沖積平野の地上に施設一切を露顕式に設けようなどという考え方がすでに軍人としてアマチュアなのではないか。

 Yaacov Ayish 記者による2019-6-11記事「The Underground Arms Race in the Middle East」。
        ガザのテロリストがトンネルを秘密の通路や出撃基地に使うようになったのは2000-9末からだった。爆発物の隠し場所としても多用された。
 イスラエル軍はガザ地区から2005-9に撤収した。
 2007-6にガザ内で武闘があり、ハマスがファタハから支配権力を奪った。
 イスラエル軍がガザの占領を解いたのは「アイアンドーム」でロケット弾を叩き落とせると信じられるようになったから。
 しかし相手は、トンネルを使った越境奇襲テロをますます重視するようになった。
 2006-6に、イスラエル軍哨所に対する最初の大胆な奇襲が、ハマスによりトンネル経由で実行された。イスラエル兵2人死亡。
 このとき1名の軍曹が拉致された。その交換に、5年後、1027人のパレスチナ人囚人が釈放された。
 2014年に印象づけられたこと。ハマスのトンネルを主用した対イスラエル攻撃は、他のあらゆるテロ攻撃手段(ロケット砲撃、無人機空襲……etc.)よりも、効果があるではないかと。
 なにしろ、今や地下のトンネルネットワークが白アリ級で、いくら潰そうとしても、大半は探知すらできないのだ。その恐怖はガザ地区に近いイスラエル南部の住民だけでなく、北部大都市にも伝播し始めた。というのは、もしレバノンのヒズボラが、ハマス戦術をそっくり模倣したなら、どうなるのだ?
 国連安保理は、リタニ川より南のレバノンにはレバノン正規軍と国連平和維持軍しか所在してはならぬと決めている。2006の第二次レバノン戦争後に。
 しかし地下トンネルを使えば、ヒズボラはリタニ川境界をどんどん越えられる。
 ※第二次レバノン戦争でヒズボラの地下陣地がどれほど優秀であったかについては、拙著『日韓戦争を自衛隊はどう戦うか』を、ご一読くだされたい。
 2012-8にヒズボラは本格演習を実施した。地下トンネルによってイスラエル領内を一斉奇襲し、国境の哨所多数を同時急襲するという内容だった。
 ※ハマスやヒズボラの地下トンネルについてイスラエルの情報収集組織すら匙を投げつつあるということは、イラン本国の核爆弾も、工場からはずっと離れたトンネルのどこかに隠されるであろうことを示唆する。それを破壊することは先制核攻撃に訴えたとしても不可能だ。場所が絞り込めないのではどんなイールドでも無効だから。中共の核弾頭と北鮮の核爆発装置、あるいは北鮮の指揮所も、同様であろう。したがって米空軍が開発させている地下侵徹爆弾にも、大したことが期待できぬ。とうぜんなことに、日本の地ージスも、ABM弾庫と指揮所は無人の山岳帯内に大深度地下構造として秘匿し、レーダーのみ山頂に暴露させるというのが筋なのである。大深度といっても日本は砂漠乾燥圏ではないから、山の中腹以上に坑道を掘らなければ、重力排水ができず、浸水で自壊するだろう。
 2018-12にイスラエル軍はヒズボラの地下トンネル網潰しの大作戦を実行した。
 これらのトンネルはすべてが常時活性状態にあるのではなく、奇襲開戦を計画した日付から数週間前までは放置されているので、わかりにくい。※乾燥気候帯であるおかげで、何年も放置していても浸水しない。38度線だとそうはいくまい。
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 Jen Judson 記者による記事「Active protection systems demo hits dead end for Stryker, Army evaluating next steps」。
       米陸軍は個車自衛システムAPSをすでにM1戦車とブラドリー装甲車には採用したがストライカー装甲車用が未だだった。
 そのストライカー用のAPS2機種をテストした結論が出た。どちらも失格と。
 ストライカー用にテストされていた2候補は、イスラエルのトロフィと、ラインメタル社製のもの。
 その前にヴァジニアにある米国メーカーもアイアンカーテンというAPSをストライカー用に提案していたが、早々と2018に不採用決定されていた。
 トロフィはM1戦車用に先に提案されている。アイアンカーテンはブラドリー用に先に提案されている。
 ストライカー用に有望そうなのはハードキル方式ではない。レーザー光を感知したらスモークを発射するようなソフトキル方式。