パニックトイレ

 Amanda Macias and Courtney Kube 記者による2019-7-1記事「Chinese military conducts anti-ship ballistic missile tests in the hotly contested South China Sea」。
      2名の米高官いわく。中共はただいま、南シナ海にて、対艦弾道弾の一連のテストを実施中である。
 週末、すくなくとも1発のミサイルを海に向かって射ち込んだ。
 中共が設定しているテスト期間は、水曜日(7-3)までである。
 着弾海域の直近に米艦は所在していない。
 ※テストそのものもニュースだが、またタイミングも興味深い。トランプが対支制裁関税のノッチ・アップをいったん停止するということで下僚同士の話がついたため、日にちをG20後にずらしたのだろう。さもなくばG20のまっさいちゅうか、開幕日の早朝くらいに実施し、大統領に心理的な動揺を与えようと計った筈。
 中共は南シナ海で27箇所の岩礁等を支配し、軍事拠点にしている。
 2018-5にはフィリピン近くのスプラトリーの3拠点(Fiery Cross リーフ、Subi リーフ、Mischief リーフ)に対艦ミサイルおよび対空ミサイルを配備し、習近平は平然と公的な嘘をつく政治家であることを見せつけた。
 ※これまで支那製の「対艦弾道弾」なるものが海面に対して試射されたことは一度もなかった。ゆえにニュースなのである。
 次。
 NANCY MONTGOMERY 記者による2019-7-2記事「Are Navy submariners more likely to father daughters? New military study says no」。
    米海軍の潜水艦隊のコミュニティ内においては、「潜水艦乗りの父親の子供は女児ばかり」というルーモアが根強く存在していた。
 ※ちなみに米潜水艦は魚雷戦型も弾道弾発射型もすべて核動力。非核潜水艦は1隻もないのである。
 このたび『医学調査月報』は、科学的な統計を発表し、米海軍の潜水艦乗りの父親の子供の性別傾向に、他の軍艦乗りの父親の子供の性別傾向との間の、有意の差異は存在しないことをハッキリさせた。
 全世界の一般統計値。男児105人に対して、女児100人が生まれている。
 また一般に、地震の後だとか、人々に大きなストレスのかかる出来事の後には、男児が生まれる率は低下し、女児が生まれる率が増える。
 また、科学的な可能性として、各種農薬、あるいは強い放射線に暴露した男性の精子が減ることがあり、その場合は、男児が生まれる率は低下する。
 今回の最新の調査は、2001年から2015年までに、米海軍の原潜乗りの配偶者たる妻が出産した新生児7087人を対象にした。
 潜水艦乗りの男子は、大部分が白人かヒスパニック。配置は、機関兵曹、電機兵、電機兵曹、音測兵が多い。
 新生児の性比は、男児51.3%、女児48.8%で、全米住民の平均と言うべく、全米軍の統計とも近似す。
 ※コミュニティが本当に知りたいのは不妊率ではないか。しかしその調査は政治的な問題を生ずるので、迂回的に、性比が通常であることを示した。精子異常はありませんよという間接的なメッセージなのである。
 異論があった。2019-1に公刊された『軍事医学』によると、eメールで潜水艦乗り3315人にアンケートした回答をまとめたところ、男児よりも女児が多く生まれていた。
 性比は、男児95に対して女児100であったと。
 しかし統計値としてより信用できるのは今回の月報の方である。DoDの名簿を使い、潜水艦配乗・且つ・子持ちの全現役将兵を調べたので。
 次。
 VLADIMIR ISACHENKOV 記者による2019-7-2記事「Fire kills 14 Russian sailors amid submarine speculation」。
    ロシア製の深海特殊工作用原潜内で火災が発生し、14人が死亡。
 北極海に面するセヴェロモルスク港。
 全部で何人乗っていたのか、生存者がいるのかどうか、一切不明。
 艦名は、ロシアのオンラインメディアによれば『AS-12 ロシャリク』ではないかと。
 同艦は2010就役。ロシャリクとはロシアのマンガのキャラクターで、ちいさな球体をつなげたオモチャの馬だという。
 これは同艦の耐圧内殻が複数のチタニウムの球からできていることを暗示する。
 2012年から『ロシャリク』は、北極海の深度2500mの海底からサンプルを集め始めた。普通の潜水艦は安全深度としては600mがせいぜいだ。
 分析者は、こいつの真の任務は外国の海底ケーブルに盗聴器を仕掛けることだとしている。
 ※米海軍の『NR-1』に刺激されて開発されていることは間違いないだろ。
 『ロシャリク』は、自力で遠距離航海はできない。マザーシップたる原潜『オレンブルグ』の腹に吊るされて、仕事海域まで運ばれる。
 ロシア海軍には他にも、2つの級の深海作業艇がある。チタニウム球で、2人しか乗れない。作業可能深度は1000m。
 主たる用途は、沈没潜水艦の救難。連続120時間、潜っていられる。
 ロシア海軍の近年の事故としては2008年に、太平洋艦隊の原潜『ネルパ』が、公試運転中に自動消火システムが誤作動して、20人死んだことあり。
 2000年8月12日には『クルスク』がバレンツ海に沈み、118人全員が死亡した。
 次。
 Berenice Baker 記者による2019-7-1記事「Orca XLUUV: Boeing’s whale of an unmanned sub」。
