散在する小島への荷物配達には、マルチコプター型ドローンが向いている。

 だとしたら、航洋性の小型高速パトロールボートと荷物配達ドローンの組み合わせで、離島臨時守備隊への補給が継続できるのではないか? 舟艇による直接接岸をまったく考えなくてよくなるのだから、舟艇はV字断面にして波切り性を佳良にし、居住スペースも増やせる。よいことづくめ。
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 Vaughn Standley 記者による2019-1-26記事「What’s Missing in the 2019 Missile Defense Review」。
    米政府発表の「2019ミサイル防衛リヴュー」が意図的に言及していない話がある。
 それは、敵のICBMのブーストフェイズを上からのレーザー攻撃で破壊するためには、レーザー砲のプラットフォームが航空機では非現実的で、やるならば、低高度周回する衛星に搭載する必要があり、かつまたそのメガワット級電源は、原子力発電機にするしかないことだ。
 衆俗を心配させたくなくて忖度して黙っているのだろうが、じつは、NASAが宇宙探査機に搭載しているプルトニウム熱源のアイソトープ熱発電機(RTG)よりも、原発の方が、宇宙では安全なのだ。
 RTGは、地上で組み立てた瞬間から、のべつ幕なし放射線を出しまくっているのだが、メガワット級原子力発電装置は、レーザー発射の瞬間だけ稼動する。
 航空機搭載のレーザー砲、ABLによるICBM撃墜は見込みがないことがハッキリしている。米国は大軍需企業を動員し、大金を投じたものの、この計画は行き詰まり、2011に公式にキャンセルされている。
 レーザーの大気減衰を避けるためにはABLのプラットフォームは大気圏のできるだけ高い層に最初から位置してなければならず、しかも、常時、敵国のICBM基地の近くでロイタリングしていなければならない。ICBMを持っている敵国ならば、高度3万mまで届くSAMも、高々度迎撃戦闘機も、当然に持っている。前提条件がまるで非現実的で、話にならないわけだ。
 NASAは今年、「レーザー通信リレー実験」LCRDを実施する。これにより、航空機からよりも、周回衛星からの方が、ICBM標的に対する照準と追尾は楽であることが実証されるはず。
 宇宙配備型レーザーSBLは、軍民デュアル技術でもある。広帯域指向性通信手段や、各種センサー、動くものの監視、デブリ撃墜など、応用が無限に効く。
 SDI時代に発想された、軌道上の爆発性弾頭ミサイル。あんなものを民生に役立てられるチャンスはゼロだったが、今のレーザーは違うのだ。
 レーザーは繰り返し発射できるので、ライフサイクルコストは妥当な金額になる。
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 Kyle Mizokami 記者による2019-1-23記事「Nuclear Submarine Involved in a Near Miss with Car Ferry」。
        2018-11-6に、アイルランドとブリテン島の間の海域で、英原潜とカーフェリーのニアミスがあった。
 フェリーは『ステナ・スーパーファスト 7』号。自動車660台を積んでアイルランドとスコットランドの間を往復している。
 原潜の名は公表されていないが、潜望鏡深度だったという。
 英海軍には潜水艦は11隻ある。すべて原潜。7隻がSSN(アステュート級またはトラファルガ級)、4隻がSSBN(ヴァンガード級)だ。ちなみに英国は核抑止のすべてを原潜に集約している。
 ヴァンガード級は常時1隻が外洋に出ている。母港はスコットランドのファスレーンにあり、それは今回のニアミス事故現場であるアイリッシュ海に面している。したがって、どうもSSBNがやらかしちまった公算が高い。そのフネにはトライデントSLBMが16基、水爆弾頭はその3倍以上が、搭載されていたはずだ。
 過去10年の、英原潜関与事故。
 2015-4に北アイルランド沖でトロール漁船の漁網に原潜がひっかかり、漁船を海中にひきずりこもうとした。漁船は漁網をカットして、あやうく惨事を免れる。
 2016には原潜『アムブッシュ』がジブラルタル海峡で商船を下から突き上げ、軽微に自損。
  ※高速コンテナ船の真下に寄り添って敵パッシヴ・ソナーからの探知を免れながら国際海峡を通峡する練習をやっていたものと疑われる。急に海水塩分が変化するかして、浮力を制御し切れなかったのだろう。
 2009には、『ヴァンガード』が、フランスのSSBN『ルトリオンファン』と大西洋の海中でありえない正面衝突。どっちも全く探知できなかった。
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 Paul McLeary 記者による2019-1-17記事「Marines Want Missiles To Sink Ships From Shores, And They Want Them Fast」。
     海兵隊は陸軍よりも早いペースで、大射程の地対艦ミサイルを取得したい。候補は3つ。ロックマートのLRASM(レンジ200マイル=370km以上)、レイセオンのNSM(レンジ115マイル=213km)、そしてボーイングのハープーン(レンジ70~150マイル)。
 どうして陸軍よりペースが早くなるかというと、陸軍は弾道弾であるATACMSを「プレシジョンストライクミサイル」に進化させようとしているのだが、その試射は今年から始まる。海兵隊は、出来合いの巡航ミサイルを選ぶから、陸軍より先に取得して配備可能になる。
 ※HIMARSの射程では不足らしい。
 そのミサイルを発射させるランチャー車両としては4候補、考えている。うちひとつはHIMARSのトラック流用案。他の3案もすべて装輪式で、MLRSなどは考慮外。
 海兵隊は、ランチャー車両と巡航ミサイルの組み合わせ試作を2019-3から着手し、試射は2020年予定。
 海兵隊はすでにHIMARSを2017年演習のさいに、『エセックス』甲板上に車両ごと繋止して、その状態から発射して問題のないことを確認した。
 海兵隊の大きな構想は「EAB」という。南シナ海等で、多数の群島にすばやく展開し、そこに対空ミサイルと対艦ミサイルの陣地を据えてしまう。それらが「かなとこ」となり、後からやってくる海軍機動部隊と空軍が「ハンマー」となって、近海の中共軍を立体的に押しつぶす。
 ※それゆえに対艦ミサイルの射程がいちばん大事で、HIMARSではレンジが足らぬということか。しかしまた海兵隊はめしいておらぬか? この運用で行くのならば、自走車両に載せる必要などない。リアカー(人力車)と牽引ロープと滑車(手動ウインチまたはキャプスタン)でも可いはずだ。システムをできるだけ軽くして、CH-53で素早く離島に持ち込めるようにすることこそが、最優先のはずだ。地積狭隘な小島の上で巨大装輪トラックをどうやって隠し、あるいは機動させようというのか。むしろキャニスターだけにして分散を図った方が利口というものだろう。ただし日本はダメモトで「94式水際地雷敷設装置」の車体を売り込んでみる価値はあるかもしれない。