なぜ6.6%か

 小生おもうに6.6%という数字は、先に発表されたフィリピンの2018年のGDP成長率。
 それで「後進国の比島に負けているのでは体面にかかわるのではないか」と忖度したシナ役人どもが数字を盛ったというところだろう。
 もちろんフィリピンのこの統計値は中共からの大投資が実行される前にまとめられている。そしてドゥテルテ人気が続く限り、2年後には8%まで行くのではないかという声すら聞かれるのだ。
 かたやマイナス成長でナイヤガラ寸前。片や8%の薔薇色の未来。時間はASEANの側に味方している。
 イギリスは、トランプがNATOから抜けると言い出したことに衝撃を受け、世界経営の労力を分担していることを米有権者にアピールしておくために、無い袖を振って、ブルネイとシンガポールに基地を設ける。努力している外見を宣伝することが、対米政治の世界では大事だ。日本は豪州の沙漠に訓練用の飛行基地をひとつ開設することが、アピールになるだろう。ラバウル基地の復興でもいいけどね。
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 Alex Lockie 記者による記事「China’s J-20 stealth fighter has no cannon ? and it shows the jet can’t dogfight with the US」。
        F-22の機関砲弾480発は、5秒で撃ち尽くされる。
 そして中共の殲20はそもそも最初から機関砲を搭載していない。ガン無し戦闘機なのだ。
 デイヴィッド・バーク中佐は元海兵隊のF-35B部隊指揮官で、F-22を操縦したこともある。
 そのバーク氏いわく。
 戦闘機の機関砲は空戦で撃墜を期するためには距離800フィート〔244m〕で発射せねばならない、と。
 バーク中佐いわく。AAMは800フィートでも20マイルでも使える。ところがガンは800フィート以遠では敵機を落とせなくなる。空戦を1000フィート以遠から始めるとすれば、AAMがまず頼られる。
 殲20は街頭の喧嘩屋ではない。近接空戦能力などは最初から捨てているのだ。機関砲を載せないことによってセーヴできる空間と重量を他の設備に使おうとしている。
 第五世代戦闘機が機関砲で敵機を撃墜した例は今日までひとつもない。機関砲の時代が、過ぎつつある。
 F-35に機関砲を残したのは、最初からCAS任務も与えられていたからだ。
 ※ではスクランブル任務機の警告射撃は、今後はどうすればよいのか? 可視帯域の安全なレーザーで領空侵入機のコクピットを塗りつけるしかないだろう。F-35の25ミリ砲弾は1発数万円するはずで、これで何度も敵機に「警告」していたら空自は破算だ。これから韓国軍機が執拗な挑発をしてくるだろうからね。
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 Todd South 記者による記事「Check out the new laser/light combo ‘pistol enhancer’ for the military’s new handgun」。
      ベレッタM9を更新する陸軍の9ミリ拳銃「M17」(Sig Sauer P320 のマイナーチェンジ版)は2017後半から支給が始まっている。これに付け足す「レーザー・マックス・ディフェンス」という商品。
 スイッチひとつで、白光照明/赤外線レーザー/赤外線イルミネーターを切り替えられる。
 拳銃のレール前半に装着。
 さすがに、これを付けたらホルスターも新調する必要がある。
 電池交換は、装着状態で可能なので、照準線の再規正は必要ない。
 蓋のネジはドッグタグで開けられる。
 バッテリーは市販の123ボルトのもの。白光だと2時間、赤外線だと6時間発光させられる。
 ※蜻蛉日記、和泉式部日記、紫式部日記……と続けて読んで、なんでこんなに人々の服装を細々と描写するのかと思っていたら、最後にハタと理解した。当時は写真が無い。これらが写真付き新聞の代用品だったのだ。イベント記録報道係を、彼女らが買って出ていた。
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 Tim Fernholz 記者による2019-1-23記事「The US Army says Iran is the only victor of the Iraq War」。
      米陸軍大学校で、レイ・オディエルノ大将らが講義した研究の内容が2019-1-17に公開された。
 研究は、米軍が2003にイラクに侵攻してサダムを追い払った結果、政治的勝利を収めたのはイランに他ならない、と、結論付けていた。
 イラク占領軍は2007から対ゲリラ戦に奔走するようになり、2011年に米軍は撤収している。
 大将の総括。
 勝ったのはイランだけだ。有力な対抗国だったイラクは、逆にイランの手先になってしまった。
 イラクの脅威がなくなったからこそ、イランは、イエメンやバーレーンやシリアに工作する余力が得られた。
 シリアとイラクの国境線は、溶解してしまった。
 アサドは、サラフィー主義者〔要するにアルカイダ~ISの系統〕を匿って私兵化しようとしたが、逆に母屋を盗られそうになっている。
 シリア国内は、化学兵器が何度も使われる、50万人が死ぬ内戦に嵌り込み、WWII後の最大の難民発生地ともなってしまった。
 米軍の犯した大誤解は、イラクでの対ゲリラ戦は、米軍にとってはベトナム戦争と同じく一時的な逸脱だと信じようとしたこと。
 本当の決戦はまもなくロシアやシナと、正規戦争の形で展開されるはずだと彼らは信じようとした。それは有害な幻想であった。
 ロシアや中共も、米国と戦争するときは、非正規の形態をわざと選ぶ。それしか、米軍に勝てる戦略・戦術などないからだ。
 イラクで米国は2兆ドルを使った。戦死した米兵は4500人。負傷兵は3万2000人。
 ※そうは言ってもイランは経済的には、かつてないピンチにある。空軍だけでなく、海軍も事実上、消滅しつつある。だんだん北朝鮮化しているのだ。イランは120トンの豆潜航艇(1980年代のイタリア製『コスモス SX-506B』もしくは、ユーゴ設計の北鮮製『サンオ』級×4隻のコピー)を2005年に完成し、2012年には21隻まで増やしたが、それから音沙汰がない。このフネは居住区画などないので、24時間したら帰港するしかない。イランは一時は貨物船のAIS誤魔化しのプロだったが、その技法も完全に封じられた。AIS (Automated Identification System)の電波は洋上で最大35kmまでしか届かないが、2006以降は衛星でトラックされる。2000年の国際規則で、すべての客船、および300トン以上の船舶はAISを搭載して作動させねばならぬ。これを洋上で誤魔化すトリックが最近は対策されて使えなくなってしまったため、イランはイエメンに武器を届けるのに、300トン未満の小型船を使うようになった。300トン以上の民間船がAISを停めていたら逆に目立つが、300トン未満なら怪しまれぬ。この密輸は防げない。だからサウジはホデイダ港を封鎖したくてたまらない。しかし、兵員が足りない。イランは、人だけは余っている。