敵国の過小評価も過大評価も一人歩きさせていてはならない。それが国民に大害をもたらすことは過去の歴史が何度も証明している。

 Robert Farley 記者による2019-1-14記事「Why China’s SSBN Force Will Fall Short for the Foreseeable Future」。
      米国は最初のSSBNを就役させた直後、すぐに分かった。原潜は固定ソナーで遠くから探知されてしまうと。
 そこで静粛化につとめた。
 結果、米国のSOSUS網がソ連SSBNをほぼ探知できるようになり、その反面、米側のSSBNは全く探知されないようになった。地政学もあずかっている。
 これにソ連は、味方SSBN遊弋海域を有力艦隊でガードする、「要塞化」の戦略で対応した。航空機やSSNも必要なので、これはソ連軍に財政負担を強いた。
 当時の米ソ間のASW能力のギャップよりも、いまの米中間のAWS能力のギャップの方が大きい。
 中共のSSBNは、気付かれずして北米東部を打撃可能な海域まで出ることは不可能である。出港するや尾行されてしまう。
 逆に、中共の方は、米本土の軍港からSSBNが出入りするのを見張る能力を持っておらず、将来も持ちそうにない。
 では中共もソ連と同じ、艦隊による「海域の要塞化」を図るか? その兆候はない。
 ※ここはおかしい。数線の機雷堰で黄海の出口を仕切って渤海湾内からSLBMを発射すればいいのだから。
 中共海軍はあきらかにASWにはロクに投資していない。
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 Charlotte Jee 記者による2019-1-15記事「A relaxation of US rules will let drones fly at night and over people」。
  英政府がドローン規制を強めようとしているとき、米政府は、アマゾン等の空からの配達システムに便宜を与えるべく、ドローンの夜間や群集上の飛行を原則禁じた現行規則を緩める方針。
 現在、全米で登録されたドローンは130万機。操縦者は11万6000人である。
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 Evan Bleier 記者の記事「Remembering the Most Bizarre Disaster in American History」。
     今から100年前の1919年1月15日、ボストン市を大波が襲い、21人が死んだ。
 ただし海水ではなかった。シロップが決壊したのだ。
 今日の鋼鉄より質の劣るスチールの巨大貯蔵タンクが裂け、230万ガロンの糖蜜が漏出し、幅100ヤードで水深25フィートの波が、ボストン市の北側の通りを走り下った。
 会社が利益を優先し、タンクの外鈑の厚さに安全係数を持たせていなかったという。
 流れ下った糖蜜のスピードは時速35マイルであった。もちろん木造家屋も薙ぎ倒された。
 糖蜜は、静かなときはねっとりとしているが、エネルギーが与えられると、ものすごく速く流れる。そして速度が下がると、またねっとりとわだかまる。
 もしもこの漏出事故が、春・夏・秋に発生していたなら、死者は出なかっただろう。ところが冬だったものだから、液体が冷えるにしたがい、セメント状に固まった。
 この糖蜜の奔流の内部にトラップされてしまった人や動物は、脱出できなかったのである。
 ※この年末年始の書店における『米中「AI大戦」』の売れ行きは上々だったようで、皆様に御礼申し上げます。