内でロシア軍と紛争などを起こしたくないトルコとしては対IS作戦は全部ロシアに任せるにきまっているだろう。ロシア空軍機による対都市無差別爆撃は、イスラムゲリラ撲滅に著効があることがすでに証明されている(あまり注目されていないが、2017にミンダナオ島でも比軍によって証明されている)。現イラク政府軍も、ロシアからFAE兵器である「TOS-1A」ロケット砲車を12両買って、モスルの市街戦で用いたところ、すこぶる有効であると確認した。こんなところをトランプが評価した。トランプ氏は、対ISはロシア流の無差別砲爆撃に任せると表明したようなものだ。欧州での対露戦しか考えてないマティス氏は、そこに反対せざるを得なかった。
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Antonio Regalado 記者による2018-12-29記事「All the reasons 2018 was a breakout year for DNA data」。
筋ジストロフィーのような遺伝病はDNAチェックで分かる。
自発的に自分のDNAを調べてもらおうと民間業者にゲノム登録した人は2017-2時点で1200万人もいる。おそらく今は2500万人に達しているだろう。ハイペースでこれからも増えるはずだ。
先の感謝祭のプレゼントとして大人気だったのが、私企業「アンセストリーDNA」社で、遠い先祖がどこから来たのかをDNA解析によって簡単に調べてもらえるぞというチケット。
データが大量に集まると、いろいろな多原発性の症状と遺伝子の因果関係が把握できるようになる。
心臓病や乳癌を発症する確率や、大学を卒業できるかどうか、身長がどこまで伸びるか、などまで、嬰児のDNA解析で予言できてしまえることになろう。
しかし、これまで収集されているゲノムの8割は白人のものなので、そこで解明された因果関係が、他の人種にも通用するのか、それは不明。