IHIの多目的水陸両用車(6×6)は久々に愉快な新アイテム。

 『朝雲』最近号にて承知しました。幕張で先月にMASTをやってたのか……。誰か写真を撮ってくれた人はいないですかね。
 6トン積めるというこの車体に、HIMARSや対艦ミサイルのランチャー部分を組み付ければ、陸自の「水軍化」は、半ば成就したようなものだろう。
 しかもこれ、そのまま民間バージョン(特に漁村の沿岸小作業用)作って市販できるやん。また平時から日本中の沿岸(ならびに大河川隣接)自治体にこの車両を持たせておいたなら、災害時に現地で「自助」ができてしまうわけじゃ。
 (たぶん余計な助言だろうが、車両固有のウインチだけは十分なものを付けておかないと、砂浜スタック続出で、みんな後悔すると思うぞ。)
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 ロイターの2019-7-3記事「Pentagon says China missile test in South China Sea ‘disturbing’」。
    ペンタゴン職員いわく。週末に複数発の対艦弾道弾が発射された。
 中共国防部はスプラトリーとパラセルの間で水曜日まで演習をするので他国の船はそこに入るなと警告していた。
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 MARTIN EGNASH 記者による2019-7-3記事「US Marines in Norway pair electronic warfare team with snipers to test new concept」。
     先月、ノルウェーにて実施されたヴァルハラ合同演習。そこで米海兵隊は、スナイパーと電子通信情報系隊員をペアで行動させてみた。
 EWST=野外電子戦支援チーム は海兵隊の新顔。
 彼らが狙撃チームに、見えない敵の所在を助言するのだ。
 海兵隊は2017からノルウェーにローテーション駐留。今回の仮装敵役はノルウェー軍に務めてもらった。
 ここでプロなら次の疑問を抱くだろう。
 ――アンテナなどを抱えた余計な隊員がスナイパーチーム(射手と観敵手)にえっちらおっちらつきまとってくれたりしたら、敵の眼にはこっちの動きが早々と露顕しちまうだろうがよ?
 それは杞憂であった。
 ノルウェー軍に、こっちの居場所を血眼で捜してもらったが、バレはしなかった。
 EWSTを新編して海兵隊の各大隊に編入しようという構想は、ネラー大将が2017年に掲げたもので、今、それが着々と実現しているところだ。
 2015年にシリアの反アサドゲリラを支援する要員を米軍が送り込むようになって、露軍の野外電子戦への努力集中が著しいことを米国は知った。その危機感が引き金になっている。
 露軍はウクライナではどんな電子戦をやったか? 衛星と地上の通信リンクに対する妨害。スマホ発信点のピンポイント標定&砲撃。特定地域の敵兵のスマホに対する、テキストメッセージによる「ピンポイント・プロパガンダ」。
 これをうけてウクライナ軍は、「電子的カモフラージュ」を徹底する必要に迫られた。
 EWSTは味方に何をしてやれるか? 敵による毒ガス攻撃の予兆の探知と警報。敵斥候隊の接近警報。
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 Scott Stewart 記者による2019-7-3記事「Espionage and LinkedIn: How Not to Be Recruited As a Spy」。
        世界の情報機関は、オープンソースから情報を集める助けとして、既存の商業SNSを大々的に利用している。特にリンクトイン。特定の情報や技術に関与している人物を簡単に知ることができるのだ。
 リンクトインを手掛かりに、諸外国の諜報機関は、スパイ候補者の目星をつける。
 中共がそれをどのように利用しているのかについては、2019-6にフィンランド国際問題協会のMika Aaltola 氏が報告を公表している。
 中共がGEの社員に接触して企業秘密の技術を中共に売らせたスパイ事件でも、その社員を一本釣りできたのは LinkedIn のおかげだった。
 これがインターネット時代より前だと、敵の諜報機関は、まず、どの企業のどのチームが特定の興味深い技術開発をしているかをつきとめ、その中の一人の技師に、ターゲットを絞らねばならなかった。
 この技師ターゲットの絞り込みのために、その企業の内部の人員の配置に詳しい別な社員を、先行して一本釣りしてスパイに仕立てることもあった。
 そんな「したごしらえ」の段階で下手をやると、対象企業が「何か怪しい」と感づいてしまい、技術情報の盗み出し計画は失敗する。だから準備段階にものすごい時間と労力が必要であった。
 ところが今日では、リンクトインにアクセスすれば、どんな企業が、あるいはその企業の中の誰が、どんなプロジェクトにどのくらい関与しているか、数秒にして判明してしまうのである。
 リンクトインによって、ターゲット社員の候補者をとりあえず数名、選ぶ。
 次の段階は、その中の誰がいちばんスパイになってくれそうかの絞り込みだ。
 今度は、フェイスブックやインスタグラムで、候補者ひとりひとりのネタを漁ればよい。じきに、各人の関心事、欲望、趣味、家庭事情、困っていそうなことが分かってしまう。
 その会社を辞めさせられたばかりの人物も、リンクトインなら、すぐに探せる。その者たちには、新しい仕事・地位のオファーが、たぶん良い餌になろう。
 中共スパイ機関は、大学やシンクタンクを装って、最初の接触を図る。
 最初は、まったくさしさわりのないテーマで論文を書いてシナに来て発表してくれれば大金を払う、と申し越すのだ。その発表のための往復旅費も全部、支那側が持つ。
 シナ旅行中の姿は全部ビデオで撮られており、特にスパイ機関幹部との接触風景は、後で脅迫ネタに使える材料となる。
 ほとんどの西側企業内スパイは、このパターンで取り込まれている。
 この一本釣りを予防するためには、企業は、枢要プロジェクトに関与する社員に、SNSの利用を禁止するしかない。