次は「槍」の実験の協力者を募集します。長期的にね。

 Franz-Stefan Gady 記者による2019-7-25記事「The Significance of the First Ever China-Russia Strategic Bomber Patrol」。
        露支初の空軍機合同長距離洋上ミッション。
 飛んだのは、2機の「H-6K」と、2機の「Tu-95MS」であった。
 どちらも核兵器搭載機である。そこが今回のメッセージの本質だ。
 1ヵ月前、習近平とプーチンは共同で声明した。核兵器管理、核兵器軍縮および核兵器不拡散に関する既存の国際合意体系を壊すようないかなる試みも、受け入れることはできない、と。
 これは米国のMD配備のことを指す。
 すなわち今回のデモ飛行は、その声明を実行で裏打ちしようとしたものである。
 自国の核戦力が、露支の最大関心事だ。
 韓国内のTHAADについて中共とロシアは共に反対を表明している。それが露支の核攻撃能力を揺るがすものなので、反対だというわけだ。だから韓国近くを飛行した。共同で憤りを表したのである。
 露支は米国製のMDすべてに反対である。
 トランプが前によびかけた三国核軍縮交渉に中共はまったく応ずるつもりはない。しかしその立場と関係なく、中共がロシアと核に関して歩調を合わせていると強調しておくことは、米国に対する露や支の立場を、強化するだろう。
 露支が核問題に関して対米共闘するということは、ユーラシアの陸上に配備されている中距離の弾道弾と巡航ミサイルを削減できる見込みは当面無いことを意味する。
 軍事アナリストのドミトリー・ステファノヴィッチは警告する。露支がその長距離爆撃機に相互に「空中給油サービス」を提供するようになれば、極東の軍事バランスは一変するだろうと。
 ロシアと中共の間には「軍事協働計画2019」という秘密協定が前々から存在したらしい。これまでまったく公表されたこともないものだが、とつぜんに、露支双方の国防大臣がその存在を口にした。
 中共国防部の広報員は言った。求めているのは対露同盟ではなく、パートナーシップまでだ、と。
 たぶん19世紀欧州の「アンタンテ」のような緩い協商を目指すのだろう。
 次。
 J. Daryl Charles 記者による2019-7-25記事「US Army or Islamic War College?」。
     カンザス州フォートレヴンワースにある米陸軍のCGSC(司令官とその参謀幕僚を養成するための大学校)は、政治スタンスが保守寄りである中東史専門家のレイモンド・イブラヒム氏に講演を頼んでいた。
 ところが、全米の大学で保守系の論客を呼ぶなという運動を繰りひろげている親イスラムグループのひとつ、「アメリカン・イスラミック関係会議」が陸軍大学校に抗議書簡をよこし、それを読んだ校長が、イブラヒム氏の招請をCGSCに撤回させてしまった。
 イブラヒム氏は、2018年に『剣とシミター(三日月刀)――西欧対イスラムの千四百年戦争』という著作を公刊している。イスラム問題の専門家である。
 抗議を寄せた団体CAIRは、米司法省によれば、「まだ起訴されたことのない陰謀賛助団体」である。過去の米国内のテロ事件の資金集めに手を貸しており、UAE政府では明瞭に「テロ機関」と分類している。
 CAIRの書簡によれば、イブラヒムはアンチムスリムでありレイシストだそうだ。
 イブラヒム氏は、民族的にはエジプト人であり、ネイティヴ言語はアラビア語である。
 イブラヒム氏の信仰は、キリスト教コプト派である。
 コプト派は、過去1400年間、イスラム圏内で暴力的に弾圧を受けてきた人々である。
 コプト派のエジプト人は、イスラム教がまだどこにも存在しない昔において、エジプト内でキリスト教に入信していたのだ。
 だからアタナシウスなどのキリスト教史上の「教父」たちの多くもエジプトの出身なのだ。
 コプト派に対する宗教迫害はA.D.650年から記録されている。
 アレクサンドリアにあった世界最古最大の貴重な図書館の蔵書を燃やし尽くしたのは、エジプトに侵略してきたアラブ人たちの仕業であったことは、アラブ人も認めている。
 聞くところでは講演予定日の9日前になって中止を告げられたイブラヒム氏は陸大側に、講演がダメなら、その代わりに、CAIRの選んだ代表者と自分とが陸大学生たちの前で公開討論するというのはどうですかと逆提案した由。だが陸大校長らは、テロリズムシンパのイスラムクレーマーに降伏開城する決心を、変えなかったようだ。
 ※以下、イスラム系クレーマーの特徴叙述がしばらく続くが、あまりに韓国系クレーマーにそのままあてはまっていることが興味深い。日本は米国内のイスラム系クレーマーを例に挙げることで、簡単に、米国世論に向けて真実を宣伝することができるのである。
 記者は『戦争、平和、正義におけるプロテスタント改革』などの宗教倫理系の著作がある教授である。
 脚注でいわく。イスラムの1400年史は暴力とテロの歴史であることには証拠があるが、CAIRなどのイスラム擁護団体は、その歴史を抹殺する活動に必死である。そのような過去はなかったことにしようと本気で動いている。
 ※日本でもあるよね。イスラム絡みの事件が起きると、《コーランと暴力はもともと関係ない》などと必ず報道に付け足さないといけないと思っているかのような学者・解説者のあらずもがなの一言が。現代のイスラムテロを説明する分析を自分が持ち合わせないなら黙っていればいいものを、事実上何の関係もないコーランの一部の記述をわざわざ持ち出し、人々が現実をありのままに把握しないように無理やり誘導しようと努める。そこまで行けばもはや学者の看板とは無関係に、政治宗教運動そのものだろう。