さるかに合戦の臼さん、一言おねがいしゃす。

 Ryan Pickrell 記者による記事「The US has a secret knife missile that kills terrorists without harming civilians」。
    『WSJ』の2019-5-2のすっぱぬき。雪の結晶型6枚ブレードの非爆発性キネティック弾頭をヘルファイアにとりつけた「R9X」という対ゲリラ専用兵装が2011年から開発されており、今年1月には戦果を挙げていると。たとえばSUVの天井を突き破って助手席の頭目だけ殺し、ドライバーは殺さない。ミサイルナイフ。
 6枚のブレードは着弾の直前に開傘する。
 シェフ用の鋭利な波刃のナイフのことを「ギンスー」と呼ぶが、それが人間の上に落ちかかってくるようなものだという。
 ※ヘルファイアは自重50kgある。その推進薬の燃えた残りの重量が、大落角で頭上に落ちてくるのだから、もうそれだけで石臼攻撃にも匹敵する。
 このミサイル、すでにリビア、イラク、シリア、ソマリア、イエメンで使用された。駆逐艦『コール』を2000年に爆破した首謀者のジャマル・アルバダウィも、このナイフミサイルによって2019-1に始末されたという。
 ※こうなると、次に登場する対テロリスト用兵器は、ドローンのブレードを特別に強化した「空飛ぶ丸鋸」や、「ロケット青龍刀」かもしれない。何を言いたいかというと、リモートで個人識別する技法に完全はありえないので、殺傷手段がプリサイスになればなるほど、「誤殺」をやらかしちまったときの個人的トラウマと社会的バックファイアはでかいぜ、ってこと。爆発物なら相手も許容できる誤差が、刃物になったら、誰も許容できなくなるんだ。それが分からないのか? ムク金属のソリッド弾頭や「砂鉄充填弾頭」なら、古くからあるコンセプトなので、宣伝してもよかった。今回、わざわざ「フライング・ギンスー」などという中二病のネーミングを与えてよろこんでいるペンタゴン内の阿呆どもは、レーガン時代の「ニュートロンボム」の宣伝大失態から、何の教訓も学んでいないようだ。
 次。
 Darwin McDanielon 記者による2019-5-10記事「Rolls-Royce to Launch Hybrid Power System for Military Laser Weapons」。
   ロールズロイス社傘下の事業部「リバティワークス」は、これまで10年近く開発を続けてきた100キロワット級レーザー兵器の試作型を公表した。
 これから実験を繰り返す予定。
 ヘリコプター用エンジンの「M250」の改造品が300キロワットの電力を生み出す。
 それを蓄電池といっしょに車載する。
 ロールズロイスはロックマートのレーザー砲と組み合わせることを考えている。
 ロックマートは陸軍用の100キロワット・レーザー砲の開発で、レイセオン社と競っているところだ。
 次。
 Ben Sampson 記者による2019-3-16記事「Rolls-Royce tests hybrid aero propulsion system」。
  上記の「M250」について説明しよう。このガスタービンエンジンはこれまでに世界の170機種に搭載されてきたものだが、ロールズロイス社はこのたび、こいつを「ハイブリッド」化したのだ。つまり、蓄電池と一体のシステムにした。
 独自開発のパワーマネジメントシステムによりエンジンとバッテリーのシリーズ・ハイブリッドにも、パラレル・ハイブリッドにも、ターボ発電&電動モーター直結方式にもできる。
 このような柔軟な方式にすることで、500キロワットから1メガワットの出力の取り出しをできるようにし、たとえば2トンの機体を垂直離陸させて1600km飛行させるほどの動力源にできる。飛行機は、いままでより静かで、比較的にクリーンになる。そのコンセプトは2018ファンバラで公開されていた。
 シリーズ・ハイブリッドでは、ガスタービンで発電して蓄電池に給電。その蓄電池からの出力で電動モーターが回る。ガスタービンのトルクはシャフトには伝えない。
 パラレル・ハイブリッドでは、ガスタービンからのトルクがメカニカルにシャフトへ伝えられると同時に、電気モーターからのトルクも同じシャフトに伝えられる。
 ターボ・エレクトリックのモードでは、バッテリーは切り離され、迂回される。すなわちターボエンジンが発電し、その電力がダイレクトに電気モーターへ給電され、電気モーターでシャフトを回す。ターボエンジンのトルクはメカニカルにはシャフトまで伝えられない。