我が朝、その人に乏しからず?

 Patrick Roberts, Oshan Wedage & Michelle Langley 記者による2020-6-13記事「The Oldest Evidence for Bow and Arrow Use Outside of Africa」。
     スリランカにおける発掘調査の結果、アフリカ以外で最古の、弓矢による狩猟の痕跡が出てきた。
 複数の小さな矢尻は、骨を削って製作されていた。その年代は約4万8000年前である。

 現在までのところ、人類の祖先が製作した最も古い「矢尻」だとされているのは、南アフリカのSibudu洞窟で見つかった6万4000年前の石器である。※たしかそれは弓から発射したかどうかは断定ができていないはず。

 また、従来、アフリカ以外の地域で発掘されている最古の「弓」だとされている遺物は、ドイツ〔の泥炭地帯〕で掘り出されたもので、その遡及年代は1万8000年(+)である。

 石の鏃なら残り易いのだが、木、腱、繊維などの素材は、ほとんど、土中で消滅してしまう。だから今回の骨鏃の発見は、貴重である。

 小さくて軽い骨の鏃が、すげられていた矢柄は、やはり細かったはずだ。
 その軽量の飛翔体で、ハントしていた対象とは、おそらく、樹上の小型猿か、大型栗鼠であろう。
 それを奇襲的に狙撃するのに、「アトゥラトゥル」(ダーツのスナップ加速具)のようなものでは不都合で、必ずや、初速を最大にできる「弓」を使ったはずだと推理ができるのだ。

 骨鏃と同じ地層からは、猿や鹿の骨から作られた、ナイフ、掻き取り器、突き錐も、良好な保存状態で見つかっている。

 4万8000年前の衣類、袋、駕籠、敷物、網などを発掘できるチャンスとなると、〔土中腐朽が早いので〕まず限りなくゼロに近いが、それらを加工するための道具は腐朽せず、ここに残ってくれたわけである。

 繊維編みのための「杼」と見られる人工遺物も出てきた。両端に注意深く切れ込みが入れてある。
 原始人たちにとって「網」は滅法重宝したはずだ。魚だけでなく、樹上動物の捕獲にも使えただろう。

 発掘現場からは、身体をいろどるための、赤、黄、銀色の顔料も出てきた。貝を加工した装身具とともに。

 ※こんな記事に興味のある人は、拙著『武器が語る日本史』を百倍たのしめるでしょう!

 次。
 Martin Manaranche 記者による2020-6-10 記事「GE Delivers First Lightweight Composite Gas Turbine Module for Future U.S. LCS」。
      GEマリン社は、米海軍の『USS Santa Barbara (LCS 32)』の主機となる、軽量コンポジットガスタービンエンジン「LM2500」の第一号製品を、オーストラルUSA社の造船所へ納品した。

 このエンジンは従来品より5500ポンド軽く、しかも、より静粛である。
 1隻の中に「LM2500」を2基、入れる。ガスタービンだが、それぞれ、ディーゼルエンジンとコンバインドされている。

 排熱量も減るので、機関室の隔壁の温度もじゃっかん下がる。

 次。
 Tanya Basu 記者による2020-6-12記事「A teenager’s guide to building the world’s best pandemic and protest trackers」。
    ワシントン州に住んでいるアヴィ・シフマンは、17歳の天才的ウェブ・プロモーターである。新コロの感染拡大をトラッキングするサイトをつくりたいと思いつき、全米と海外の高校生たちにデータ入力を手伝わせて、それを2020-1早々からウェブで公開したところ、ちょうど米国のパンデミックを見事にフォローする形になり、アンソニー・ファウチがじきじきにこのサイトを認め、「これが基本になる」と褒めた。

 いまや類似サイト中のナンバーワンの人気となっており、世界各地の感染病学者たちすら、拡がり予測のためにこのサイトを利用しているほどだ。

 そのシフマンが、こんどは「抗議行動トラッカー」のウェブサイトをプロデュースするという。
 そのサイトを見れば、ユーザーの近くで抗議行動があるかどうか、判るという。

 シフマンはインタビューで語ってくれた。

 昨年秋、じぶんの高校のために、州内の高校間スポーツ試合のスコア統計をわかりやすく追いかけるウェブサイトを作ったんだ。
 だが初作品の出来映えは悪かった。わかりづらい。それを改善しようと努めた。
 わが高校チームのスコアが高かったら緑色で「W」、相手高校チームのスコアが高かったら赤色で「L」と出るように、手直しした。

 こんどの「抗議行動の場所把握」サイトも、同じような仕組みだ。
 多くの人は、口でいろいろ語るばかりで、みずから行動は起こさず、インスタグラムに何か投稿して終わりだろ。
 それじゃいかんだろというじぶんの問題意識にもとづいて、作った。

 じぶんはプロ級のプログラマーじゃない。だからこれらのサイトの仕組みはしごく単純に見えるだろう。では、なぜ、世界中の誰も真似をしないのか? 理由は、じぶんでやってみれば分かるさ。
 運営に、ものすごい手間時間をとられるんだ。毎朝3時に起床しなければ、どうにもならない。

 無料でサーバーを使わせてくれる人が現れたので助かっている。
 このサイトを売却すればひと晩で大金持ちになれるじゃないかと、たくさんの大人から説得されている。しかし、その気はない。バハマで余生を過ごすのも悪くないが、もっとデカいことをやるつもりだ。

 いま、関心があるのは「選挙」に関係したウェブサイトづくりだ。
 この調子だと、大学には、進学しないかもしれない。

 ※別なニュースによると、大手のフェイスブックやインスタグラムが、小商売と世界のユーザーを直結させて、小商売が大企業にまで勝手に育つような仕組みをタダ同然で提供するだろうという。さすがだね。



武器が語る日本史