高機動車の謎が増えてしまった……(いまさら情報 其の一)

 「はたらく車」のイベントに出かけて、高機動車のボンネットを開けてもらい、右側の、エンジンの空気取り入れ口を撮影して帰ってきた。ついでにその地上高も、シャツに鉛筆で印を付けて、後でメジャーをあててみた(113センチ+ でした)。
 ところがこのエアインテイク、どうみても「シュノーケル」構造になっていない。
 どういうことなんだ……?
 あと、世界で2台しかないという函館市電用の除雪車(大雪時に出動するササラ電車ではなく、委托されている民間会社が毎日早朝4時から始発までの間に運用する、路上/軌上の両用車)を仔細に撮影できたのはラッキーだった。
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 Kyle Mizokami 記者による2019-8-16 記事「To Prevent Cyber Snooping, the U.S. Navy Is Relying on WWII-Era Communications」。
        米海軍は、ビーン・バッグ・ドロップ=「投下通信袋」による秘密連絡手段を復活させる。
 絶対に傍受・解読されることのない作戦命令伝達ができる。
 艦船同士の連絡にこれを使う。艦載ヘリが運搬する。
 先週、MH-60Sシーホークが、艦隊司令官からの文書メッセージを入れたビーンバッグを、強襲揚陸艦『ボクサー』の飛行甲板に、ホバリング高度から投下した。文書の宛て先は艦長。シーホークは着艦することなく飛び戻った。
 1942-4に東京を初空襲する『ホーネット』の護衛についていた『エンタープライズ』搭載のSBDドントレスが前路哨戒中に日本の民間船1隻を視認した。それを『ホーネット』に知らせるために無線を使うわけにいかなかったので、ドントレス機はビーンバッグを『ホーネット』に投下して知らせている。
 ※そもそもドゥーリトル隊を乗せた空母艦隊の司令官に対する東京爆撃の密封命令書が、米本土陸上の司令部から、米海軍所属の「飛行船」によって「通信筒」の手渡しによって、加州のはるか沖合いで伝達されていたことを、この記事はスルーしている。そしてもうひとつの事実。日本本土の無線傍受部隊は、米空母が茨城沖に近づいていることを早々と察知していた。つまり連中は「無線封止」を破っていたのだ。その理由はおそらくシンプルで、『ホーネット』から『エンタープライズ』に宛てて文書伝令のSBDを飛ばしたくとも、飛行甲板が「B-25」で埋まっていて、どうしようもなかったのだ。発光通信の逓伝は、通信に時間がかかりすぎてダメだと判断されたのだろう。
 なお米海軍は2016に「六分儀」教育も再開した。GPSは妨害され得るという前提を受け入れて。
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 Kyle Mizokami 記者による 2019-8-13記事「Why the U.S. Abandoned Nuclear-Powered Missiles More Than 50 Years Ago」。
      グリーンピースは独自の調査により、セヴェロドゥヴィンスク市で測定された放射線レベルのスパイク値は、通常の20倍であったとつきとめた。
 米国は1960年代にSLAMを非実用的であるとして諦めた。
 SLAMとは、超音速・低高度ミサイルの略。核動力であった。
 SLAMは「ビッグスティック」とも仇名されていた。
 まず普通のロケットブースターで加速し、超音速に達したところで、核熱源のラムジェットに切り替える。
 巡航スピードはマッハ3.5にする計画だった。
 敵地に近づくと、この巡航ミサイルは高度を1000フィートまで下げる。
 単弾頭ではない。プリプログラムされたコースを飛んで、26発もの水爆を点々と投下して行くことになっていた。無人爆撃機だったのだ。
 SLAMは、試作機すらもこしらえられることはなかった。放射性の排気を撒き散らす超音速巡航機をテスト飛行させられるような余地は、北米上空にも無かったのだ。ショックウェーヴだけでも下界はえらいことになるはずだった。
 たった30分でロシアのどこにでも水爆を撃ち込めるICBMが完成したのに、このような無人爆撃機は無用だと上層部は判断した。
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 David Grossman 記者による2019-8-16記事「Three Years Later, the French Solar Road Is a Total Flop」。
        『ルモンド』紙によると、2016にスタートした、道路そのものをソーラーパネルで舗装してみる実験は、「失敗」と結論された。
 このソーラーストリート、2016に「ワットウェイ」と名付けられていた。
 ノルマンディ地方の町が実験場だった。道路1kmあたり、2800枚のソーラーパネルを、タイルのように貼った。
 パネルはレジンで包まれていて、巨大トラックで踏みにじられても平気だというのが施工者の売り文句であった。
 まず最初の問題は道路騒音だった。このパネル舗装の上を車が走ると、大きな音がするのである。
 住民の苦情により、最高速度は70km/時、ところにより43km/時に制限された。
 しかもパネルとパネルの間のつなぎめから徐々に破壊が進んで、結局、パネルも剥がれるようになり、それが踏まれて砕け、さんざんな景況に……。
 仏政府は、米ドルにして550万ドルをこの実験に投じた。
 建設前の話では、この発電道路は5000戸分の消費電力に匹敵する電力を生み出すはずだったが、実績は、それに遠く及ばなかった。
 近くのカーン市のデータだと、年間で快晴の日は44日しかない。これがノルマンディ地方である。
 そして欧州は高緯度であるので日光は夏でも斜め横から来る。道路に貼り付けたパネルでは、それに正対させることができなかった。
 また、送電線路も耐候性でなく、嵐の襲来ですぐに破壊された。
 2018年には中共もソーラー道をつくってみた。1週間にして、パネルは盗まれてしまったという。
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 Kristina Libby 記者による2019-8-13記事「This Bill Hader Deepfake Video Is Amazing. It’s Also Terrifying for Our Future」。
        動画上の誰かの顔に、別人の顔をインポーズしてしまう技術は、イアン・グッドフェローが院生時代の2014年に完成した。
 GAN技術を用いることで、どんどん自然になった。
 現在、米国人の47%が、オンライン媒体によってニュースビデオを視聴している。そのニュースビデオが簡単に捏造加工されて拡散されるようになったら、アメリカの自由政体にとっては危険である。
 もしも著名な政治家がニュースフッテージの中で、暴力を扇動したりパニックを誘導する発言をしたら? もちろん捏造なのだが、たとえば外国政府が捏造された脅威を信じて、すばやく軍事的な反応をしてしまったら? 真相を察したときには、遅い。
 2020大統領選挙の期間中には、必ずこの手が使われる。今から対策が求められているのだ。
 ディープフェイクを見破れるというソフトも開発されてはいるのだが、作者たちは、またそれを超克する技術を洗練させる。ウィルスとアンチウィルスの進化のように、その競争には、果ては無い。
 ※こういう記事を読んだ後には、マーヴィン・ゲイの『Ain’t nothing like the real thing』を聴きたくなる。特に若い二人に捧げたい。