超暖冬。

 Lawrence Freedman 記者による2019-12-17記事「Michael Howard: A Reminiscence」。
  英訳版としての決定版である『戦争論』(クラウゼヴィッツ)の共訳者のひとり、マイケル・エリオット・ハワードは11月30日に死去した。97歳。
 記者は1972年にオクスフォードの博士課程に進み、そのときに指導教官のハワードに初めて会ったのである。最後に会話したのはほんの数ヶ月前であった。

 1972時点でハワードは50歳前だったが、普仏戦争の研究書等により、軍事史をまじめな学問分野に引き上げる活動が実を結んでいた。

 典型的なブリティッシュ・エリートだった。パブリックスクールはウェリントン。WWII前に所属したのはコールドストリーム近衛連隊。戦中にしめした抜群の勇敢さに対して軍事十字勲章。それからオクスフォード大学。

 オールソウルズ・カレジの教授の部屋は、1438年に建てられた学舎の中にあった。
 それに対して当時23歳のわたしは、軍事経験といったら、ベトナム反戦デモに参加したことぐらいであった。

 ハワードは『大尉にして教授』という回顧録を残している。60年代に米国の大学に留学したことを、彼は後悔していた。そして米国人よりも英国人に教えたがっていた。だが冷戦期のハワードの教え子たちのほとんどは米国人たちだった。そんななかで、わたしは稀な英国人だったので、彼から贔屓にしてもらえたのである。ちなみに関心分野は、核に関する政治決定過程。

 記者は大学院に2年いただけで、ヨーク大学の教官職を得た。そこはマルクス主義政治学の牙城であった。

 ハワードは、英国首相(マーガレット・サッチャー)が聴講した、ただひとりの歴史学者である。※おそらく軍備管理に関する話。

 ハワードは大学では博士号をとらなかった。ハワードは、軍事評論家のバージル・リデル・ハートに私淑していたのだ。リデルハートは大学ポストを得たことは生涯一度もない。したがって、学生時代のハワードには指導教官がいなかったわけである。
 オクスフォードはしかし、ハワードの出版業績に対し、あとから文学博士号を授与している。

 ハワードはリデルハートを「賢人」と表現していた。
 ハワードも間違いなく賢人だった。

 ハワードは、共通のバックグラウンド、言語、文化をもつ政治エリートによる政治を好んでいた。米国政治がアイヴィーリーグの白人に領導されているのも何の問題もないという立場。しかし記者はユダヤ人なので、それについてだけは賛成しかねた。

 オールソウルズは、英国の貴紳クラブの中でもとびきりの閉鎖的クラブを維持している。そのディナーに記者は、招かれた。ハワードは、連隊史の共同執筆者であるジョン・スパローの隣に、わたしを座らせた。すばらしいワイン、執事たち……。ただし、女は一人もいない。スパローは、強度の女性嫌悪主義者として有名であった。
 酔うほどにスパローの毒舌は強烈になり、それを聞かされているわたしの表情を観察してハワードはニヤニヤしていた。

 1972年、わたしはマイケルの私邸に招かれ、そこで、発見した。
 マイケルは、ゲイであった。

 邸内には、ホモセクシュアル用の客人棟と、へテロセクシャル用の客人棟が、別々に存在したのだ。

 英国では、ほんの数十年前まで、ホモは、それじたい「違法」であった。

 マイケルの生涯の伴侶は、マーク・ジェイムズであった。このふたりは1950年代から、当局から訴追される危険を冒していた。

 ハワードとスパローも、コミンテルンならぬホミンテルンの使命感によって連隊史を著したのだ。

 だからハワードの遺作(来年刊行されるはず)のエッセイ集のタイトルが『誇りとともに戦いて――米軍におけるLGBT』であることに、諸君は驚いてはいかん。

 ハワードは秘書を使わなかった。彼の手紙/eメール には、要点しか書かれない。「承知した。月曜日だな。マイケル。」といった具合だった。

 次。
 ストラテジーペイジの2019-12-17記事。
 中共は、米国とはべつの経済圏をつくって自立するつもりだ。米国が支配する銀行決済システムのSWIFTからは抜けて独自の決済システムを構築する。コンピュータOSも、ウィンドウズの対抗版を独自につくる。ソフトウェアだけでなく、演算チップも、米国特許を使わないものを独自につくる。
 まあしかし、これらは短時間では無理だろう。

 シナ版のSWIFTは、もうある。CIPS(クロスボーダーインターバンクペイメントシステム)と称する。これはロシアのSPFS(システムフォートランスファーオブフィンシャルメッセージ)と連結する。

 SWIFTは1974年からあり、1万以上の金融主体が加盟している。
 中共=ロシアのシステムの加盟者はまだ500未満。しかしインドが加盟を検討している。

 中共は90年代の日本の二の舞を恐れている。土地バブルがはじけると、人民は怒り、現政権を転覆させてしまう。あのバブル崩壊さえなくば、日本では政権交替など起きなかったのだ。
 中共の場合、民主的選挙制度は無いから、暴力で政権が転覆させられることになりそうだ。

 中共の海洋調査船がアンダマン諸島近海を徘徊していたのでインドは強制的に退去させた。12-4報道。

 パキスタンでセックススキャンダル。中共の犯罪集団がパキスタン人の女たちを騙して中共領内に連れ出し、シナ人の独身男と強制結婚させていると。

 独身男たちは6万ドルを犯罪集団に支払う。犯罪集団は、働き口があるといって女たちを騙す。

 この強制結婚に従わない女は、内臓取りに回される。

 いくつかのケースでは、貧民層の両親から、ギャングが10代の娘たちを購入している。その単価は1000ドルから2000ドルだという。

 パキスタン人のジャーナリストは、すでに629人の被害者を確認した。しかしパキスタン当局がその報道を規制しているので、ネタは西側メディアに持ち込まれ、そこから世界に知られた。※日本ではこの報道はまだ無いようだが……。

 腐敗しているパキスタンの司法は、この人買いの容疑で逮捕した31人のシナ人に5月に無罪を言い渡した。裁判で証人に立とうという者がひとりもいなくなったのだ。それでパキ人民が怒っている。

 中共では一人っ子政策の期間中、堕胎によって女子が間引かれ、出生男児数は出生女児数の2割増しである。

 民間衛星が発見したもの。中共軍は、全長32mから85mの繋維式ヘリウム飛行船にレーダーを搭載したものによって、南シナ海の砂盛島周辺を監視させはじめた。12-1にあきらかにされた。

 繋維式だから飛行船というより気球だが、外見は飛行船である。繋維高度は最大5000mになるという。
 ケーブルにより電力が給電される。最長で30日間、昇騰させておける。
 単価は500万ドル以上だろう。

 ヨルダンは中古のAH-1F攻撃ヘリを2機、年末までにフィリピンに売り払う。スペアパーツなど全部まとめて100万ドルというお値打ち価格でだ。メンテナンス訓練要員も、その値段の中から、比島に派遣される。

 フィリピンは2018年にロシアから軍用ヘリを買おうとしたことがあるが、国連制裁がロシアにかかっているので、あきらめた。

 カナダも輸送ヘリの対比島輸出をあきらめている。こちらは、ドゥテルテによる対イスラムゲリラのやり方が過激すぎるというのが理由。

 それでフィリピンはトルコから「T129」攻撃ヘリを10機買いたいと打診していた。
 米政府は、トルコの商売を邪魔するために、AH-1W/Zの中古機の転売を、このたび斡旋したのだ。