   米海軍はボーイング社に、大型無人潜航艇(XLUUV)である『オルカ』級を5隻、2億7440万ドルで発注した。ライバルのロックマート案は敗退。2017から2社コンペ状態だった。
 ボーイングは、自社資金だけで研究を続けていた『エコー・ボイジャー』UUVからこれを発展させた。全長15.5m。
 排水量は45.4トン。ペイロードは56.6立方m、乾燥重量7.3トン可能。最長10.4mの長尺物も積める。バッテリーは18キロワット。
 次。
 Christopher Beam 記者による2019-6-26記事「Soon, satellites will be able to watch you everywhere all the time」。
        衛星はあなたの裏庭を監視している。
 2013年に、オレゴン州の男が、じぶんちの庭で大麻を栽培しているのが、グーグルアース衛星写真の経時的分析で疑われて、御用となった。
 こやつは数条の畝に植栽していた。
 ブラジルのアマパ州警察は、リアルタイム監視衛星を使って、自然林の違法伐採を監視している。2018年、木炭密造業者が、摘発された。
 中共がウイグル人を新疆の刑務所に収容しているのも衛星でバレバレである。中共政府は、「職業訓練学校だ」と言っているが、学校には多数の監視塔やカミソリ鉄条網は必要ない。
 2008年には、地表を撮像できる衛星は150機ぐらいだった。今は768機である。
 24時間いつでも地表の任意点の撮像イメージを販売することは、まだ業者には可能ではない。しかし、もうすぐ、そうなる。リアルタイムで、どこでも上空から覘けるようになる。
 個人が、特定の個人を、宇宙から尾行できることにも、なるのだ。たとえば浮気調査やストーキングやパパラッチが、衛星によって行なわれるようになる。
 現在、米連邦政府は、民間の撮像衛星の解像度は、25センチメートルまでしか許さないと規制をかけている。つまり、軍用スパイ衛星は、解像度が25センチメートル未満なのだ。
 2014年以前には規制値は50センチだった。しかしNOAAは、それを緩和させた。※気象衛星の運用に不都合だからではなく、民間企業から、それじゃ外国企業と競争できないと文句をつけられた。NOAAは単に国家偵察局の代理人窓口になっているだけだろう。便宜的に。
 投資家は、石油貯蔵タンクの「落し蓋」の沈み込み具合を知りたい。それで世界の景気が分かるから。昼間の衛星写真で「影」を計れば、深さは知られる。
 「プラネット・ラブズ」という衛星写真会社は、毎日、140機の衛星からの写真を集めている。
 かつてディジタルグローブといっていた会社。現在はマクサーというが、同社が1997に初の民間スパイ衛星を打ち上げた。そして今では、地球上のひとつの地点を、1日に15回、撮影しているという。
 ブラックスカイ・グローバル社は、大都市に関しては、特定点を、毎日70回、撮像しているという。この頻度だと、ある人のある車がどの時刻に道路のどこに在るか、パターンを簡単に把握できてしまう。
 2014年以降、宇宙からのライブ・ビデオ動画を提供する会社も登場している。現在だと、最長連続90分まで可能だという。グーグル社は一時、その会社を保有した。
 ※とうぜん、複数の周回衛星による交替張り込みであろう。
 アースナウという会社は、リアルタイムからのディレイ1分以内の、連続的なモニター画像を提供すると標榜している。
 目指す方向は、ハイレゾで、24時間、地球上の任意の地点のリアルタイム動画を提供できるようになること。
 ※無人偵察機の既往から類推すると、このハイレゾというところがいちばん難しい。需要は無限に増え、通信回線がすぐにパンクするので。
 さらに、可視光画像にとどまらず、赤外線から紫外線までのマルチスペクトラムの解析画像、夜間や曇天時の合成開口レーダー電波反射画像、さらには、特定点から輻射される一切の電磁波を、常続的にモニターしたいという客も現れるはずで、それに企業は応じてやらねばなるまい。
 衛星からは地表の対象物体の高さをミリメーター単位で計測もできる。
 得られた画像データを解析して売れる情報商品に仕上げるソフトウェアの開発競争も進行中。
 たとえばシンセンの夜の照明を解析することから、本当の支那GDP傾向が知られる。
 プロ泥棒は、ある家の家族が決まって全員、外出している時刻を、簡単に把握することもできるようになる。
 2012年、ハーバードの衛星監視グループが、スーダンと南スーダンの紛争地帯で「スーダン人民解放軍」が占領している地域に向けて戦車道が建設工事中であることを把握し、画像を公表してその先にある地域の住民に警報した。住民は逃げた。
 しかしスーダン人民解放軍もその公表イメージを見ていたので、先手を取って建設現場を急襲。スーダン政府が雇っていた支那人労務者が何人か殺され、残りは拉致されている。
 衛星写真が、比較的に安価なドローン写真よりも強みを発揮するのは、ドローンの進入禁止空域なのに衛星ならば撮影ができるという場所。
 次。
 記事「Chinese border guards are putting a surveillance app on tourists’ phones」。
    NYTおよびガーディアンによると、中共当局は新疆に入境する中央アジア諸国人に対し、国境ゲートにて、スマホの提出を命令し、そのスマホに、追跡用のアプリを強制追加している。
 テキストメッセージだろうが交話だろうが、すべて、当局のサーバーに自動的に送られて記録される。スマホ内に先にダウンロードされているアプリが何かも通報される。
   中共では、日本のバンド「Unholy Grace」も検閲にひっかかる。それは台湾と関係があるからだという。