蜘蛛の巣は風に強いね。

 Dara Massicot 記者による2019-9-9記事「Anticipating a New Russian Military Doctrine in 2020: What it Might Contain and Why it Matters」。
   露軍の最新版ドクトリンは2014発表のものである。
 その後、シリア干渉などの情勢変化があったので、現在改訂がすすめられており、たぶん2020には次のバージョンが発表されるはずだ。
 公開文書から、その内容を予想してみよう。
 露軍は2008から軍事改革をすすめている。2020までには装備の7割を新型に置き換えると謳っていた。人員充足と、軍需工業基盤の育成も。
 2014ドクトリンの前は2010版があった。
 2019-7にロシアの安全保障会議のニコライ・パトルシェフが、来年に国家安全保障戦略をアップデートすると声明しているので、早ければ2019-12後半にはそれは公表されるだろう。
 ロシアのこうした文書は読んでおく価値がある。たとえば2014ドクトリンで国内の脅威が始めて取り上げられた。続いてモスクワに、国防統制センターが置かれ、単一の国土防衛隊に、それまでの雑多な警備機関が統合された。
 2016版のロシアの「外交政策コンセプト」からはINFへの言及がなくなった。すでにINF違反を始めていたのがバレてしまい、この条約を守る気は無いと暗示したのである。
 2013に参謀総長ヴァレリー・ゲラシモフは、非軍事的手段をすべての紛争に用いることを強調した。2014に、露軍の身分を隠した工作隊によるウクライナ侵略が成功した。シリアには露人からなる民間傭兵部隊を送り込んでいる。ヴェネズエラでも同じことをしているようだ。
 軍隊同士が激突する前に、さまざまな手段によって敵を麻痺させてしまうことが肝要なのだとゲラシモフは2019-3に強調している。有言実行する気だろう。
 2017年版のロシア軍事用語辞典では、限定作戦のためにも核を使用する場合があると言っている。
 シリアで現に実験しているように、4000人前後の小集団で、これからは外地作戦を実行するんだというのが、もっかの方針なのかもしれない。
 2014ドクトリンで初言及された民間軍事会社は、すでに、シリア、ウクライナ、リビアに投入されている。
 ロシアは先制核攻撃をまだ公式にはオプションに入れていない。
 ロシアのテスト中の核兵器には、空中発射式弾道ミサイル「キンザール」、ハイパーソニック滑空弾「アヴァンガルド」、核動力巡航ミサイル「ブレヴェストニク」がある。
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 Mike Orcutt 記者による2019-9-6記事「The US government has a hidden weapon it could deploy against Bitcoin」。
     50年近く前、銀行安全法というのが米国の連邦法として成立している。
 合衆国内の金融機関は、マネーロンダリングを取り締まる法執行機関に協力しなければならぬと定めてある。
 この法律を根拠にして、連邦政府は将来、ブロックチェーン/暗号通貨/ビットコインを、人身売買などの特定の犯罪容疑者が使えないようにする可能性がある。
 暗号通貨のプロバイダーも同法でいう「金融機関」だ――と財務省が解釈すれば、そうなる。