一見、軍用とは見えない低速小型艇の底から、誰にも見咎められることなく密かに機雷を放出してしまえる小改造を、イランは研究しているはずだ。

 Kathy Gilsinan 記者による2019-6-26記事「America’s Free-Rider Problem in the Strait of Hormuz」。
       ホルムズ海峡を世界の原油の移送量の2割が通過するといっても、そのほとんどはアジア向けであって、米国向けはほとんどない。
 1991年に米英仏ベルギーの4ヵ国艦隊は、イラクが仕掛けた機雷1000個弱を、2ヵ月近くかけて除去した。
 近未来のホルムズ海峡では、イラン軍が掃海作業を妨害するので、イラン軍を空爆して黙らせる作戦と併行でなくては、掃海などできまい。
 ※ホルムズ有事ではイラン軍は執拗に追加の機雷敷設(もちろんリムペットではない。沈底機雷・繋維機雷・浮流機雷だ)を試みると考えるべきだろう。1991のサダムフセインは米海兵隊の動きを止めるために防禦機雷を撒いたが、イランにとってはホルムズの封鎖が作戦のアルファでありオメガなのだから、連続不断に機雷敷設と対商船攻撃を続けるに違いない。その方法もいくらでもある。追加敷設が1回でもあれば掃海はまた一からやり直しで、永遠に仕上がらない。したがって、《非米の西側各国に対イランの空爆力があるかどうか》は問題なのではない。イラン軍がいつ全滅しイラン体制がいつ滅びるかが、問われる課題になる。イランが滅びないうちは機雷はいつのまにか追加され、地対艦ミサイルも不意に飛んで来るわけだから、「掃海やりました」とアナウンスがあっても、タンカーは出入りができるわけがない。つまり、いったんそこで本格機雷戦が始まったならば、そこに海自が出張しているかいないかとはほぼぜんぜん関係なく、日本はペルシャ湾産石油の過半を数ヶ月か数年は、得られない。紅海やオマーン湾南部のパイプライン端末から積み取れる石油・ガスだけがアクセス可能である。欧州市場向けのコンテナ船も、喜望峰周りで行くしかない。世界の石油市況が1年ほど高騰してくれれば、米国とロシアだけが幸せになる。厭でもアメリカはグレートになり、中共は爆沈する。日本では、分散独立系のエネルギー・サイクルを主軸とする《超省エネ社会》が実現しよう。そのキーワードは「蓄電池」と「DC家電」だ。
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 Gina Harkins 記者による2019-6-26記事「Congress Wants the Navy to Prove it Can Fight Off Enemy Drone, Boat Swarms」。
      無線操縦の爆装特攻ボート。あるようでなかったものだが、昨年、サウジアラビアの2隻のタンカーが、紅海にて、フーシ(イランの手先ゲリラ)の操るリモコンボートの攻撃を受けている。サウジはその直後、一時的に、商船の運航をすべて止めるしかなかった。
 趨勢として、この《リモコン震洋》は、スウォーム化するであろうことが、間違いない。
 2016年にはホルムズ海峡で、IRGCの有人高速ボートが、米イージス駆逐艦『ニッツェ』に300ヤードまで近づいた。
 ブルガリア海軍は、昨年、黒海で、駆逐艦がどうやってスウォームボートに対処するかの演習をしている。
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 David Hambling 記者による2019-6-27記事「The Pentagon has a laser that can identify people from a distance――by their heartbeat」。
        ヒトの心臓の動きとそれに連動した表皮の動きには個性がある。その様態・パターン・挙動を遠く離れた場所から測定できれば、指紋や彩虹のように、個人同定の手段たり得る。
 米特殊部隊軍は、ここに着目した。すでに彼らは、ドローンが空撮したIS幹部の「歩様」をビデオカメラで解析することで、爆殺前の最終確認(本人特定)に役立てている。
 それに加えて、「心拍様態」も利用できるかもしれない。
 「心様」は「歩様」よりも誤認率が低い。「歩様」や「顔認識」ではしばしば、他人との混同が起きる。「拍動遠隔認識」ではそのような混同はあり得なくなるという。
 赤外線レーザーで「心様」を遠くから観測する技術は、SOCOMの要請でペンタゴンが開発させた。
 今のところ、200m先から分かるところまで来たという。
 以前、シナ系教授が米大学内で類似の装置を開発したが、そっちはレーダーを使うもので、20mからしか測定できなかった。
 米国の病院では、患者の心拍を記録するのに、以前から、赤外線センサーが役立てられてきた。
 循環器の拍出にともなう血流のせいで、人の皮膚からの赤外線反射は変化する。その変化を検知するのだ。
 新兵器のJetsonは、拍動による表皮の「動き」を測定できる。
 さすがに対象者が冬物コートなどを着込んでいたら、その動きは外から検知できないが、夏物背広ぐらいならば、服の上からでも拍動が捉えられる。
 顔認識技術は対テロ作戦ではあまり便利じゃない。容疑者はどいつも鬚面だし、ドローンは高空に所在するので、そこから俯瞰するビデオカメラでは、敵のご尊顔を正面から拝むことが困難である。
 物体の振動を遠くから測る装置は、風力発電塔のチェック用に、前から存在する。Jetsonはそうした既存技術を利用している。
 このレーザーにはジンバル安定機構が組み入れられており、対象たる被疑者に、25セント硬貨大のレーザースポットを当て続ける。波長は赤外線なので、ヒトの肉眼ではその光は感覚できない。それで30秒間、継続観測すれば、「心様」の精確なデータが得られる。ただし今のところ、対象者が立ち止まっているか、座っているかでなければ、うまく測定はできない。
 ※何度も申すようだが私のアイホン7+は私の指紋を認識しやがらない。だから私はこの種の技術宣伝を決して信用しない。
 この技術を活用するためには、テロリスト潜在容疑者たちの「表皮拍動様」データを平時から大量に収集してライブラリ化をしておかなければならない。
 そのあとでならば、たとえば深夜に路肩に穴を掘っている怪しい集団のどいつが、潜在容疑者リストと重なるのか、高空のドローンから、見分けがつくのである。顔認識よりも正確に。
 医療への応用としては、入院患者の不整脈を、センサー類を患者の身体に接触させることなしに常続的に、監視できるようにもなるだろう。