やっと『ネルソン傅』を読み終えた……。

 明治39年に帝国海軍の手で訳刊されていて1292ページもある。マハンの最後の大著だからもっと早く読む必要があったのだが、あまりにも頭に入りにくい日本語なので、手間を喰っちまった……。これは洋上ブロケイドの国際法の起源を考えるときの資料ともなるものなのだ。10-21のトラファルガー海戦記念日までにはなんとか摘録をUpしたいです。
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 Stacy Liberatore 記者による2019-9-30記事「Experimental German radar ‘tracked two U.S. F-35 stealth jet for 100 MILES’ after lying in wait on a pony farm to catch them flying home from airshow」。
    ドイツのレーダーメーカーが主張。子馬牧場に置いた新型レーダーにより、100マイル弱の距離で、2機の米空軍のF-35を探知できたと。
 これは「パッシヴ・レーダー」であった。民間のTV放送局や携帯基地局の電波が勝手にステルス機に当たって散乱するのをモニターし、その変化パターンを解析するシステム。
 ステルス機のパイロットは、自機が進入したエリアが相手からモニターされているエリアであるとは気づけない。
 探知成功は2018年だという。まず、ベルリン航空ショーのためにアリゾナのルーク基地からF-35が飛来した。このときは探知せず。
 ドイツのメーカーは、会場のすみっこにそのレーダーを設置してF-35がデモ飛行するのを待っていたのだが、なぜか航空ショー本番ではF-35は飛行しなかった。
 しかし米本土に飛び戻るときに、某子馬牧場に仕掛けておいたこの新装置「TwInvis」を作動させ、空中のF-35を捉えた。というか、F-35が環境電波を反射する特性の情報を収集した。
 探知できた距離は、約93マイルであった。
 ただし『C4 ISRNet』は指摘する。そもそもF-35がそろそろ牧場の上空を通過するという未来時刻と概略方位を絞り込めたのは、F-35の機体に搭載されている「ADS-B」トランスポンダーのスイッチがONになっていたからだ、と。
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 MATTHEW M. BURKE AND AYA ICHIHASHI 記者による2019-10-1記事「Japanese sailor killed by propeller while working on aircraft engine」。
    10-1に鹿屋基地の格納庫内で海自のP-3Cのエンジン取り外し作業中、エンジンが落下し、そのペラに打たれた海曹長が殉職した。作業はセベラル人で実施していた。
 ※民間のクレーン玉掛教育では、吊り荷の下には絶対に入るなと言われるが、現場ではそうも言ってはいられない時があるのか。
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 ストラテジーペイジの2019-10-1記事。
    レイセオン社は、DoDからの発注を待つことなく、自社投資として、次世代AAMを開発中。AMRAAMよりも小型で、Peregrine と称する。
 サイドワインダーは重さ85.3kg、AMRAAMは172kg。ペレグリンはそのサイドワインダーよりも軽い68kgだ。
 サイドワインダーとAMRAAMは長さが3.7mで同じ。サイドワインダーの方が細いので軽いのである。
 ペレグリンは1.8mしかない。それでも50kmも飛翔するという。サイドワインダーは20kmだというのに。
 レイセオンは、誘導装置をおそろしく小型軽量化することで、これを実現した。
 ライバルのロックマートは2011にやはり「Cuda」という小型のAAMを自主開発している。なぜ皆、小型にこだわらねばならぬかというと、ステルス戦闘機の狭いウェポンベイ内に複数発を収容できないようでは、これからは売れないからである。※バラクーダの短縮呼称か。
 この「クーダ」の存在は、2012にF-35の兵装庫の扉が開いている写真が公表されて知れ渡った。長さはサイドワインダーの半分くらい。
 しかし数年後、「クーダ」の開発は静かに放棄されている。
 2018に米陸軍が、200万ドルを用意して、ロックマートに「クーダ」を改造した対UAV直撃破壊型の超小型SAMの開発を発注した。名称は「MHTK」。
 UAVのみならず、砲弾やロケット弾でも空中で撃破できるという。
 重さは1発2.5kgとクーダよりやや軽い。レンジは数kmだという。
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 Charlotte Jee 記者による記事「A gel that makes trees fire-resistant could help prevent wildfires」。
      スタンフォード大の発明。森林にジェルをスプレーすれば、山火事が燃え移らなくなり、植生が保護されるという。
 その薬剤はセルロース・ポリマーで、原料が植物由来である。そこにシリカ分子も加えた。要するに人工の砂。
 実験では、半インチの雨量では、これは流出しないで残る。だから、雨の少ない加州では、山火事シーズンの前に1回撒布しておけば、それから1年間、山火事から森林が守られるという。
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 9-30記事「Putin could decide for the world on CRISPR babies」。
    ブルームバーグのすっぱぬきによれば、ロシア政府の保健省がこの夏に遺伝子学者たちを集めて秘密会を開き、CRISPR技術を積極利用せよと発破をかけた模様。
 中共に負けず、ロシアでも改造スーパーベビーを産ませろ、というわけか。
 この会合には、プーチンの長女も臨席したという。ロシアではその公式報道は一切、なされていない。