米中西部人はこのたびの極寒で理解できただろう。温暖化の方が本来マシなのである、と。

 Marcus Hellyer 記者による2019-1-30記事「Australia’s Plan ‘B’ for the F-35」。
             豪州はF-35Aを調達しつつあり、これは戦術機としては世界最高の選択。
 しかし進出限界距離があるのが痛い。空中給油を考慮したとしても。
 豪州が対支有事にカバーすべき空域はとても遠く、広い。
 F-35Aの燃料は空中で注ぎ足されるけれども、弾薬は空中補給され得ない。
 弾薬の搭載のためにいちいち基地まで戻る必要があるということは、最初によほど多数機がないと、特定の空域に穴を開けてしまうことを意味する。
 ※いいことかんがえた。「空中弾薬補給母機」という新機種を創ったらいいんじゃね? ついでに空中でパイロットも交替させてやる。
 豪州空軍が掩護すべき海軍艦艇や上陸部隊の有事の位置は、最短でも豪州本土から1000海里=1852km以内ということはない。
 一千浬など、南太平洋やインド洋のスケールとくらべたらごく短い。
 水陸両用部隊が要求する支援火力は無限大だ。
 ところが近年、敵の手には地対艦ミサイルがあるものだから、味方の軍艦が敵性海岸には近寄れず、したがって、艦砲があったところで、艦隊は上陸部隊の火力支援をすることがほとんどできなくなっている。
 豪州海軍のLHDである『キャンベラ』と『アデレード』には、欧州製の攻撃ヘリ「タイガー」を搭載できる。しかし、アフガンとイラクとシリアの経験は教えている。高性能SAMを持たない敵ゲリラしかいない地域であっても、ヘリコプターの生残率はどんどん低下している。ヘリではダメなのだ。
 豪州軍艦の、砲熕兵器を上回るレンジの対地攻撃手段としては、たとえばハープーンがあるが、防空駆逐艦ですら、8発のハープーンを発射できるにすぎない。
 防空駆逐艦のVSLの中に、ハープーンよりもレンジ長大な艦対地巡航ミサイルを混ぜることはできる。だがそれをすると、弾庫の防空ミサイルが、しわよせを受けて減ってしまう。
 次期フリゲートには今の駆逐艦より多くのVLSセルを持たせる予定だが、1番艦が2030就役予定で、2番艦はその2年後というスローペースだ。
 別な悩み。ロシアと中共は、ハープーンをアウトレンジする艦対艦ミサイルを用意して待っている。
 我が遠征艦隊も、反復的に、敵航空機からの長射程の空対艦ミサイル攻撃にさらされる。敵機はすぐに大陸の基地に戻っては燃弾を補給して再び襲来する。こっちの艦対空ミサイルは、敵機までは届かない。飛来する対艦ミサイルを迎撃できるだけだ。しかしこっちの艦隊の防空ミサイルは交戦中に補給されないのだから、遂にはこっちがタマ切れになる。
 米海軍の大艦隊にいつもくっついているならば心配は少ないが、そうでない時、ところで、我々豪州軍は重大な危険に直面してしまう。
 これらの解決策の決め手はF-35しかない。F-35を遠くで維持するためには、遠くにも複数の飛行基地を持てばよい。
 だが、ロシアとシナ以外の外国政府がいつも豪州政府に軍事協力してくれるとは限らない。
 また、陸上基地には固有の弱点がある。その座標は既知であり、スマホを持ったスパイが一人うろつけば、豪州空軍のF-35がいつ何機飛来し、あるいは離陸したか、敵側へは筒抜けだ。
 理想的な解決は、3隻目のLHDを建造して、F-35Bを1個スコードロン分、新規調達して、その新要素を組み合わせることだ。
 現在のところ、人工衛星を総動員しても、洋上で行動中の特定の空母の所在を把握することはできない。
 垂直離着陸すら可能なB型は、敵のスパイが思いもよらない場所に陸上基地を創出し、その場所がバレたら引越しすることも随意。したがって攻防のイニシアチブは完全にこちらのものになる。
 地対艦ミサイルの前には、F-35Bがあろうとなかろうと、LHD(艦尾ドック付きのヘリ空母=強襲揚陸艦)は脆弱なのか?
 ひとつ確かなことは、F-35Bで守られていてさえも艦隊は脆弱なのであるとすれば、そもそも軍艦に1000人以上もの陸戦隊を乗せて敵性海域へ送り出すこと自体を考えるべきではないということになるだろう。
 ミンダナオ島マラウィ市であったような攻防(2017-5~10月)を思い出そう。
 イスラム・ゲリラに現代の地方都市(20万人)まるごとひとつ占拠されてしまい、それを比島の政府軍が半年かけて奪回した作戦だ。すべてのビルが陣地化されたために、それを砲撃や爆撃によって1棟ずつ爆砕するしかなかった。誤爆による自軍被害がかなり発生している。
 F-35B×12機は、連日、2回出撃するだろう。1機は1ソーティごとに、24発の、精密誘導式250ポンド爆弾を投下して、味方攻囲軍のゲリラ掃討を効率的に支援できる。地上からのレーザー指示に従えば、誤爆はあり得ない。
 次。
 ストラテジーペイジの2019-1-30記事。
   フラクチャリングによる天然ガス増産はカナダでも顕著。そして北米のガス市場は飽和しているので、カナダは、安価にLNGを輸出したい。できれば西欧向けに。
 それにはLNGタンカーがもっと必要になろうが……。
 ※ほくでんよりも先見の明ある「北ガス」さんは室蘭の空き地にLNG火力発電所を新設してほしい。そこならカナダ産も安く利用できるだろう。韓国軍の巡航ミサイルからはじゅうぶんに間合いは取れる。
 中共政府は国内の造船所に軍艦・公船を多数発注し、かつ補助金や長期低利ローンまでも与えているので、韓国との造船競争を有利に進めつつある。
 造船業の生産量は昔は単純なグロストンで比較したが、いまはCGT=補正グロストン値を使う。これは、構造の複雑な船腹の価値を高くカウントする。たとえばケミカルタンカーのグロストンは、コンテナ船の4倍にカウントされる。
 LNGタンカーは非常なハイテクである。
 載貨重量DWT=30万トンのタンカーがマラッカ海峡を利用できる最大サイズだ。VLCCと呼ぶ。バレルに換算すると、200万バレル。原油だけの重さは、29万トンになる。
 それらVLCCは今は50人以下の乗員で運航されている。
 そんなすごい原油タンカーも、1隻=1億3000万ドルで建造される。かたや、自重11万トンのニミッツ級空母には、建造費だけで40億ドルかかる。乗員の人件費も、100倍ではきかない。
 ※韓国沿岸ぐらい機雷封鎖しやすい地形はない。水深が浅いので沈底式機雷で十分なのだ。