季刊『宗教問題』も絶賛発売中だよ

 Tanner Greer 記者による2019-9-4記事「American Bases in Japan Are Sitting Ducks」。
     米軍のために全額日本の負担で基地を整備するという約束は、附属文書の日米地位協定で定められている。接続道路、港湾、空港の利用権も。
 他方、軍隊の維持コストは米側が負担して、日本側には負担させないとも規定されている。
 だが1970年代以降、日本が豊かになると、米軍の日常コストも日本が負担するのがフェアであると思われるようになった。それは日本がじぶんでできる国防努力をサボっている代価とみなせるからだ。かくして米軍経費の7割を日本政府が支払うようになっている。
 いまから10年前、中共は在日米軍の飛行場に対して100発未満のSSMしか到達させることはできなかった。しかし今日では、国防総省の見積もりによると、1000発前後のミサイル攻撃が可能である。
 弾道弾の場合、中共本土上のTELから発射されて沖縄の航空基地に着弾するまでの時間は、6分から9分である。
 標的には滑走路や格納庫だけでなく、地対空ミサイル部隊、指揮所、通信設備も含まれる。
 中共軍の文書を2人の研究者が調べたところでは、中共軍は、ミサイル攻撃の第一波によって、在日米軍の航空基地の滑走路を穴だらけにしてしまうことを優先している。まず米軍機を離陸できなくしておき、第二波以降で、その機体を破壊するように努めるのだ。
 2017年に別の2人の研究者は結論した。中共軍のロケット軍による在日米軍基地に対する第一波の攻撃は、MDを飽和するであろうと。
 開戦から30分以内に、200機以上の米軍機、すべての住所固定の米軍指揮所、すべての米軍用の滑走路、および、日本の軍港内に停泊中のほとんどの米艦艇は、破壊されるであろう、と2人は見積もった。
 近年、ランド研究所も同様の結論を出した。それを見てロバート・ワークがいみじくも言った。F-35は空中では無敵だが、地上で多数がやられてしまうだろう、と。
 在日米軍基地は、次の7箇所に固まっている。三沢、ヨコタ、厚木、岩国、佐世保、横須賀、沖縄。そのうち特に沖縄に集中して置き過ぎている。
 基地の集中はまったく愚かである。辺野古もダメである。そもそも沖縄ではダメなのだ。
 賢者ならば、航空基地と軍港は極力分散する。分散していれば敵は開戦奇襲ではそれを全滅させられないと弁えるので、平時から強気になれない。
 つまり、米国や日本にとって、主要基地の分散以上に対支軍備で重要な政策はないはずだ。なのに、ペンタゴンにその着想・着意が無いことに、われわれは呆れる他はない。
 ※北海道駒ケ岳の東麓に広がる自衛隊演習場一帯は、いつまた火山噴火があるかわからないところなので、リゾート開発もできない荒野である。ここに米軍のための分散(=divert用)航空基地を設定することを、私はリコメンドしたい。いやいっそ、海兵隊をここにもってきたっていい。噴火湾には珊瑚もジュゴンも棲息してないしね。露助に対する脅しにもなるはずだ。
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 Hope Hodge Seck 記者による2019-9-4記事「10 Things You Didn’t Know About Jim Mattis from His New Memoir ‘Call Sign Chaos’」。
         マティス元長官の回顧録『コールサイン・カオス』は、著者はビング・ウェストとなっている。9-2に発売された。
 この中ではマティスはトランプについて語ることを遠慮した模様。ほとんど言及がないそうだ。
 そのかわりに、「ドクトリンとは、想像力の無いやつの逃げ込む場所だ」――といった決め台詞がてんこもりで、それだけでももうおなかいっぱいのタッチであるようだ。
 マティスはセントコム司令官だったときにオバマと路線対立して2013に左遷された。それが買われてトランプ政権で2年間、長官に就任した。
