フクロのネズミ

 JOSEPH DITZLER 記者による2019-12-19記事「African rats help turn Cambodian minefields into rice fields, for peanuts」。
   アフリカ大袋ネズミ(ホリネズミ)を手馴づけて地雷を探知させる試みがカンボジアで成功しつつあり。ベルギーの、それ専門のNGOが出張している。

 このフクロネズミ、地雷だけでなく土中の不発弾も嗅ぎ出してくれる。

 フクロネズミの鼻は、金属に反応するのではない。爆薬のケミカル成分を探知して、ハンドラーに知らせてくれる。だから、金属探知機にひっかからない地雷やIEDも、このネズミの鼻はのがれられない。

 1979年から2017年まで、残留地雷と不発弾によって、2万人近いカンボジア人が死亡し、4万5000人が負傷。だいたい半数は子供。

 60年代から70年代、米軍だけでもこの国に270万トンの爆弾を投下した。そして今日までに米国政府は、カンボジア領内の不発弾処理のために1億1400万ドルを支出している。

 このNPOは世界中からの寄付で成り立っている。米国内からは、2015年~17年に、190万ドルも醵金された。

 大ネズミは何が好都合かというと、小さいので対人地雷を起爆させない。餌は、世界中のどの市場でも手に入る、りんご、バナナ、トマト、ピーナッツでOK。
 これに比べると、地雷探知犬の方が高コスト。ドッグフードは僻地の商店では売ってない。

 訓練に要する期間も、犬は1年かかるのに、ラットは8ヶ月で仕上がる。
 ラットの寿命は8年なので、現役として使える期間は5~6年である。NPOでは、年齢が6歳になったところで、リタイアさせるようにしている。

 NPOは、タンザニアで野生の親ネズミを捕獲して、施設で子ネズミを繁殖させる。その子ネズミをトレーニングするわけだが、仕上がり成功率は93%だという。

 カンボジアの現場では、ネズミは朝の6時から働かされるが、9時半になるとその日の仕事は終わりだ。日中はとても暑くてダメなのだ。

 1区画を2人のハンドラーが担当する。投入するラットは常に1匹。そいつが疲労する頃に、別な1匹を投入して作業を継続して行く。
 ネズミが丸1日遊んでしまうのはよくないので、必ず、すべてのネズミが1日に1回は作業するようにローテーションを組む。

 ネズミがハンドラーに警報した箇所には小旗を立てておく。あとで地雷処理班がやってきて、片付けてくれる。

 ネズミたちも、7日に1日はお休み。スイカ、甘蔗、トウロモコシ、人参を与えて、ねぎらってやる。