ノルウェーの衝突フリゲートはけっきょくスクラップ化決定。

 David Hambling 記者による2019-6-27記事「The Century-Long Evolution of the U.S. Army Helmet」。
          人類最古のヘルメットは紀元前26世紀には遅くも存在した。しかし近代軍用ヘルメットの歴史は20世紀にまでしか遡らない。
 WWI中の1915年に榴霰弾対策としての鉄帽が初めて仏軍将兵に支給された。カーニバルの帽子のようなので兵隊たちは笑った。しかしこいつのおかげで頭部創傷は70%から22%に激減した。
 米陸軍はM1917ケリー鉄帽を制定。これは英軍のブロディー鉄帽のコピー品であった。
 マンガン鋼を圧延したもので、全重1.5ポンドだった。
 顎革紐は、締めると緩め難いので、鉄帽のつばが何かに激突すれば、この顎紐のおかげで首がえらい目に遭うのだった。
 ケリー鉄帽は0 .45インチ拳銃弾を止められると宣伝された。この宣伝は有害だった。独軍の9ミリ拳銃弾や、諸国軍のライフル弾なら、簡単に貫通するからだ。
 1942年に米軍はM1ヘルメットを制定した。サンダース軍曹の鉄帽だ。
 前縁のカーブにより、雨滴が顔面に落ちかからないようになっていた。
 ケリー鉄帽は側頭部と後頭部に大きな隙を空けていたが、M1鉄帽はそこを深くカバーする。
 ※WWI後半に野砲弾が榴霰弾から榴弾に変わったので。
 M1はFRP製ライナー帽と鋼製外殻との二重構造なので、防弾力は高まった。
 1945-2のフィリピンで日本軍のライフル弾を真正面から受けて助かった軍曹あり。
 ※開戦劈頭にはM1鉄帽ではなかった。昭和20年だと内地や中支から送り込まれた部隊があり、その使用弾薬が7.7ミリではなく6.5ミリ・アリサカだった可能性も考えられる。
 ライナーの内張りは力紐のネット構造になっており、それをユーザーが自分のいいようにアジャストできる。ライナー+鉄帽の全重は3ポンド弱。
 顎紐は、一挙動で緊急解除できた。
 外殻テッパチだけ外せば、水汲みバケツに使えた。
 フリーサイズ品だったのでWWIIのおわりまでに2200万個も製造された。さらにベトナム戦争までこのデザインで戦われた。兵士の重量負荷と防護力のバランスにおいて、まず、往時のベストだった。
 WWII独軍型のヘルメットも有名なものだが、こちらは複数種の鋼鈑を組み合わせて製造されており、しかも、兵隊の頭のサイズに対応する号数を複数用意していた。すなわち、大量生産のための配慮において、負けていた。
 他方で独型鉄帽は、ユーザーの視野が広かった。
 イスラエル陸軍がケヴラーヘルメットを採用すると、すべてのスチールヘルメットは旧時代のものになった。
 そこで米軍もケヴラー製のPASGT(通例、パスゲットと発音される)を1983に採用した。別名Kポット(ケヴ鉢)。うなじがカバーされ、旧独軍ヘルメットにも似ているのでフリッツ(独式)とも呼ばれる。
 交換容易な汗取りシートが使えるようにできていた。
 無ライナーながら防弾力は格段に向上。PASGTは、マグナム拳銃弾までを阻止できた。
 このヘルメットとボディアーマーで、1991湾岸戦争は戦われた。
 2002年に新型ヘルメットACHが導入された。
 ケヴラーだけでなく、Twaronという新防弾素材が使われている。
 衝撃吸収ライナーが組み合わされ、爆風ショックも緩和してくれる。偶然にも、IEDが猖獗を極める前にこれらは開発されたのだ。
 Kポットに比べて視野はさらに良好となり、加えてACHでは、聴覚も邪魔されないのである。
 砂漠で必須のゴーグルの装着とも相性がよい。
 前頭葉部にはクリップが設けられ、そこに暗視カメラのような機材をマウントできる。
 通信用ヘッドセットも楽に使えるように考えられている。
 2012年にアフガンで米兵が頭部をAK-47のタマで撃たれたが、ACHのおかげで助かった。とうとう、小銃弾をヘルメットで止められる時代が来たのだ。
 2011年からは、外見はACHとそれほど違わないECHが、新型ヘルメットとして支給され始めた。
 ECHはACHより分厚いのに、総重量は軽い。
 素材はまったくケヴラーを用いない。UHMWPE(ウルトラ高分量ポリエチレン)という新素材。
 普通のプラスチックの100倍も長い原子連鎖の分子からできている。
 2018年にアフガン東部で、車載機関銃によって距離20フィートから銃弾を当てられた米軍曹長が、このECHのおかげで助かっている。
 軽くて装着の心地がよいということがとても重要。さもないと兵隊はすぐにヘルメットを外そうとする。そのときに爆発に巻き込まれたら、結局ヘルメットの防護機能はゼロだったに等しいわけである。
 もっか、ECHは、IHPSによって更新されつつある。
 デザイン上の革新は、顎紐を取り付けるための「穴」が一つも空いていないこと。これが一つでもあると、新素材ヘルメットは弱くなるのだ。「無ボルト」と称している。
 車両の天蓋ハッチから首を出しているクルーが路側爆弾の爆風デブリに吹かれると顔面が削られる。この被害を緩和するため、IHPSは、顔面プロテクトを簡単に追加できる設計とした。すなわち大面積バイザーと、モトクロスバイク乗り用のように前へ突き出した下顎部プロテクション。
 さらにIHPSには、脳に伝わるIED衝撃波を半減させられる詰め物が入っている。
 暗視カメラなどを装着できるポイントは2箇所設けて、ユニバーサルに各種器材に対応。
 IHPSの次の世代のヘルメットは2020に登場する予定だ。その詳細は、分かっていない。
 次。
 Kyle Mizokami 記者による2019-6-24記事「World War II Bomb Explodes 75 Years Later, Creates Massive Crater in German Field」。
    フランクフルトの北の町の郊外の大麦畑でWWII中の不発弾が爆発。 6-23の早朝。目撃者なし。原因不明。
 できたクレーターは、幅33フィート、深さ14フィート。
 どうも爆弾は、M43または AN-M43 または AN-M64 の500ポンドGP爆弾らしい。信管設定によって、ビルの4階分くらいも土にめりこむ。爆発前に。
 M65だと長さ5フィート、径14インチ。TNT280ポンド充填。
 弾殻の厚さは0.3インチ。
 こうした不発弾はこれから200年は、爆発する可能性があるという。
  ※朝鮮戦争中に長時間タイマー付きの時限爆弾を搭載したB-29が離陸後に調子が悪くなって、急いで関東平野の大河に捨てた爆弾が、何十年もして河の中でハゼたことがある。これは長時限信管だったから納得ができるのだが、ドイツに落としたGP爆弾にはどんな信管がついていたんだ? そこがいちばん知りたい。