 マティスは自分のコールサインとして「カオス」を好んだ。それが「すばらしい他の解決案を持っている大佐」の略号になっている、として。
 マティスは2001当時はフランクス大将(陸軍)をセントコム司令官に戴く下僚だったが、部下の海兵隊の歩兵部隊に出動させてくれれば、ビンラディンをトラボラ地区からパキスタン領内に逃がすことはなかったのだと、今でも信じている。
 フランクスは、アフガンの山地に車両や歩兵を出しても旧ソ連の二の舞になるだけだとしてマティスの進言を斥けた。そんなトラップは存在しなかったのだ。おかげでビンラディンは2011年まで逃亡を続けられた。
 マティスはこう言いたかったと夢を見る。「閣下、ここに作戦プランがあります。ビンラディンを殺し、閣下に勝利を進呈できます。必要なのは閣下の御裁可だけなのですが」。
 マティスは2003-3、バクダッド進軍中に、部下のジョー・ダウディ大佐(第一連隊戦闘団長)を解任した。進撃スピードをもっと上げることにダウディが抵抗したので。しかし自著の中ではダウディの名前を出さずに、それを解説している。
 マティスはときどき過激な表現を使ったが、それは計算されていた。「言語は武器である」という信条を持っていた。だからマスコミの前で絶対に発言について謝罪しなかった。
 2017-1から2018-12までの長官任期中の話は少ない。
 マティスは女子戦闘員についてはそもそも反対の信条だったと思われるが、トランスジェンダーと女子隊員の話は避けている。
 マティスは、軍隊は社会の実験場ではないと思っている。
 効率的に敵を殺すことを考えろ。それが味方の死傷を減らし、敵を抑止するのだ。
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 Bill Gertz 記者による2019-9-4記事「Influence Power: How China Covertly Operates in the U.S.」。
     ビル・ガーツの新刊『天を欺く――中共の世界支配構想』が出たよ。
 中共は、米国に避難中の郭文貴をシナ本土に連れ戻すためにトランプ政権周辺に対して30億ドル規模のロビイングを展開している。
 中共のカネの手先になっている代理人として、マレーシアの事業家にしてお尋ね者の Low Taek Jho、通称ジョー・ローや、ヒップホップラッパーのプラス・マイケルがいる。この2名も郭の身柄送致をトランプ政権に働きかけている。
 中共の工作部隊は、共和党の財務担当であったエリオット・ブロイディとその妻までも抱きこんだ。
 ブロイディはロサンゼルスのベンチャー資本家。トランプの大統領選挙に対して高額の献金をした。
 トランプが大統領に選ばれると、ブロイディは共和党の全国委員会のナンバー2の地位を得た。それはジョン・ケリー首席補佐官や、セッションズ司法長官にアクセスできる地位である。
 中共の元のままでは賄賂にならないので、多額の元をドルにロンダリングする必要があった。それには司法省のジョージ・ヒギンボサム(裁判で有罪を認めている)が抱きこまれて手を貸した。ローとマイケルを通じて7400万ドルの政治工作資金が振り出される仕組みになっていた。
 郭の拉致はアブダビ経由でなされる算段であった。郭は同地で投資家たちのカネ30億ドルを騙し取ったといわれている。中共は、そのカネを中共が出してやるから郭の拉致に手を貸せとオファーしたのだ。
 しかし郭によれば郭はアブダビで投資詐欺など働いておらず、現にアブダビ政府からいかなる訴えもなされていない、と。
 ラスベガスの富豪、スティーヴ・ウェインも、郭の身柄を中共に渡せという習近平の手紙をトランプにとりついだ。
 ウェインはマカオにもカジノを経営しており、それは地元の中共幹部の許可が必要である。
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 ストラテジーペイジの2019-9-5記事。
   米陸軍航空隊もちょっと人手不足。
 米陸軍航空隊は、予備役も含めて1万4000人のパイロットが必要なのだが、今、700名ほど、パイロットの人数が足りない。